2010年8月17日 Posted by まさんた
偉大なるカオスの語学学習法
トマス・インモース(Thomas Immoos)上智大学名誉教授が何者であるかを一言で記すのは難しい。
独文科の元教授、詩人、東洋宗教研究所元所長、カトリックの司祭、日本のユングクラブ元会長、外国紙の元特派員、比較演劇学者、などと、次から次へと出てくる。
― 加藤恭子 『英語を学ぶなら、こんなふうに』 P.200
「元」が多いのは、インモースさんは1918年生まれだから。
そのほかにも色々と肩書きがあり、インモースさんを加藤恭子さんは、
つまり、"偉大なる混沌(カオス)" である。
と評されています。
カオス的語学学習
インモースさんの語学歴。
先生にとっては英語が最も得意な外国語・・・次にフランス語、日本語と続く。
それから順不同でラテン語、ギリシャ語、中国語、チベット語、などになるのだが・・・
ほんと、「偉大なるカオス」。
さて。
加藤恭子さんの『英語を学ぶなら、こんなふうに』という本。
Junpei さんの英語の学習書は星の数ほどあるけれどという記事で教わったのですが、なかなか面白い。
特に示唆を受けたのが、インモースさんと加藤さんのインタビュー。
抜粋。
ラテン語は、文法から入った。
三年間文法とやさしい文章を学び、それから文学作品を読んだ。
ギリシャ語も、同じやり方だった。
ラテン語とギリシャ語に関しては、文法の徹底的な学習が先、そして読解がきた。このラテン語文法を徹底的に勉強したことが、あとで学んだ多くの外国語への鍵だったと先生はおっしゃる。
「もし "秘密" があるとすれば、これがそうでしょうね」
ちなみに、インモース少年がラテン語を習い始めたのは、日本でいうところの、中学一年生。
英語にせよ、フランス語にせよ、西洋の文法はラテン語文法が下敷き。
だから「文法用語」には一見、意味不明なものが多い。
まあ、それはともかく。
英語以外のヨーロッパ語を学んでいる人は、「これは英文法でいうところの・・・」と考えながら勉強されていると思います。
他の言語を学ぶ場合、インモースさんはラテン語文法を「徹底的に」学習したのが、「秘密」だとおっしゃっています。
日本人なら「ラテン語文法」を「英文法」と置き換えればいいかもしれませんね。
フランス語でフランス語を学ぶ
それに対し、フランス語は全く違った方法で勉強した。
最初からフランス語が用いられ、文法もフランス語で学んだ。
生徒たちは、苦労しながら懸命についていったそうだ。
程度の高い学校だったから、こうしたやり方が可能だったかもしれない、と先生はおっしゃっている。
しかも、時々「フランス語週間」が設けられ、週のうちの三日は、フランス語しかしゃべってはいけない。インモース よほどズル休みをしようかと思った(笑)。
最近話題?の「授業は英語で」、に通じるものがありますね。
しかし、
程度の高い学校だったから、こうしたやり方が可能だったかもしれない、と先生はおっしゃっている。
程度があまり高くない学校だったら・・・
生徒 ズル休みする。
となるか?
語学学習の秘訣は?
語学の学習で大切なことをインモースさんの言葉より。
イスにすわり続けてね、ただただ勉強するのです。
日本の学生への英語学習アドバイス。
机の前にすわっての丸暗記(笑)。英語の単語が自然にでてきて、英語で英語が考えられるようになるまで。
会話については?
