2009年10月14日
多義語の大王、as について(1)
英語に多義語は数あれど、as ほどやっかいな単語はないでしょう。
役割としては、接続詞・前置詞・副詞・関係代名詞。
意味は、いっぱい。
それぞれの使われ方は、辞書を見れば品詞別に書いてあります。
ですが、今回は実際に一冊の洋書を読みながら、as がどのように使われているのか、順番バラバラに見ていきます。
as の語源
英語語源辞典を見ると、as はもともと also でした。
それが、l と o が省略され、as に。
ちなみに、also は all と so の結合語。
まあ、as の複雑さには、それは関係ない話ですが。
as は古英語時代(700~1150年)にはすでに、今のようにたくさんの意味を持つ単語となっていました。
as の基本概念
as は「also」でしたから、「同様」という意味が中心にあります。
ですから、as をひと言でいえば、「同じ、イコール(=)」。
これで、数ある意味のほとんどをカバーできると思います。
as 「同じ、イコール(=)」
Sophie's World
一冊の洋書を読みながら、as がどのように使われているのか、順番バラバラに見ていきます。
と書きました。
選んだのは、Jostein Gaarder の『Sophie's World』(邦題、そのまんま『ソフィーの世界』。
むかし、大ヒットした哲学ファンタジー?です。
もとはドイツ語で書かれたものですが、当然、英語の翻訳版で。
他言語から英語に翻訳されたものは、非常に読みやすいものが多い。
以前、『Sophie's World』を読んだとき、「破格もなく、素直な英文。学校で習う重要構文が目白押しだなぁ」と思ったのを覚えています。
さて、as が出てくる英文を拾いながら、読んでいきます。
as if 構文
主人公、ソフィーの家は?
There were no houses beyond her garden, which made it seem as if her house lay at the end of the world.
ソフィーの家の庭の向こうには、まったく家などなかった。そんなわけで、ソフィーの家はまるで世界の果てにあるみたいだった。
家がまったくない、が「no houses」と複数になっています。
ゼロなのに、なぜ複数?と思いますが、2つ(2人)以上あっても(いても)おかしくない場合、英語ではだいたい、「no 複数形」で表現しますね。
Their are no flowers in the garden.
庭には花が全然ない。I have no brothers.
わたしには兄弟がいない。
―「カレッジクラウン英和辞典」
which の先行詞は「There were no houses beyond her garden」。
made 以下は、make O C 「O を C にする」という五文型と、It seems as if ~ 「まるで~のようだ」が合わさって、少し複雑になっています。
as if 構文については、拙記事-as if と as though の意味が同じなのは、なぜ?にて。
【同時性】~しながら、の as
家に帰ると、郵便箱を確かめるのがソフィーの習慣。
As Sophie opened her garden gate, she looked in the mailbox.
庭の門を開けながら、ソフィーは郵便箱をのぞき込んだ。
「門を開けたとき(あと)」ではない理由は後述。
「門を開けたまま」と訳してもいいかも。
as は「同じ、イコール」つまり、「同時性」をもつ単語だから。
ご存知、as soon as
「謎の哲学者」から、ソフィー宛の封筒を発見。
As soon as Sophie had closed the gate behind her she opened the envelope.
門を閉じるとすぐ、封筒を開けた。
郵便箱をのぞき込んだとき、まだソフィーは門を閉めていませんでした。
封筒を取り出して、いま門を閉めたんですね。
だから、一つ上の英文は、「門を閉めたとき」ではなく、「門を閉めながら」。
慣用句
続く段に、
As always, ・・・
いつも同じく(= like always)
というのが出てきます。
as such、as well など、たくさんあるので、出てきたら覚えましょう。
as ~ as ・・・構文
さて。
封筒に入っていた紙切れには、
Who are you?
とだけ書かれていました。
混乱したソフィー。
鏡の前に立ち、別人のつもりになってみたりと、テンヤ・ワンヤ。
そして。
'I am Sophie Amundsen,' she said.
The girl in the mirror did not react with as much as a twitch.「私はソフィー・アムンセン」と言ってみた。
でも鏡の中の少女はピクリとも反応しない。
「as much as ~」は、「~と同じくらい多く」ではなく、「~と同程度」。
twitch は「a sudden quick movement」(Longman)。
「ピクッという程度の反応さえしなかった」ということ。
さらに。ソフィー、鏡の前にて。
Whatever Sophie did, she did exactly the same. Sophie tried to beat her reflection to it with a lightning movement but the other girl was just as fast.
ソフィーが何かすると、鏡の中の少女も全く同じことをする。ソフィーは鏡に映った自分が追いけないよう、素早く動いてみたが、目の前の少女も同じ速さで反応した。
「beat ~ to it」は熟語で、「~より早く何かをする」。
I was about to answer the teacher's question, but Tom beat me to it.
