a number of は「多数の、多くの」ではない!?

A number of people were killed in the accident.

この英文を和訳すると、次のように訳す人が多いと思います。

その事故で多数の死者が出た。
その事故で多くの人が死んだ。

しかし、この英文の意味するところは、おそらくこんな感じらしい。

数人とはいえ、あの(程度の)事故で死亡者が出た。

※ 文脈によるとは思いますが。

「a number of ~」を「多数の、多くの~」と暗記している人は、要注意。

ちょっとその前に

この記事を投稿する直前に、念のため他のサイトを検索してみました。
すると、短く的確に「a number of」について書かれている記事を発見。

自分の記事はダラダラと長いので、時間がない方は下の記事をぜひ。

絶対数ではなく、相対的?

さて、a number of。

マーク・ピーターセンさんの解説がとても分かりやすい。

たとえば、「喜んだ人が何人かいた」には、some、a number of、a few、several のどれでも使えるが・・・

この記述だけで「そうなの!」と思うかもしれません。続きと合わせて。

たとえば、「喜んだ人が何人かいた」には、some、a number of、a few、several のどれでも使えるが、Some people were happy. とすると「喜んだ人いた」といった感じになり、A few people were happy. とすると「喜んだ人もいたが、大した数ではなかった」といった感じになる。

この2つに対して A number of people were happy. と Several people ware happy. はどちらも「喜んだ人は〔数人しかいなかったが、それでも〕意外と多かった」といった感じで、「喜んだ人も結構いましたよ」というような場合によく使われる。
「表現のための実践ロイヤル英文法」 P.450

つまり、

絶対数は少ないが、予想外に多い。

ということらしい。

そのことを知ったのは、『表現のための実践ロイヤル英文法』が出た2006年の5月。
このブログを始める数ヶ月前のことです。
買った日にパラパラと眺めていたら、上の記述が目に留まりました。

えっ! そうなの!?

とビックリ。

それまでずっと、「a number of = 多くの」だと思っていましたから。

以来、「a number of」が使われている英文を探しながら洋書を読もう、と決意。

が、数日も経たないうちに、「a number of」の件は忘却の彼方に。

で、先日、ドナルド・キーンさんの『On Familiar Terms』を読み返していたら、次の英文が。

I was paticulary attracted to Honda Toshiaki(1744~1821), a man who was in a sense my opposite number.

私は本田利明(1744~1821)という蘭学者に強い興味をもっていた。東洋から西洋を見つめ、研究した本田は、私と逆の立場だったと言ってもいい。

↑ 前後の英文を省略したので、意訳しました。

「opposite number」を『新英和大辞典』で調べると、

1 (他の職場・部署・施設などで)対等の地位にいる人。
2 対応物、(特に)自国のそれに対応する他国の事物《設立物・地域・器具・用語・出版物など》。

つまり、「counterpart」と同じ意味。

余談ですが。

本田利明は漢字・仮名をヤメ、ローマ字を使えと主張した人。
ある意味、「日本でも英語公用語」論者の元祖です。

さらに余談ですが。

著者は直接関係したので印象は鮮やかであるが、終戦直後、占領軍が日本を支配した時に、アメリカの文部省・日本支部ともいうべき CIE (民間情報教育局)では、日本語の表記法の難しさに驚き、日本人の幸せのため、日本人に漢字や仮名を捨てさせ、ローマ字を使わせようとした。
― 金田一春彦 『日本語 新版(下)』 P.1

調査の結果、日本人は「文盲はゼロに近かった」ので、漢字・仮名は無事セーフに。

Moshi Kanji to kana ga haishi sarete itara ・・・
受験生が最も嫌う、漢文の授業はなかったかも。
ローマ字で漢文、想像できぬ。

余談、終わり。

出会えるその日のために、臥薪嘗胆

ドナルド・キーンさんの英文を読んで、「opposite number」の例文として拾っておこうか、と思ったところ、

そういえば、a number of !!

と四年近く前の記憶が。

英語圏の検索ツールで調べると、「a number of」の用例はゾロゾロ出てくる。
でも、やっぱり例文は洋書から拾いたいので、今回は用例を載せることはあきらめました。

そのうち出会うはず。

とりあえず、今のところは辞書で検証、でガマン。

辞書で調べてみる

最後の頼みの綱である、OED(Oxford English Dictionary)では、

A (large, small, etc.) collection or company of persons or things.

