2010年8月 1日 Posted by まさんた
現在完了で大切なこと ~「過去、現在、そして未来へ」
完了形というと、「完了・結果・経験・継続」の4つを教えられます。
ですが、LDOCE(4th)では、助動詞 have の定義はたったひとつ。
used with past participles to form PERFECT tenses.
過去分詞と共に用いられ、完了形を作る
perfect がなぜ「完了」なのかは後述。
中学・高校のときは4つの分類を覚えましたが、今は英文を読んでいて意識することはありません。文脈で(なんとなく?)意味がわかるから。
でも一応、辞書なり、文法書でひと通り用例を見ておくべきでしょう。
試験で「同じ用法のものを選べ」とか出るかもしれないので。
それにしても、「現在完了」という文法用語。
「現在の時点では、コト、すでに終われり」、と思いがち。
混乱の元です。
4つの分類の曖昧さ
助動詞の have、英英辞典では、たったひとつの定義なのは理由があります。
ひと言でいえば、4つの定義が曖昧だから。
完了を表す場合は、現在よりちょっと前に「~してしまった」という意味を表し、結果を表す場合は、「現在~してしまった状態にいる」ということを意味わけであるが、この2つは必ずしも明確に区別はできないことが多い。
― 杉山忠一『英文法詳解』 P.237
経験と継続にも曖昧さが。
Harry has been in Bali for two days.
継続:「ハリーは、2日前からバリ島にいる」
存在:「ハリーは、2日間パリ島にいたことがある」
― 安藤貞雄『現代英文法講義』 P.135-135※ 「存在」という用語は、一般に使われている「経験」のこと。
「現在完了」の語源
現在完了を英語で、「present perfect」といいます。
present は分かるが、なぜ完了が prefect?
perfect の語源は、ラテン語の perficere [ペルフィケレ]。
もっと分解すると per- と facere になりますが、まあ、気にする必要はないので無視。
ラテン語 perficere の意味は、「完成させる」。
だから英語の perfect が「完全な、すばらしい」などの意味を持つようになりました。
ラテン文法用語の「完了」は、英語で perfect。
それが日本でも踏襲され、訳語は「完了」という言葉が選ばれた。
「完」は「欠けるとこなく」。「了」は「終わる」。
やはり「全て終わった」みたいな感じがしちゃいます。
完了・結果・経験・継続、より大切なこと
現在完了形では、なぜ have が使われるのか?
(1) のような現在完了形は、OE では (2) のような語順であった。
(1) I have caught the fish. (私は魚を捕らえた)
(2) I have the fish caught.― 安藤 『同書』 P.130
※ OE = Old English 古期英語(700~1150年頃までの英語)
※ 酒井典久『英語のしくみが見える英文法』によると、700年代後半から (1) の語順も使われていたらしい。
ヨーロッパの言葉は、形容詞が名詞の後ろに置かれるのが普通。
(※ 参照 拙記事 名詞を後ろから説明する語句、とは? ~英語の読み方(2))
過去分詞(caught)も形容詞の一種だから、fish の後ろに置かれていた。
I have [the fish caught].
それが十四世紀になると、
I have caught the fish.
という語順が定着したようです。
結果、have が「助動詞」に。
ですが、あくまでも、根底にあるのは、
I have [caught the fish].
つまり、
[caught the fish] を I have している。
have は助動詞になったとはいえ、もともとは動詞の have。
ですから、現在完了は、現在形にかなり近い。
・・・ひと口でいえば、「現在との関連」(current relative)、あるいは「拡大された今」(extended now)と特徴づけてもよい。
― 安藤 『同書』 P.133
過去形と現在完了形で、こういう違いがありますね。
I lost my wallet yesterday.
私はきのう財布をなくした。
《その後見つかったか見つからないかは問題にしない》I have lost my wallet.
私は財布をなくしてしまった。
《今も見つからず困っている》
―『カレッジライトハウス英和辞典』
ただし、最近は完了形を過去形で代用することも多く、「I lost my wallet yesterday.」が、「昨日、財布をなくしちゃった(今も見つかっていない)」の意味になることもある。
その理由は、
yesterday などの「明らかに特定の過去を表す語句」がある場合、現在完了は使えない。
というルールがじゃま?だからでしょう。
I lost my wallet yesterday, and I haven't found it yet.
