2009年9月29日
関係代名詞についての、ちょっとしたメモ
関係代名詞には「制限用法」と「非制限用法」がありますね。
「制限用法」は「限定用法」。
「非制限用法」は「継続用法・連続用法」などとも呼ばれます。
(なんだ、意味不明なこの文法用語は!と心の叫び)
簡単にいえば、コンマ「 , 」がなしが制限用法。
カンマありが、非制限用法。
しかし、英語を読むうえで、関係代名詞が重要なのは、カンマがある・なしの二分法だけではありません。
制限用法と非制限用法の違い
a. He has two sons who became teachers.
(彼には教師になった息子が二人いる)b. He has two sons, who became teachers.
(彼には息子が二人いるが、二人とも教師になった)(a)は教師になった二人のほかにも、息子がいるという含みがある。一方、(b)は、「息子が二人いて、その二人が教師になった」という意味だから、息子は二人しかいないことがわかる。
―安藤貞雄「現代英文法講義」
ただこれ、どうなんでしょう?
杉山忠一『英文法解説』には、こう書いてあります。
The two passengers who were seriously injured were taken to hospital.
重症を負った2人の乗客は病院へ連れて行かれた。The two passengers, who were seriously injured, were taken to hospital.
その2人の乗客は、重症を負っていて、病院へ連れて行かれた。
という例をあげ、
両者の違い(※制限用法と非制限用法)の違いは、必ずしも明りょうでない場合も少なくないが・・・
としている。
川田拓矢『川田流英語のツボ』では、ズバリ言い切る。
制限用法、継続用法には、十中八九何の差もない。(略)カンマのあるなしで意味が変わってしまう例文は好事家が何年もかかって収集したひどく珍しいものであって、まったく気にする必要はない。
自分が制限用法・非制限用法の区別を強く意識したのは、マーク・ピーターセン『日本人の英語』の、この記述。
「私が去年受賞したノーベル賞はとても光栄でした」のような日本語を、コンマ抜き(限定用法)で、
The Nobel Prize which I received last year was a great honor.
という英語に直してしまったら、それは今度受賞したノーベル賞は初めてではなく、自分は前にも受賞したことがあるということになる。しかも、その英語のニュアンスとしては、「前に受賞したやつはともかく、今度の場合は光栄です。」というひびきも多少あるので、これは注意すべき点だと思う。いうまでもなく、非限定関係節にして、次のように直せば意味は正しく伝わる。
The Nobel Prize, which I received last year, was a great honor.
これはこれで覚えておかなくてはなりませんが。
最初にあげた例文。
He has two sons who became teachers.
という英文を読んだとき、十中八九、いや、十中九.九.九、
彼には二人の息子がいて、二人とも教師になった。
と受け取る(自分は)。
会話では、関係代名詞を使わず、
He has two sons. And They (Both of them) became teachers.
とするのが無難でしょう。
コンマなしの非制限用法
次の英文は制限用法?非制限用法?
Beneath a stack of shirts was a skin magagine which announced on the cover that nude photos of a leading Hollywood actress were provided inside.
【語句】
¶skin magagine ポルノ雑誌、エロ本。
¶a stack of ~ 山積みになった~。
¶leading Hollywood actretress 売れっ子のハリウッド女優。
―Michael Connelly 「The Black Ice」
英文を初めから。
Beneath a stack of shirts
山積みされているシャツの下に
was a skin magagine
一冊のポルノ雑誌があった
この英文は倒置構文ですね。
元に戻せば。
A skin magagine was beneath a stack of shirts.
主語、a skin magagine に関係節が続き、長くなるので倒置されたものです。
was a skin magagine
一冊のポルノ雑誌があった
どんな?
which announced on the cover
表紙に大々的に書いてあった
なんて?
that nude photos of a leading Hollywood actress were provided inside.
売れっ子のハリウッド女優のヌード写真が掲載されている、と。
that節は announced の目的語。
さて、もう一度、全文と試訳。
Beneath a stack of shirts was a skin magagine which announced on the cover that nude photos of a leading Hollywood actress were provided inside.
ぶっつまれているシャツの山の下に、一冊のポルノ雑誌があった。表紙には「売れっ子のハリウッド女優のヌード写真、掲載」と大々的に書いてある。
コンマがないので、制限用法?
とすると、このポルノ雑誌のほかに、(何冊かはわからないが)ポルノ雑誌があった、ということになる。
だが、あったのは一冊、としか読めない(※ミステリーなので詳しくは書けません)。
よって、この which はコンマのない非制限用法ということになる。
関係代名詞の「意味」
制限用法・非制限用法の違いも重要ですが、それと同じぐらい重要なことがあります。
関係代名詞は「つなぎ役」だけではなく、「意味」をもつことがあります。
それを幾つか。「~用法」という命名は、自分です。
強調用法・味付け用法
He was a man who didn't believe in coincidences.