と記述されており、例文には「a great number of や a good number of」と形容詞が付いているものばかり。
裸の「a number of」の例文は、なし。

最後の頼みの綱、切れました・・・。

気持ちを切り替え。

OALD(5th)の例文。

A number of (ie some) problems have arisen.

「ie = i.e.」は、「言い換えれば」。
「a number of」は「some」と同じだ、ということ。

そもそも、「a number of」の「a」は、不定冠詞の「a」ですから、素直に解釈すれば、「とある number(数)」ということになりますね。

「some」というと「いくらかの」という感じで覚えていますが、COD(11th)の定義はズバリ、

an unspecified amount or number of.

「some」は、「不特定の数(量)」。
「数は問わぬ」ようです。
というか、あえて数を特定しないのが、「some」。

続いて、「a number of」の定義。

a number of) several

それでは、「several」の数はどれくらい?

more than two but not many.
3以上、しかし、多くはない。

正確に書けば、「2.00000......000001 以上」でしょうけど。

ずいぶんと漠然とした数。

それよりも、この定義。

not many

とありますから、「a number of = several」だとすると、「多くの」とは正反対。

さて。

日本の辞書では?

『ジーニアス英和辞典』の記述の変遷

『ジーニアス英和辞典』(初版 1988年)の「a number of」の説明。

語法 [a number of] 「多数の」「若干の」のいずれの意味かは前後の文脈によるが、現在では「いくらか」の意では a certain number of を用い a number of を「多くの」の意に用いるのが普通。

第二版(1994年)も同じ。

第三版(2001年)の説明。

語法 [a number of] 「多数の」「若干」のいずれかの意味かは前後の文脈によるが、現在では「多くの」の意に用いられるのが普通。

「いくらか」の説明を省略したが、ほぼ変わっていない。

第四版(2006年)の説明。

語法 [a number of] 「ある数の、いくつかの」(a certain number of)、「多数の」のいずれの意味かは前後の文脈による。

「多数の」が主役ではなくなりましたが、両方の意味を載せています。

ちなみに、2001年に出た『ジーニアス英和辞典』では、こんな注意書きがあります。

「多数の」、「若干の」のいずれの意味かは前後の文脈によるが、《米》では「多くの」の意に用いるのが普通。

『大辞典』よりも五年後に出た『第四版』で、

《米》では「多くの」の意に用いるのが普通。

という記述がなくなったのは不可解。
そこ、重要だと思うのですが・・・。

ところで。

大正四年(1915年)に出た、斎藤秀三郎『熟語本位 英和中辭典』では、「a number of」の意味は「若干」のみ。

若干(數)。
a number of years 數年。
a number of (= some) students 數人の學生。
a large number of (= many) people 多くの人々。

「a large number of」で、「多くの」。

英英辞典の定義と照らし合わせてみると、こちらのほうが正しい感じ。
大正四年ですよ。

安藤貞雄『現代英文法講義』で調べても、「a number of」を、

「いくつかの」(several)

と定義し(P.681)、脚注に、

「多数の」は、a large number of / large numbers of、「少数の」は a small number of / small numbers of のように修飾語を付ける。

と説明。

やはり、「a number of」は「2.000・・・01以上、でも多くはない」か。

あのとき調べていれば・・・

だいぶ昔のことですが、実は「a number of = 多数の」に違和感を持ったことがあります。

記憶が定かではないのですが、『TIME』か何かで「a number of casualities(死傷者)」が出た、という記事があり、死者は5・6人だと書いてあった(←たぶん)。

5・6人でも多数といえば多数ですが、イメージとして「a number of = 多数の(何十人・何百人」というものが頭にありまして。

怪我人が「多数」なのかなぁ・・・と解釈。

あのとき調べていれば・・・。

それに、洋書でも新聞でも、「a number of = 多数の」で意味が通る英文もあったような気がします(← たぶん)。

結論として、「a number of」の意味は2つ。

絶対数は少ないが、予想外に多くの~。

普通に、「多くの、多数の~」。

・・・って結局、英和辞書の記述と同じになってしまいましたが・・・。

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