と言うのは、確かに少し面倒。
現在完了は、現在、そして未来へと
「宿題が終わった」というとき、
I finished my homework.
とも言える。ですが、これは客観的な記述。
現在完了にすると、「これから~する、してもいい」というニュアンスが生まれます。
I've finished my homework. → I can now watch TV.
― 安藤 『同書』 P.133
もう一例。
Your order has just arrived at our website.
ご注文はちょうど私どものウェブサイトに届いたところです。― 綿貫陽 マーク・ピーターセン 『表現のための実践ロイヤル英文法』 P.62
これは、「これから発送の手続きに入ります」と実質、同じ意味。
つまり、「現在から未来へ」を含んでいる。
次は、ミステリーから拾ったもの。
"A suicide note was found at the scene but the contents have not been released."
「遺書が現場で発見されましたが、どのような内容であるかはまだ公表されておりません」
- M.Connelly 「The Black Ice」
前半の英文、
A suicide note was found at the scene
は過去形。「発見された」という客観的な記述。
後半は、
but the contenfs have not been released.
現在完了形です。
今現在は、まだ公開されていない。
今後、公表される可能性はある(されない可能性もある)。
つまり、現在完了は、「今(現在)」と「今後(未来)」を含んでいる。
もし過去形だったら?
but the contents was not released.
しかし、どのような内容であったか、公表されなかった
公表されなかった、という客観的な過去の記述。
そこに、「現在から未来へ」は感じられない。
ところで。
前半部分、
A suicide note was found at the scene
これも、現在完了にしてもおかしくはない。
A suicide note has been found at the scene
同じ著者の同じ本で、似たような英文があります。
Five suspects have been identified through investigation but no arrests have followed.
捜査の結果、疑わしい五人の男の身元は特定されたが、今のところ、逮捕とまでは至っていない。
◇suspect 容疑者。identify 身元を割り出す。investigation 捜査、取調べ。
― M.Connelly 「The Black Ice」
後半部分は、さっきの英文と同じ。
今現在は、まだ逮捕とまでは至っていない。
今後、逮捕となる可能性はある(ならない可能性もある)。
A suicide note was found at the scene
Five suspects have been identified through investigation
前半部分で、かたや過去形、かたや現在完了形なのはなぜでしょう?
2つ目の英文では、「今のところ、五人だが、もっといるかも?」という意味か?
上のほうで書いた、現在完了と過去形の使い分けが曖昧になっているせい?
ん・・・ちょっと分かりません。
さて、もうひとつの英文。
Since then there have been many summers as beautiful as that one more than thirty years ago, and yet there is none I can recall as vividly.
それ以来、三十年以上前のあの夏と同じくらい美しい夏は何度もめぐってきたが、あれほど鮮明に思い出すことのできる夏は他にない。
- T.H.Cook 「Breakheart Hill」
少し解説。
that one
の one は、summer で、「あの夏」。
more than thirty years ago
は、that one を修飾する形容詞句。「(三十年以上前の)あの夏」
上のほうで、「ヨーロッパの言葉は、形容詞が名詞の後ろに置かれるのが普通」と書きましたが、形容詞が「句」や「節」の場合、必ず後ろに置かれます。
there is none I can recall as vividly
は少し難しい。
分解。
(1) I can recall X vividly.
※ X は a [some] summer (どの夏でもいいが、ひとつの夏)(2) I can recall that one vividly.
比較の対象となる vividly を 「as ~ as ・・・」構文に。
I can recall X as vividly as I can recall that one vividly.
重複する語句を削除。
I can recall X as vividly as that one.
あの夏と同じくらい鮮明に X を思い出すことができる。
そんな X がなかったら?
There is none I can recall as vividly as that one.
あの夏と同じくらい鮮明に思い出せる夏はない。
引用した英文では、文脈から、「as that one」はなくても意味がわかるので削除。
There is none I can recall as vividly.
もう一度、全文。
Since then there have been many summers as beautiful as that one more than thirty years ago, and yet there is none I can recall as vividly.
