2009年9月 4日 Posted by まさんた
seem, look, appear の違い(その1)
seem や appear を教えるときは、学校ではその意味よりも、「書き換え」に重点を置いています。
It seems that Bob is a nice guy.
ボブはいいやつだと思われる。Bob seems to be a nice guy.
ボブはいいやつのように思われる。
―「ジーニアス英和辞典」
あとは、時制がずれた場合とか。
He seems to have been ill.
彼は病気だったらしい。
―「カレッジライトハウス英和辞典」
でも、seem, look, appear は、そろって「~のようだ、~にみえる、~らしい」と訳すが、それぞれの単語のニュアンスはどう違うのか?
seem to be の to be は省略されることが多いが、どのような場合に省略できるのか(できないのか)、などは教えてくれません。
ニュアンスの違い
まずは、この3つの類義語のニュアンスの違いを辞書にて。※例文は省略。
seem 話者の主観的印象に基づいて真実らしく思われる。
look 視覚印象に基づいて真実らしく見える。
appear 外観から見てそう見える《時にそれが実際とは異なることを暗示する》
―研究社「新英和大辞典」seem, appear, look はほぼ同じ意味に用いられることが多いが、seem は話しての主観的判断に基づいた見方を意味する。
appear は外見はそう見えるが、実際にはそうでないかもしれない、という含みを持つことがある。
look は外観から判断して、実際もそうであろうという意味が含まれる。
―「カレッジライトハウス英和辞典」
だそうです。このことは、またのちほど。
seem
『ジーアス英和辞典』の注意書き。
自分の目の前にいる人・物の外観・様子をいう場合は seem より look, appear がよい。
だそうです。
seem, look, appear の語法についての説明は、『ジーニアス英和辞典』が一番詳しい。
He seems a student.
この英文は正しい?
答えは不正解。
to be を入れ、
He seems to be a student.
なら正しい英文。
なぜでしょう?
名詞(句)が形容詞もなく程度を表すものでないときは、to be の省略は通例不可。
いまいちよくわからない。
調べた結果、(基本的に)名詞単独では to be は必要だということらしい。
基本的に、と書いたのは、一つの単語でも、「主観」の要素が入っている単語なら、to be は省略可、だから。
He seems a fool.
彼はばかのようだ。
―「ラーナーズプログレッシブ英和辞典」
To be or not to be ; that is difficult;
さて。
中島文雄『英語の構造』によると、
He seems to be a doctor.
では to be は省略されないが、
He seems a good doctor.
なら、「主観的評価が入れば to be の省略は可能である」。
なぜ主観的評価が入れば、to be は省略できるのか?
ん・・・わからん。
He seems (to be) very happy. の happy のように程度を表す形容詞では to be は省略できるが、She seems to be single [× seems single]. (彼女は独身のようだ)のように段階的意味を表さない語の場合通例省略不可。
―「ジーニアス英和辞典」
段階的意味を表さない?・・・どういうこと?
要するに、こういうこと?
She seems to be single.
この英文で問題となるのは、「彼女は(本当は)結婚しているか、独身か」ではありません。
あの人と、いっしょの時は、独身よ。
という人もいるでしょうが、それは「文化」の問題です。
それはともかく。
問題なのは、single という形容詞の性質。
happy 「はっぴー」と single「独身の、彼氏がいない」。
二つとも、品詞は形容詞ですが、性質が違います。
happy には、話者の主観が込められています。
一方、single にはそれがない。
客観的に、「独身らしい」。
同じように。
student 「学生」、doctor 「医者」なども、それ自体に「主観」が込められた単語ではありません。
He seems to be a doctor.
He seems a fool.
doctor 自体に「主観」が入っていないので、to be は省略できない。
fool は話者の「主観」が込められた単語なので、to be を省略できる。
さて。
a quack doctor 「やぶ医者」なら「主観・感情」の表現になりますから、
He seems a quack doctor.
と to be なしでも OK でしょう。
んじゃ。
He seems to be a quack doctor.
He seems a quack doctor.
この違いは何なんだ?、という疑問が。
S V O (to be) C に、どっぷり混乱中並みに、どっぷり混乱中。
to be の「ある・なし」については、↑ の記事を。
その記事の中の引用文を、引用。
I find this chair to be comfortable.
(この椅子はすわり心地がいいと承知している)[必ずしも腰掛けなくてもよい]I find this chair comfortable.
(この椅子は(実際に腰掛けてみると)すわり心地がいい)
―安藤貞雄『現代英文法講義』
これと同じように考えると。
He seems to be a quack doctor.
(必ずしも自分が診断を受けたわけではないが)噂だと、やぶ医者のようだ。He seems a quack doctor.