先生の質問に答えようとしたら、トムに先を越された。
―「カレッジライトハウス英和辞典」
さて。
the other girl was just as fast.
この英文は、
the other girl was just as fast as Sophie (was).
を省略したもの。
「as ~ as ・・・」構文の 「as ・・・」以下。
書かなくても自明なときは、よく省略されます。
as to ~
続く文。
'Who are you?' Sophie asked.
She received no response to this either, but felt a momentary confusion as to whether it was she or her reflection who had asked the question.「あなたは誰?」ソフィーは尋ねた。
これにも反応なし。でも、一瞬、なんだか混乱した。質問したのは自分なの? それとも鏡の中の少女なの?
either は、上に引用した英文、
'I am Sophie Amundsen,' she said.
The girl in the mirror did not react with as much as a twitch.「私はソフィー・アムンセン」と言ってみた。
でも鏡の中の少女はピクリとも反応しない。
を受けて。またもや反応なし、ということ。
as to は熟語で、「~について(= concerning, about)」。
He said nothing as to my mystakes.
彼は私の間違いについては何も言わなかった。
―「カレッジライトハウス英和辞典」
whether 以下の 「it was ~ who ・・・」は強調構文。
理由の as
さらに続く文。
Sophie pressed her index finger to the nose in the mirror and said, 'You are me.'
As she got no answer to this, she turned the sentence around and said, 'I am you.'ソフィーは鏡の中の少女の鼻に、人差し指を押し当てる。
「あなたは、私よ」
返事がないので、文意をひっくり返してみた。
「私は、あなたよ」
「理由の as」は、「同じ、イコール」では捉え切れません。
おそらく、
返事がなかったとき、文意をひっくり返してみた。
が原義だが、読む(聞く)と、「ので」と感じられるので、as に「理由」の意味が生まれたのだと思います。
【同時性】~していると、の as
鏡をみて、自分の容姿などを考えていたソフィー。再び外へ。
As she stood outside on the gravel path with the mysterious letter in her hand, the strangest feeling came over her.She felt like a doll that had suddenly been brought to life by the wave of a magic wand.
謎の手紙を手に持ち、外の砂利道に立っていると、とても不思議な感覚に襲われた。まるで、魔法の杖のひと振りで命を吹き込まれた人形になった気がしたのだ。
「道」という単語はたくさんあります。
ちょっとまとめ。
| path | 小道(= track) |
| track | 小道(= path) |
| lane | (1)小道・路地。(2)車線。 |
| road | (車が走れる)道 |
| street | 両側に建物が立ち並ぶ、歩道もある道路・街路 |
| avenue | 都市の大通り |
| highway | 都市をつなぐ幹線道路 |
| expressway | 《米》高速道路(= freeway) |
| motorway | 《英》高速道路 |
with the mysterious letter in her hand
は、例の with O C 「O が C の状態で」。
She spoke with tears in her eyes.
彼女は目に涙を浮かべて語った。
―「カレッジライトハウス英和辞典」
さて。
the strangest feeling
は難しい。
[ a 最上級 ] や [ the 最上級] で、「絶対最上級(とても~)」という意味になることもあります。
a most と the most は、ともに絶対最上級として用いられるが、the most のほうがさらに強い度合いを表すのに用いられる傾向がある。
Isn't she a most beautiful woman?
彼女ってとても美しい女性じゃないか。Isn't she the most beautiful woman?
[= an extremely, extremely beautiful woman]
彼女って世にも美しい女性じゃないか。
―安藤貞雄『現代英文法講義』
あるいは、「a strangest feeling」だったのが、feeling の内容は実質、次の英文、
She felt like a doll that had suddenly been brought to life by the wave of a magic wand.
なので、「the strangest feeling」になったのか?
関係代名詞の、「予告の the」のように。
どうなんでしょう?
「come over ~」は「(何々な)感情に襲われる」という意味でよく使われる表現。
Such feelings often came over me.
私はよくそうした感情に襲われた。
―「カレッジライトハウス英和辞典」
もう一度、英文。
As she stood outside on the gravel path with the mysterious letter in her hand, the strangest feeling came over her.
砂利道に立っているのと、奇妙な感覚に教われたのが、同時に起こっている、という as です。
ジーニアス英和辞典の解説。
(1)as は会話・報道・学術でよりも小説で多く使われ、過去形の用例が多い。
(2)as 節の事態の発生と同時に主節の事態が発生[存在]していることを表す。通例過去形の文では過去の習慣のような繰り返し起こる事態ではなく、1回限り起こった事態を表す。
【同時性】の as について、わかりにくいが、適切な解説。
今回は、接続詞では、
- 同時性の as
- 理由の as
- as ~ as ・・・構文
- as soon as ・・・構文
熟語は、
- as always
- as to ~
を取り上げました。
次回に続く。
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by Jostein Gaarder |



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