それ以来、三十年以上前のあの夏と同じくらい美しい夏は何度もめぐってきたが、あれほど鮮明に思い出すことのできる夏は他にない。
前半で現在完了が使われています。
そして、後半で今現在の話(あれほど鮮明に・・・夏は他にない)が出る。
当然、これから「あの夏」の話が語られていく。
辞書や文法書の現在完了の例文は、その場完結ですが、教科書なりペーパーバックなり、映画で現在完了が使われる文脈に注意してみると、必ず、「現在」や「これから」の話に関係する場面で使われます。
I've lived in Japan for some years.
東京に数年(or 長年)住んでいました。※ some years は、「数年」だけでなく、文脈によって「長年」の意味あり。
会話として、これだけだと不自然。
"You know much about Japan."
"Yeah, I've lived in Japan for some years."「日本にずいぶんと詳しいのね」
「ああ、日本に数年( or 長年)住んでいたからね」
もしくは、
"I've lived in Japan for some years."
"So You know much about Japan."「日本に数年 (or 長年)住んでいたことがあるんだ」
「だから日本にずいぶんと詳しいわけだ」
とか。
まとめ
もう一度、現在完了の成り立ち。
(1) のような現在完了形は、OE では (2) のような語順であった。
(1) I have caught the fish. (私は魚を捕らえた)
(2) I have the fish caught.
やはり、主語が「今 have している」、から「現在から未来へ」という含みを持つのでしょう。
Wait till I have done this work.
この仕事をしてしまうまで待ちなさい。
― 「カレッジクラウン英和辞典」
まだ仕事は終わっていないから、「done this work」を have するまで待て。
さて、I have [done this work] の状態になった。
待たされているのが仕事関係の人なら、商談するなり、何かする。
家族なら、買い物に行ったり、『トイ・ストーリー3』を観に行ったり。
現在完了とは、
過去 → 現在 → 未来
という流れを含む表現です。
他にも、「明らかに過去を示す語句があると、完了形は使えない」とか、なぜ?思うことがあります。
そこらへんの話など、そのうち書こうかと。


コメント
from Junpei
現在完了の使い方って学校で習ったときはちんぷんかんぷんでした。
日本語を教えていても文の持つニュアンスの違いって、教えるのがすごく難しいです。
先生がその違いを身を持ってわかっていない場合は、正しく教えるのは大変なことかもしれませんね。
私のまわりにいるNativeの英語教師は、過去形は過去を表す言葉があるときに使って、無い場合は完了形を使えと言っています。
でもかなり最近の過去は現在完了の進行形を使ったりもするし、かなりあいまいなところがあります。
Nativeが使っているのをきちんと聞き分けられるようになってくると、学校で習ったのとちょっと違う。
それでNativeを質問攻めすることが結構あります。
その言語があふれていない場所での語学学習って本当に難しいなと思います。
そこらへんをふまえて日本語の授業も使える教え方を工夫しています。
2010年8月 4日 11:07
from まさんた
Junpei さん、こんにちは。
>過去形は過去を表す言葉があるときに使って、無い場合は完了形を使え
ん・・・そうすると自分の理解は間違っていることになりますねぇ・・・。
日本ほど、「英文法書」や「英和辞典」がたくさんある国はないでしょう。
でも、生の英語が「あふれている」には程遠い。
だから文法書や辞書が「あふれている」のかな、と。
最近はネットで気軽に英語が聞けますが、聞いても1日数時間。
「私は今、英語の勉強をしています」
現在形、現在完了形、進行形、どれにも解釈できますね。
教えるの、相当たいへんそう。
2010年8月 4日 19:11
from Mary
こんにちは
私は今回英語レポートのテーマを
「現在完了」にして、まとめようと思っていました。
しかし、いざまとめるとなると
何をどうしたらよいのか?まったくわかりませんでした。しかし、あなたのこのページを見て参考にさせていただきました。
ありがとうございました。
2011年3月27日 12:02
from まさんた
Mary さん、はじめまして。
「現在完了」は難しく、この記事だけでは不十分だと思いますが、少しは参考になれて嬉しい限りです。
「現在完了」を含む、「時制」について一年以上、塩漬け(未投稿)の記事があります。
「時間」の概念については古代から様々な意見がありまして。
それはともかく。
レポート、がんばって下さい。
2011年3月27日 21:28