2009年10月21日
酒井典久(著)『英語のしくみが見える英文法』
仮定法のひとつ、
If it were not for ~
(かりに)~がなかったら
思えばずいぶんと不思議な表現である。
主語の it は何を指す?
for なのは、なにゆえ?
「けったいな表現だなぁ・・・」と思いつつも、そこは暗記で。
それでも英語を読んだりするのには支障ないですが、「この構文・・・なぜ?」と思う人もいるはず。
酒井典久(著)『英語のしくみが見える英文法』は、そんな「なぜ?」に答えてくれる参考書です。
英文法を歴史的にみる
If it were not for ~
(かりに)~がなかったら
これは掲載されている75の疑問の、その1。
この構文が成立するまでの仮定を、本書を抜粋してみます。
Plants grow for the sun.
「植物は太陽のおかげで育つ」
for the sun を強調。
It is for the sun that plants grow.
「植物が育つのは太陽のおかげである」
It is for the sun を仮定法に。
If it were not for the sun,
「もし太陽のおかげがないとしたら」
⇒ 「もし太陽がないなら」
なるほど、と納得。
この本の目次一覧。
| 第1章 | it が関わる構文 |
| 第2章 | 「~を除いて」の but が関わる表現 |
| 第3章 | 「~を使う」の use が関わる表現 |
| 第4章 | 簡略化されている表現 |
| 第5章 | 意味・ニュアンス |
| 第6章 | 意味の変遷 |
| 第7章 | 特別な不定冠詞の a |
| 第8章 | ユニークな表現 |
| 第9章 | 主格補語 |
| 第10章 | 目的格補語とその周辺 |
| 第11章 | 現在完了の背景 |
| 第12章 | 分離動詞の背景 |
| 第13章 | 疑問文・倒置の背景 |
| 第14章 | ドイツ語方言だった頃の名残 |
| 第15章 | 三単現と複数の -(e)s |
| 第16章 | フランス語の影響 |
| 第17章 | ~ing 語尾とその周辺 |
| 第18章 | 分詞構文の背景 |
目次をみればわかる通り、これから英語の勉強を始めようとする人向けの本ではありません。
勉強していて、「なぜこうなるの?おい!」と疑問に思う人向けのもの。
can not help but 原型
これが、なぜ「~せざるをえない」という意味になるのか、など「スッキリしないが暗記していた」文法事項がスッキリするかもしれません。
簡略していった英語
フランス語やドイツ語を含め、ヨーロッパの言語は格変化が多くて覚えるが大変。
たとえば、フランス語の parler (パルレ)「話す」は、主語によって様々と姿を変えます。
| je parle | 私は話す | nous parlons | 私たちは話す |
| tu parles | あなたは話す | vous parlez | あなたたちは話す |
| il parle | 彼は話す | ils parlent | 彼らたちは話す |
| elle parle | 彼女は話す | elles parlent | 彼女たちは話す |
さらに過去形などが加わり・・・と、覚えるの、至難のわざ。
その点、英語は楽。
現在形では、三人称単数には s を付けるだけ。
過去形でも、不規則変化動詞はありますが、基本、ed を付けるだけ。
現代英語は、名詞の「性」も、実質なくなりました。
なぜ英語は簡略化していったのか?
それは、ドイツ語の一方言から出発し、ヴァイキングやフランス人との戦争(文化の接触)によって。
He kissed her cheek.
He kissed on her cheek.
と言わずに、
He kissed her on the cheek.
というのも、ドイツの方言だった頃の名残。
格変化が複雑だった英語が、三単現の s だけになったのは、ヴァイキングとの接触によって。
日本は中国から大量に「言葉」を輸入してきましたが、英語も同じ。
フランス経由で大量のラテン語系の言葉が流入しました。
それは、フランスのノルマンディー公ウィリアムがイギリス王になったため。
こういったことが、『英語のしくみがわかる英文法』には書かれています。
専門化向けではないので、高校生でもすんなり読めます。



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