実際に診断を受けたら、やぶ医者だと感じた。
多少、こんなニュアンスの違いがあるのですかね。
でも。
John seems (to be) sick. (ジョンは病気らしい)は、話者が直接ジョンに会ってそう判断した場合で、to be のないほうが即座に判断したという含みがある。
It seems that John is sick. (ジョンは病気だそうだ)では、話者は直接ジョンに会ったわけではなく人伝えに聞いたなどの場合。
―「ラーナーズプログレッシブ英和辞典」
だそうです。
ということは、こうか。
He seems to be a quack doctor.
診断を受けたら、やぶ医者に感じた。He seems a quack doctor.
診断を受けたら、速攻でやぶ医者だと感じた。It seems that he is a quack doctor.
噂だと、やぶ医者らしい。
上の2つの違い、微妙・・・
自分のような いわゆる文法バカが疑問に思う疑問、ネイティヴに聞くと、「そんなの気にしたことなかった」がオチのような・・・
あくまで、主観です
「主観・感情」が入った表現。
He seems happy.
真偽はともかく、「私の意見では」。
真偽は別として、というのは重要かも。
次の英文は、ミステリーの洋書から拾ったもの。
※ him = my father。
Giving him no hint of my low regard, I must have seemed a perfectly obedient son.
(父を)軽蔑しているなんて、おくびにも出さなかったので、(父は)僕を従順で、とても素直な息子だと思っていたに違いない。
―T.H.Cook 「Chatham School Affair」
実際は(客観的には)、a perfectly obedient son ではなかった。
でも、父は「主観的に」そのように思っていたに違いない。
to be が省略されているのは、モロ自分の経験だから。
ん・・・「主観」とか「客観」とか、難しいですね。
でも。
「seem like 名詞」 という便利な表現がありまして。
He seems like a student.
He seems like a doctor.
これで、「彼は学生[医者]のようだ」と言えます。
to be が必要か、否か、考えるより、よっぽど楽。
というか、この表現、かなり多い。
You seem like the loner type.
あなた、一匹狼だと思ってたけど。
ーM.Connelly「The Black Echo」
などなど。
まあ、「look like ~」のほうが多いですが。
S seem (to be) 形容詞
S seem (to be) 形容詞
※ 形容詞には、interesting や disappointed のような、形容詞化した現在分詞、過去分詞も含む。
これはほぼ to be が省略されます。
自分が洋書から拾った英文でこの形は50ほどありましたが、to be が省略されていなかったのは、たった一例。※長いので一部省略しました。
he・・・didn't seem to be lonely.
―J.Deaver「The Coffin Dancer」
サンプル数が少ないので何ともいえませんが、to be を省略するほうが、だんぜん多いでしょう。
「to be ある・なし」の違いは?
あのオチでしょうね・・・
seem のまとめ、と疑問
例の書き換え。
He seems an honest man.
= He seems honest.
= He seems to be honest.
= He seems to be an honest man.彼は正直者のようだ。
―「カレッジライトハウス英和辞典」
書き換えのために、an honest man の一語を入れたのでしょう。
じゃないと、最初の文が書けなくなるから。
× He seems a man.
と、ここまで書いてきて、疑問が。
例の、非文とされた英文。
She seems single.
これを、主観(感情)を込めた表現と考え、
(彼女は既婚者だが)まるで独身者みたいね。
と解釈可能なのか?
以前、この表現に出会った気がするんですよね・・・なんかの小説で。
しかも、話の流れとして、「まだ独身のようだ」という、主観の入っていない、普通の意味だった気が。
おしえて、えらい人。


コメント
from Junpei642
今日のお題はびっくりした。
最近私が悩んでいたことだったから。
もう悩み事ど真ん中
おかげで助かりました。
seemはしょっちゅう使っているけど、
なんか自分で使っていて変に聞こえることが多くて、
で、seem likeは簡単でいいけど、それ以外はもうあまり気にせず、seemsのあとに形容詞いれちゃいます。
でも話しているとたぶんまたゴチャマゼになって、to beいれたりしてしまいそうだけど...
ありがとうございます。
2009年9月 4日 21:55
from まさんた
Junpei さん、こんにちは。
ほんと偶然ですね!
最近買った参考書に、
Tom seems to be a sailor.
× Tom seems a sailor.
ということが書いてありまして。
この法則、前から知ってはいましたが、「なぜ?」と思い、いろいろ調べ、記事にしました。
読めば一目瞭然の、大混乱ぶりですが。
それにしても、「こういう表現はダメ」と書いてあって、理由が書いてない参考書多すぎ。
おかげで、文法書や辞書を引っ掻き回し、いい勉強になっちゃいました。
続きは、じっくり調べて、整理してから書く予定。
でも、自分が納得するまで調べると、ブログに書く気がなくなってしまう、という、不可解な法則がありまして・・・
2009年9月 4日 22:44