彼は偶然の一致など信じる男ではなかった。
-Michael.Connelly 「The Black Ice」
こういう英文を、個人的に「強調用法」と呼んでいます。
a man who を削除して、
He didn't believe in coincidences.
としても、あまり意味は変わらない。
He is a man
彼は・・・な男だった
どんな?
who didn't believe in coincidences.
偶然の一致など信じない。
2文を比較。
(1) He was a man who didn't believe in coincidences.
(2) He didn't believe in coincidences.
(2)は客観的な書き方。
(1)は、「彼は偶然の一致など信じない、そういう男なのだ」という、who 以下を強調する書き方。
同様の例。
He was an ex-Marine who believed boys should live by the crack of the whip.
彼(父親)は退役海兵隊で、男たるもの、子ども時代は鞭に打たれて育つべきだ、が信念だった。
-John.Grisham 「Rainmaker」
これは、さきほどの英文と構文的に同じ。
He was a man who ・・・
の man が ex-Marine に「味付け」されたもの。
was an ex-Marine who を削除し、
He believed boys should live by the crack of the whip.
としても、それほど意味は変わらないが、was an ex-Marine をはさむことで、「退役海兵隊なので、教育に対しては厳しい考えを持っていた」というニュアンスが出る。
もちろん、退役海兵隊の人がみな同じ考えを持つとは思いませんが。
それを、どうした?用法
非制限用法の英文をひとつ。
ひとくちに「非制限用法」といっても、いろいろあります。
たとえば、「それを、どうした?」用法。
She handed Mitch the earphones, which he stuck onto his head.
彼女はミッチにイアフォンを手渡し、ミッチはそれを耳にはめた。
―Jhon.Grisham 「The Firm」
which の先行詞は the earphone。
コンマのあとの英文は、先行詞(それ)を「どうした」。
この英文を書き換えれば、
She handed Mitch the earphones. (And)he stuck them onto his head.
となりますね。
つまり、A → B という流れ。
非制限用法の半分ぐらいは「それを、どうした?用法」なのではないでしょうか。
関係代名詞の、理由用法
関係代名詞は「理由」を表すことがあります。
The air was humid, which would buoy the slug.
¶humid (形容詞)湿度が高い。
¶buoy (動詞)浮かす。
¶slug (名詞)弾丸。湿度は高い。きっと弾丸は浮く。
―Jeffery.Deaver 「The Coffin Dancer」
which の先行詞は、「The air was humid」。
先行詞は「理由」を表しています。
「湿度が高いので、きっと弾丸は浮く」。
これは、関係代名詞の理由用法。
余談ですが。
will (また、時制の一致による would)を「~だろう」とするのは、間違いとはいえませんが、ほぼ間違い。
will は、確信度がとても強い助動詞です。
話を戻し、「理由用法」をもう一例。
She changed her mind, which made him very angry.
彼女は心変わりした。それが彼をたいへんおこらせた。
―「ヴィスタ英和辞典」
これも「彼女が心変わりしたので、彼はたいへん怒った」ということ。
「まとめ」でない「まとめ」
- コンマなしの非制限用法
- 強調用法・味付け用法
- 理由用法
などについて少し書いてみました。
関係代名詞にはもっといっぱい「用法」があります。
そのうち、まとめてみます。


コメント
from ArtSalt
文法書の1冊もまともに読んだことがない私が言うのもなんですけど、「関係代名詞の制限用法と非制限用法」というおおげさな用語はどうにかならないかな、といつも思います。幸いにも私は学生時代、その「なんとか用法」ということばを知らずに英語を勉強したので英語の成績がよかったんですが、知っていたら英語嫌いになったかもしれません。
あと、英語のネイティブはカンマのところで息をとめるから、会話でも両者の違いがわかる、という話を聞くと、「じゃあ、関係詞の直前でくしゃみが出そうになって一時的に息をとめてしまったら、どうなるんだ? 最初から言い直すのか、英米人は?」といつも思います。
2009年10月22日 22:35
from まさんた
ArtSalt さん、お久しぶりです。
本文に引用した川田拓矢さんの言葉をもう少し引用します。
個人的経験では、ネイティブと話していて関係代名詞の前で一呼吸置くようなことがありましたが、あれは話しているスピードの都合のような感じがしました。
こちらのリスリング力など知らない人は、ナチュラル・スピードで話すので、関係詞の前で息がとまったのかなんてわからず。
こちらのリスニング力が分かっている人は、ゆっくり話すので、あらゆる切れ目、切れ目で一呼吸置く。
よって、非制限用法なのかわからず。
そもそも、会話しているとき、「これは制限用法?非制限用法?」など考える余裕なんてありませんでしたけどね。
関係詞の直前でくしゃみがでたら・・・
「Sorry」とは言うでしょうが・・・
ネイティブと話す機会があったら、関係詞が出そうなところでよじったティッシュを鼻にグリグリして確かめてみます。
2009年10月23日 17:59