・・・誤訳というもの、わたしは畳の埃に似たものだと信じている。絶無などということは完全にない。叩けば出るに決まっているのだ。
名翻訳家、故・中野好夫の言葉です(『英文学夜ばなし』152ページ)。
続いて中野曰く、
もちろん、かくいえばとて、極力誤訳を避けるためには、汲々としてこれ及ばざるをおそれなくてはならぬのは当然である。但し一概に誤訳といっても、おのずから質的に別があるように思える。
― 「同書」 123ページ。
翻訳と参考書の和訳はまた質的に別があるでしょう。
個人的には参考書の和訳はある程度、直訳でもいいと思っています。
しかし、意味が変わってしまっては、マズイ。
続きを読む »伊藤和夫『英文解釈教室』を読む(5)~番外編の番外(後編)
The cat licked the saucer clean. (猫がさらをきれいになめた)と聞けば、「さぞ腹がすいていたのだろう」と考える。ところが The cat licked the clean saucer. (猫がきれいな皿をなめた)になると、一転して「ばかな猫もいるものだ」ということになってしまう。この意味の違いは第5文型と第3文型の差からくる。
― 『英文解釈教室』 17ページ
さて。
The cat licked the saucer
でページが終わったとします。
ページをめくるまでは、「その猫が皿をなめた」と、一応、解釈する。
もしくは、S V O C の可能性あり、と解釈保留。
そして、ページをめくり、
clean.
という語が目に入ったとき、解釈を変える。
S V O C の可能性あり、と解釈保留していた場合、第5文型だった、と
まあ、当たり前なことですけど。
続きを読む »伊藤和夫『英文解釈教室』を読む(4)~番外編の番外(中編)
またまたこの英文について。
Those who live nobly, even if in their day they live obscurely, need not fear that they have lived in vain.
― 伊藤和夫『英文解釈教室」 7ページ
"伊藤和夫『英文解釈教室』を読む" では個々の例文についてはサラッとすまそうと思っていたのですが・・・。
なんだかんだで、細かい英文法・英文解釈のことになってしまいました。
結局、いつもこうなるのですけどね。
そんなわけで、番外編の番外の番外。
続きを読む »伊藤和夫『英文解釈教室』を読む(3)~番外編の番外(前編)
本を読んでいる時は誤訳することのなさそうな文章でも、文法書の例文として前後から切り離されて出された場合は訳すのに苦しむことが時にある。
(中略)長編小説から一行だけ切り取られた例文では、前後関係は確かめようがなく、自信をもって訳せないこともありうる。
― 渡部昇一『英文法を撫でる』 74ページ
と渡部さんがおっしゃっている通り、参考書に出る前後の文脈がない "切り取られた英文" を訳する(意味をとる)のが難しいことはよくあります。
そのことは当ブログで何度も書きました。
続きを読む »伊藤和夫『英文解釈教室』を読む(2) ~番外編
Google で「えいぶんか」と打ち込む。
「英文解釈」よりも、「英文解釈教室」が先に出る(Yahoo! は逆ですが)。
旧版以来、30年経っても英文解釈といえば、『英文解釈教室』なのは驚くべきことです。
ちなみに、「英文解釈教室」というキーワードで当ブログに来られる方は一日に20人くらいいます。「英文解釈教室 伊藤和夫」、「英文解釈教室 使い方」などを含めると、30~40人になるはず(あるいはもっと?)。
その理由は、「英文解釈教室」で検索すると、Google でも Yahoo! でも当ブログの記事が上位に表示されているからでしょう(※2011/2/28 現在)。
続きを読む »伊藤和夫『英文解釈教室』を読む(1)
では、さっそく。『英文読解講座』、2ページ、(演習1)。
第一文は、「抽象的な言葉は、その曖昧さゆえ、人気がある」ということですね。
続く文の前半は、「考えを正確に書くことは難しい」。
問題は、その後半と、その訳文。
, and to be precise is sometimes dangerous.
正確にすることはときに危険なことでもある
考えを「正確」に書くと、なぜ「危険」なの?
続きを読む »precise だと dangerous なの?~『英文読解講座』覚え書き(1)
『英文読解講座』の新装復刊を期に、
『英文読解講座』、覚え書き
なるものを、これから何回か、書いてみようかと思っています。
まあ、小三の読書感想文レベルで。
なんだか最近、この参考書のことばかり書いている気がしますが・・・。
では、さっそく。
続きを読む »"『英文読解講座』の覚え書き"、の覚え書き

