2009年8月25日
潮田五郎『潮田の英解講義』(絶版)
英語の参考書の殿堂入りした、高橋善昭(著)『英文読解講義』を探しに、我が家の地下47階までもぐってみました。
残念ながら、探し物はナンですか?でしたが、違うお宝発見。
こんなの買ったっけ?と思いながら読んでみたら、思わず地下47階にいるのを忘れるほどの名著でした。
それにしても目的の高橋善昭『英文読解講義』、地下48階にあるのかな・・・。
見事、殿堂入り!
Amazon で調べたら、『潮田の英解講義』、絶賛絶版中で、見事に殿堂入り。
『潮田の英解講義』 定価 900円。
わかりやすい解説と、訳文へのこだわり
It is 時間 + before ~ の構文の説明。
赤字は原文のママ。
It was a week before Tom got well.
= Tom got well after a week.
(トムは、一週間してようやく良くなった。)「ようやく」という日本語をいれたらいい。なぜなら、この構文は、a week に重点が置かれていて、時間がかなりたっているということを表現する構文ですから。
簡潔で、実にわかりやすい解説。
訳文へのこだわりが素晴らしいです。
Nowhere in the world is the land price highter than in Japan. という英文に対し、
(日本ほど、地価の高い所は世界中どこにもない。)
一読してすっと入る訳文でなければだめです。
「日本におけるよりも地価がより高いところは世界中どこにもない」などと、こんな日本語のようでいて日本語でない訳語はやめてください。さらっとした訳文にしてください。
There has always been ~ には、
always はこの場合「昔から」というのが一番いい訳です。
肉屋の話に登場する、buy bad meat (原文では buying bad meat ですが)という英文にたいして、
肉屋が肉を買うといえば、仕入れるに決まっています。神経をぴんと張りつめた訳をつけてください。
そのほかにも。
the ocean はアメリカと日本の話をしているのですから、もちろん太平洋でなければだめ。
文法の解説ですが、あまりダラダラ書くと怒られるので、簡潔に。
ひと言。素晴らしい!
英作文への配慮
英作文に対しては、現代の「普通の言い方」へのこだわりが。
受験英語には、たまに堅苦しい文語的な英文が出ます。
それに対し、かる~く一喝。
英作文で書いてはだめです。
本当に講義を受けている気持ちがします
語彙数50~100の英文が56題。
たんたんとした口調で書かれているので、まるで本当に講義を受けている感じがしました。
自分は参考書をレビューするとき、最低2回は通読します(※ 分厚い文法書は別として)。
でもこの参考書、読んだっけかなぁ
まったく汚れていないんですけど・・・。
まあ、持ってた、っていうことは、「以前に一回読んだ」ってことで。
潮田さんについて
それにしても。
絶版とはいえ、なんでこんな高値が付くの?
良書だから、といえばそれまでですが。
でも普通、参考書なんて古本なら二束三文。
極秘情報なので書けませんが、著者が亡くなると、著作が高騰する傾向があるらしい。
もしや?と思い、ググってみる。
ありました。
潮田五郎先生まで逝去とは・・・(T_T)
今はウィキに潮田さんの記事がありませんが、昔はあったんですね。
引用させていただきます。
あと、Wikipedia の方にも簡潔にまとめられた記述があったので、引用させていただきます。
横山ノックを思わせる風貌とは裏腹に、低いバリトンボイスと明快な発音で英文を読み上げつつ、英米文学や言語学に裏打ちされた教養溢れる講義を、時折印象的なジョークも交えながら行った。単科のテキストは、読解のパートはほとんどが原典からの新作問題で、語彙・構文・内容すべてにおいて大学入試の水準を超えていた。また、英作文(和文英訳)の解答例にも高い定評があった。代ゼミの黄金期を支えた講師の一人であり、富田一彦、小倉弘、佐藤ヒロシら現役の英語講師たちも、受験生時代に氏の薫陶を受けている。
さらにそのページから孫引き(引用元ブログがもうないので)。
潮田五郎さんの事業風景。
まずは本文中の、アクセント問題で狙われる単語の総チェックを一気に行なう。それから、本文読解。これがお決まりのパターンである。発音がとてもいいと評判だった。『ジェット・ストリーム』のナレーションかと思うような、非常に渋い低音で入試英語を語る。夏の午前中、クーラーのきいた静かな教室で先生の講義を聴いていると、受験勉強のはずなのになぜか贅沢な気分になれたのは、果たして筆者だけだろうか?
