蛍雪の功、そんな言葉に憧れて ~ひと夏の思い出を、山貞に

参考書に赤線を引いたり、思ったことを鉛筆で何か書いたり。
受験勉強をしていた頃、そういうことはしませんでした。

自分が受験生であった1990年代前半、参考書はだいぶカラフルになっており、重要なところが赤色や太字になっていたので、自分で作業する必要がなかったのが原因の一つかもしれません。

まあ、黒一色の参考書でも線を引いたりしなかったので、自分のモノグサな性格が主たる要因だったのでしょう。

ですが最近、蛍の光や雪の明かりで勉強をしたい、という強い思いに駆られまして。まあ、正確にいうと、軽く思っただけですけど。

解説を読んでも、解せぬ・・・

まるでネオン街(古い?)のような最近の参考書に赤線など引く気はしない。
やはり、戦後の傷跡が残っていた頃のモノでなければ、「赤線」「青線」は似合わない。

そうなると、復刊された、山崎貞『新々英文解釈研究』ぐらいですかね。

この参考書は一度読んだことがあります。
※ 拙記事 山崎貞『新々英文解釈研究』

英文が古くさいのが多い、とかは別にいいんです。

しかし・・・

"O here's a perfectly lovely one! Do take him by his little black head and eat him quick!"

【解答】
「あら、こんなかわいらしいのがあってよ、その小さな黒い頭の所をつまんで早く召し上がれよ」。
〔注〕 Do take の do は強調。
― P.166 問題601

単語も文法も難しくない。
でもなんか、こう・・・。

この英文、どんなシチュエーションなの???

デッカイ魔女の会話?
違う?
んじゃ、なに、なに??

ん・・・どんな本の一節でしょう?
出典が書いてあれば調べられるでしょうが、Web で検索しても、探し物は見つからず。

短い例文は、逆に意味がわからないときがある。
※ 参考(にはならないが):拙記事 引用された言葉について切り取られた英文の意味は、決定不可能?

改まること数回

なお、この参考書は何度も改訂されてきましたが、復刊されたのは1965年の第七版。
詳しくは、英語参考書の研究:山貞を中心に(英語教育史入門講座3)を参照。

なぜ復刊されたのが第七版なのでしょう?

第2章の例題の解説は、初版(『公式応用 英文解釈研究(1912年)』)のほうがいい感じ。

He is an oyster of a man.

【解】此形式は次の如き順序から起こつたものである。

What sort of a man is he?
= 彼はどんな風な人か。

He is a a good sort of a man.
= いヽ風な人だ。

He is a saitnt of a man.
= 聖人見た樣な人だ。
― 引用元 懐かしの英語参考書(20)山崎貞『公式応用 英文解釈研究』初版

なるほど、こういう成り立ちか、と納得。

山崎貞、といえば、「一事が万事、クジラの公式」だと思っていました。
しかし、復刊されて読んでみると、案外そうではない。

練習問題が難しい割には解説がほとんどない、という面もありますが。
まあ、最近の「手取り足取りな解説」に慣れたからそう感じるのでしょうけど。

話が変わりますが。

学生の皆さん、夏休みですね。
夏休みと言えば、宿題、課題、カブトムシ。

学生もする宿題といふものを、大人もしてみむとてするなり。

夏の間、他の一切の邪念を捨て、山貞(やまてい)漬けになってみます。

※ 3日で兜を脱ぐことを、ここに断言しておきます。- 恐惶謹言

コメント

from 英語展望台

シュールな英文が気になったので、Webで検索しました。
原文は「若草物語」のオルコット女史の短編の一部で
http://www.readbookonline.net/readOnLine/11324/
山貞の初版はしがき
「例題は主に現今行はれて居る英語教科書中から採り…」
にあるように
New National Fourth Readerから採録したようです。
http://infomotions.com/etexts/gutenberg/dirs/
1/5/8/2/15825/15825.htm
ところが2つのサイトの同じ部分を数行読み比べると
教科書の方は原文をけっこう改変してますね。

状況としては
筆者(女性)がビーチパーティーにお呼ばれして
生まれて初めて口にする貝料理などに夢中になっており
「給仕役を務めてくれたマージーちゃん(ホストファミ
リーのお嬢さん?)は声もとてもかわいいので、
『問題の英文』なんて言われてたら、ほんとうに『ウニ』
をそのままで食べてみようなんて気にさせられてたかも…
(本来なら見た目がグロなのでとうてい手を出す気には
なれないのに)」ということでしょうか。

from まさんた

英語展望台さん、こんにちは。
そして、ありがとうございます!

積年(といっても、ここ一年ぐらいですが)の謎が解けました。
教えていただいた原文はこうだったんですね。

A certain captivating little Margie waited upon me so prettily that I should have been tempted to try a sea porcupine unskinned if she had offered it, so irresistible was her chirping way of saying, "Oh, here's a perfectly lovely one! Do take him by his little black head and eat him quick."

和訳ではないですが、この英文の主旨はこんな感じですかね。

マージーさんはとても素敵で可愛らしい方で、もてなし方がすごく上手。
だから、もしマージーさんに、「ほら、食べてみて」なんて言われたら、 殻のついた “海のヤマアラシ” をそのまま食べてみようかな・・・、って思っちゃたかも。
だってマージーさんたら、本当に楽しそうに言うんだもん。
「あら、こんなかわいらしいのがあってよ、その小さな黒い頭の所をつまんで早く召し上がれよ」だなんて。

マージー嬢に「からかわれた」と楽しそうに語っている感じがします。

ようやくスッキリ。
本当にありがとうございました!

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