これは机の上の勉強とは違います。しゃべる練習をしなければならない。
ネイティヴ・スピーカーとしゃべる幸運に恵まれないなら、しゃべる状況を作り出して練習することです。
われわれの "フランス語週間" のようにね。
結論。
上達したいのなら、努力以外の方法はありません。
当たり前のことですが、スゴイ人に言われると、説得力がありますね。


コメント
from Junpei642
加藤恭子さんの本の最後、数人の語学の達人のインタビューになっていますが、そこを読むと努力なしに言葉は習得できないと思いますが、
それにしてもギリシャ語、ラテン語など特殊な言葉を学んでいますよね。
フランス語みたいに体得した言葉もあるけど、たいていは文法から入っていますね。
実は、香港で広東語を学ぶ日本人が多いのですが、いきなり普段使いのフレーズを学びます。
教科書を見ていてもグラマーを無視したあたってくだけろ方式、声調が難しいのでそっちを重視しているところもあります。しかし、北京語から入った人はきちんと中国語の文法を学んでいるので、音が変わるだけで広東語も習得しやすいようです。
私の頭に広東語がきちんと定着しないのは、文法をきちんと学んでいないからかもしれません。ただ、ここの言葉は話し言葉なので書いたときとちょっと違うので、きちんと文法を整理したときに紙に残るのは北京語風になってしまうんですよね。ややこしや~~
2010年8月18日 09:34
from Junpei
そういえば、娘はラテン語は教科としては習っていないけど、英語、バイオロジーなどを通して授業の中で、「これはラテン語が語源で~ とかこれはギリシャ語が語源で~~」という風に、何か特殊な言葉が出てきたときは先生のほうも語源も含めて覚えやすいように説明してくれていたようで、それにちなんで何かについて話しているとき、「ああこれはね元はラテン語なんだよね。それでこの部分はラテン語でこんな意味があって...」みたいな会話がよく出ていました。
日本語を教えているイギリス人の獣医も同じような会話をよくしてくれます。
一応獣医として役立つ日本語を教えているので、授業の中で医学用語がばんばん出てくるのです。
ラテンとギリシャ語って言葉を学ぶにあたって何かとても重要なんでしょうかね?
2010年8月18日 09:41
from まさんた
Junpei さん、こんにちは。
ヨーロッパでは、大学の前に grammer school に入学するのが当り前だったようです。
今でいう、public school のようなものでしょうか。
grammer school は、ラテン語とギリシャ語を勉強するところ。
そもそも英語で grammer といえば、16世紀末までは、ラテン文法のことでした。
いわゆる「宗教革命」で母国語の文法も grammer というようになりましたが。
日本でも江戸時代までは学問といえば漢文。
西洋でも東洋でも主たる学問が外国語の勉強であった、というのは偶然ではないでしょうね。
知的訓練として、他の言語を学ぶことが一番効果があるのでしょう。
じゃなきゃ、ニ千年間も学問の中心が外国語学習であったわけがない。
医学用語や専門用語はラテン・ギリシャ語に起源を持つものが多いですね。
「大腿骨」なら普通は thigh bone ですが、専門用語になると femur。
femur とは何ぞや?と語源を調べると、ラテン語の femur(そのまんま)で意味は「大腿骨(そのまんま)」。
自分はこういう英単語に苦戦したので、例の『Word Power Made Easy』で学びました。
英語を学問として研究するなら、ドイツ語とラテン語は必須みたいです。
もともと英語はドイツ語の方言だったし、語彙はフランス語経由でラテン語からたくさん取り入れましたから。
北京語と広東語がどれぐらい違うのか、自分にはよくわかりませんが、北京語の文法を知っていれば広東語も習得し易いのは、なんとなく想像できます。
まあ、中国はあれだけ大きな国ですからね。
方言、というレベルでは片付けられないのでしょうか?
何年か前のことですが、日本の方言に関する本を読んで、「東北弁」と「沖縄弁(琉球語)」は一見、まったく違う言葉に見えるが、文法的には、ほぼ同じ、ということを知りました。
アイヌ語は日本語とはかなり違うようですけど。
なんかアレですね、こうして書いてると、僕はかなりの「言語オタク」のようですね・・・。
今までは “自称” プロレスとプロ野球オタクだと思っていましたが。
2010年8月18日 21:42