板書量はかなり多い。その内容は主に本文中の重要単熟語・構文の書き換え、発音・アクセント関連など。いわゆる「構文主義」的な解説・板書はしない。It ~ that ... などといったパターン構文に、重要単熟語や語法などを当てはめて、最後に日本語訳をつける、といった古典的な授業スタイルである。
単科・本科共に、テキスト収録問題はすべて解説する。しかも、毎週必ず、90分授業の終了チャイムと共にピタッとその日のノルマ部分が終わるという、まさに神業的な講義展開だった。もちろん、時間が余って雑談等で潰すといった邪道は一切ない。
たしかにこの本でも、最初に発音、アクセントの解説があります。
perháps、ナチュラル・スピードで読むと〔præps〕になり・・・
ナイス。
絶版になった参考書、どうにかならない?
こういう、高値がついている参考書、どうにかならないのでしょうか?
この本でいうと、版権は代々木ゼミナールと故人のご遺族。
こういう本、おそらく復刊させてもそれほどは売れないでしょう。
だから、両者とも動かない。
そこで。
「潮田の英解講義」というサイトを作り、広告を貼れば、と。
版元と、ご遺族の両方に入る形で。
と、思いつつも。
古本は、古本屋で買いましょうね。
足を使えば安く済みますから。


コメント
from Shin
はじめまして。引用していただいた「潮田五郎先生まで逝去とは・・・(T_T) 」を書いた者です。
何気なく潮田先生のことをググッててここにたどり着きました。
で、拝見してて自分のブログが出てきたのにびっくり(^^ゞ
引用、ありがとうございます。そのときにはまだあったWikipediaの先生のページも無くなっちゃってたんですね。全文コピーしとくんだった。
あそこの、「独自研究は絶対ダメ」みたいな四角四面な編集方針はなんとかならんものかと思いますがW 先生を偲べる数少ないサイトだったのに・・・。
それはさておき、潮田先生の解説と訳文の素晴らしさへの言及、僕もその通りだと思います。「そうそうそう」と思いながら読ませていただきました。
そして、その先生に何度か褒められた僕は凄い(嘘)
冗談はともかく、本当に先生の講義が蘇るようでした。ありがとうございます。
しかし、この本、すごい高値ですね。聞けば先生の唯一の著書だそうで(それも信じられないのですが)ほしくてたまりませんがとても買えません(そもそも入手困難なようですが)。
まあ、縁があったらどこかで(買えるくらいの値段がついた状態で)出会えればいいな、くらいに思っておきます。とにかく、一度通して読んでみたいなぁ。
突然で、しかも長々と失礼いたしました。
2010年5月 7日 18:36
from まさんた
Shin さん、はじめまして。
そして、許可なく Shin さんのブログから長々と引用させてもらったことを、ここで事後報告します。
引用させてもらいました。
ところで。
今、Amazon で確認したところ、中古もなくなっていました。誰か買ったんですかね?
実際に潮田さんの講義を受け、「何度か褒められた」 Shin さんがこの参考書を読んだ感想をぜひとも聞きたいです。
Shin さんの家の近くのブックオフで安く売り出されることを、切に願います。
潮田さんは「気をつけて」が口癖だったんですかね?
