2009年7月 3日
No matter 疑問詞、 何ゆえ、「譲歩」?

No matter 疑問詞 を「譲歩」って言いますけど、どういう理由で?っていう話。
混乱する英文法用語
英文法用語はよく考えると混乱することがありますね。
仮定法なんかでもそうですけど。
現在の仮定、
If I had longer holidays, I would travel around the world.
もし休暇がもっと長いならば世界中を旅行するんだけど.
―「ヴィスタ英和辞典」
この用法を仮定法過去と言ったり。
「現在の仮定」は動詞を過去形にします。
日本語でもそうでしょう。
今日、遊園地に行く予定でしたが雨が降ってしまいました。
その時、「あ~あ、行きたかったのになぁ...」とか。
と教えるほうがわかりやすいと思いますが。
閑話休題。
以前、『ヴィスタ英和辞典』の「フォーラム」という解説を引用して、as if と as though の意味が同じなのは、なぜ?という記事を書きましたが、今回は no matter について。
『ヴィスタ英和辞典』の解説が傑作です。
まるっと半分ぐらい引用します。
【Q】 No matter what he says, don't go. を訳すと,「彼が何を言おうとも,行くな」になると習いました.
しかし,What he says は「彼が言うこと」という意味で,これがどうして「彼が何を言おうとも」になるのかがわかりません.それから,この No matter... は「譲歩」を表すのであると教わりました.
でも,「彼が何を言おうとも」がなぜ「譲歩」なのかがわからないのです.
「譲歩」というのは「自分の主張の一部または全部をまげて,相手の意見と折り合いをつけること」であると,たとえば『大辞林』(三省堂)に説明があります.
とすれば「彼が何を言おうとも」というのは,何も譲歩していないのではないでしょうか.
「彼の言うことを無視してしまえ」と言っているのではないでしょうか.【A】 日本語の「譲歩」は,確かに質問にある通りの意味です.
「譲歩」はもともと「道を譲(ゆず)る」ことを表しました.
ですから,相手の言うことを認めることになります.しかし,英語の No matter... は,相手の言うことなど無視してしまいます.
たとえば、No matter what you say, I will go.
これは「あなたが何を言おうが,私は行くのだ」と言っています.
「あなたの言うことなど,問題ではないのだ」です.
そして,落ち着いて考えれば no matter というのは「ゼロの matter」という意味ですね.
「重大な問題でも何でもない」ということです.
結局「あなたの言うこと(waht you say)は,重大な問題でも何でもない(no matter)」が,No matter what you say の本当の意味です.
そういうことで「譲歩」という文法用語は気にしない,あるいは,忘れたほうがいいのです.
昔,この言い方を「譲歩」であると説明した人がいたのでしょうが,その人がだれであるかはわかりません.
日本語を知らない人がそう言ったのかもしれません.
実に辛らつ。
そして、「譲歩」という用語なんて忘れてしまえ、と、こんな風に強烈に説明されたら・・・
生徒の頭の中には「譲歩」という言葉が逆にこびりつくことでしょう。
それはともかく。
No matter 問題じゃない / what you say, 君の言うことは、 / (そんなの無視して) I will go.
ということなんですね。
『表現のための実践ロイヤル英文法』の中の、マーク・ピーターセンさんの解説、
Helpful Hint68 No matter... . の基本的な意味
what, where, why, when, who, how ― どの疑問詞とも組み合わされる No matter... .は,It doesn't matter... .の省略形と考えてよい。
It doesn't matter [what, how など] と同じく,「・・・だろうとも,そんなの関係ない」というのが基本的意味である。
また,同じ意味をもう少し堅い言葉で表現したい場合,Regardless of [what, how など] に言い換えればよい。
ところで。
この記事を書くのに、matter という多義語についても調べてみました。
「物質」から、なぜ「重要である」という意味が生まれたのか、など。
まあ、それについては、おいおいと。


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