この参考書にも何度も出てきます。
こんな短い文章にも、長く受験生に教えた経験や、人柄が表れていますね。
いま『潮田の英解講義』をサラッと読んでみました。
で。
56 ある「講義」、1つぐらい まるっと書いても、著作権上、問題はないと思うので、そのうち自分が一番気に入った「講義」をこのブログで「再現(コピー)」しようと思いました。
最後に、この参考書の「はしがき」の一部を引用。
大学に合格すればいいや、に対する、潮田さんの受験生へのメッセージ、ですね。
2010年5月 7日 22:06
from Shin
こんにちは。
ちゃんと引用先を明記していただいてますから全然問題ないですよー(^_^)v
ところではっきりとは覚えてませんが、そういえば「気をつけて(^_^)v」みたいな感じで、おっしゃったあと顔を上げてニッコリされてた(ことが結構あった)ような覚えがあります。
それと「はしがき」の件。
僕のそのエントリにも書いたんですが、潮田先生同様好きだった化学の大西先生の講義もそうだったんですが、本質を壊すようなことを一切されないんです。
前によく話題に出てたと思いますが、中学校の数学の授業で“わかりやすくするために”円周率(3.14159265・・・)を「3」とする、といった話がありましたよね。大西先生も潮田先生もそういうことは邪道だと一切されない。
大西先生の講義に顕著だったんですが、結局、ちゃんとした化学反応の仕組みを端折って(一部ごまかして)教えても(学んでも)それはちゃんとした理解につながらない、と予備校でありながら大学の化学の内容まで含んだものを教えていたんです。
実際、その方が高校の時に「なんとなくおかしい、わからない」と思ったことが氷解することにつながったんです。
潮田先生も、英語も“ホンモノ”なら、それを訳した日本語も日本語としてちゃんとしていることを本当に重視されていました。
手前味噌で恐縮ですが、僕が先生に褒められたのも、どういうわけだか「キミは、枝葉末節はともかく幹がしっかりした英文を書くね」といったポイントだったんですが、だからこそうなずけるんです。
あのあと別のサイトで見つけたんですが
http://morimine.sakura.ne.jp/c/bbs4db/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=419;id=rc
この記述など、まさにその最たるものですね。
科学や英語に限らないと思いますが、今さらながら、“本質を捉える”ことは重要なのだろうな、などとあらためて思っています。
長文、失礼いたしました。
ブックオフなどに出向くことがあったら、ちょこちょこ探してみますよ(^^;;
P.S.
僕も割とこだわる方なのですが(と言いつつ上のコメントではやってないけどw)、英単語(半角英字)と漢字・ひらがなとの間に半角空けていらっしゃいますよね。僭越ですが、ちゃんとした方だなぁ、と感じ入りました♪
2010年5月 8日 13:22
from まさんた
Shin さん、こんにちは。
渡部昇一(著)『続 知的生活の方法』にこんな一節があります。
ドイツ語が話せない渡部さん。
それでも、「ドイツ語で論文を書きたい」と。
一年後に書いた論文を見たドイツ人の教授の談。
「枝葉末節はともかく幹がしっかりした英文」を見て思い出しました。
英語でも日本語でも、読んで意味がわかる、が一番。
昔、岩波文庫などの哲学書の翻訳を読んで「意味わかんねぇ・・・俺は なんて頭が悪いんだぁぁぁ・・・」と嘆いてましたが、最近は、「俺にわかるように翻訳しない訳者が悪い」と、責任転嫁しています。
それはともかく。
even の件ですが、潮田さんはこう言っています。
そして、こんな風に訳しています。
僭越ながら思ったのは、「一歩譲って」という言葉。
even に込められた、著者の「言いたいこと」とを考え、自分なりに訳してみると・・・
と、ここまで書いて・・・。
今宵は色々とお酒に飲まれまして・・・。
明日、シラフになったら、きちんとしたコメントを書きます・・・。
さて、日を改めまして。
『Longman』の even の定義。
ん・・・ちょっと、いろいろ調べてから、even について記事にしてみます。
そのうち。
数年前、受験参考書を色々と読んでみましたが、「訳文」の良さでは、潮田さんと、奥井潔さんのがズバ抜けていいですね。
お2人とも、亡くなってしまいましたが。
2010年5月 8日 23:03