2009年6月29日
freedom と liberty、「自由」の意味の違いは?
柳父 章(著)『翻訳語成立事情』に、こんな一文があります。
かつて福沢諭吉は、liberty の翻訳語として、「自由」ということばはよくない、と言いながら、結局はこの訳語を用いた。
おそらく「自由」が、民衆の日常語だったからであろう。
この前、受験を控える高校生から freedom と liberty の意味の違いを聞かれまして。
あやふやな知識で説明したら、「わかったような、わからないような」顔をしていましたが。
今回は、その話。
自由の女神の「自由」って?
自由の女神(The Statue of Liberty)は、なぜ The Statue of Freedom ではないのでしょうか?
Longman で liberty を調べると、最初の定義は freedom になっています。
1 FRFEDOM [U] the freedom and the right to do whatever you want without asking permission or being afraid of authority
freedom を調べてみます。
1 [C,U] the right to do what you want without being controlled or restricted by anyone
だいたい、同じような定義。
しかし、liberty の定義をよく読むと、大きな違いというか、ニュアンスの差が出ているところがあります。
1 FRFEDOM [U] the freedom and the right to do whatever you want without asking permission or being afraid of authority
『ヴィスタ英和辞典』に次の記述があります。
... liberty は「束縛(そくばく)から開放されて得る自由」を強調する.Statue of Liberty (自由の女神)も,合衆国がイギリスの束縛から解放されて得る自由を表すものである。
研究社『新英和大辞典』によると、
自由:
freedom
妨害・制限・抑圧などのないこと《最も意味の広い語》:freedom of speech 言論の自由.liberty
権利としての自由で,監禁・奴隷状態から開放されていること《過去の抑圧を暗示する:格式ばった語》:Lincoln granted liberty to the slaves. リンカーンは奴隷に自由を与えた.
『ジーニアス英和大辞典』の freedom と liberty の説明。
freedom
(束縛・拘束のない状態を積極的に享有する)自由(の状態), 束縛のないこと。liberty
以前の拘束状態を暗示し, 現在の解放状態に重きを置いた消極的な自由。
liberty は「過去の抑圧」や「以前の拘束状態」を暗示するようです。
だから、自由の女神も、the Statue of Liberty (※ 正式名称は Liberty Enlightening the World)。
アメリカはイギリスの植民地でしたからね。
ちなみに、アメリカの憲法の前文(The Preamble)にも、
... secure the Blessings of Liberty ...
と liberty が使われています。
ところで。
『スコット フォースマン 英語類義語辞典』をみると、
liberty は,好きなことを言ったり行ったりすることができる状態,を意味する.
freedom は,liberty とほぼ同じ意味である.
となっています。
※「好きなことを言ったり行ったりする...」は原文のママ。
だいたい同じなんでしょうかね。
feedom of speech (言論の自由)を、liberty of speech とも言ったり、行ったりするようですし。
でもやはり liberty のほうが政治色というか、そっち系のニュアンスが多分にあるような気がします。
『Oxford Collocations』を見ると、freedom の慣用句として載っているのは、
freedom of choice,
freedom of expression/speech,
freedom of movement,
freedom of the press
一方、liberty は、
an infringement of liberty, (※ liberty の侵害)
loss of liberty,
a threat to liberty
やはり liberty のほうが物騒。
以前、「日本人は水と安全を ただ だと思っている」と言う、イザヤ・ベンダサンの言葉が流行ったようですが、freedom や liberty もタダだと思っているかもしれません。
freedom や libery には血塗られた、どす黒い歴史があるのに。
フランス革命などはその極み。
それはともかく、フランスついでに。
フランス語の「自由」は、liberte [リベルテ]。
英語で言うところの liberty です。
liberte と liberty。そっくりなのは、両語ともラテン語から来たから。
フランス語では、~の自由は liberte です。
liberte d'opinion (言論の自由)など。
freedom にあたるフランス語は、やはり liberte。
freedom は、イギリスに古くからある、日本語でいうところの「大和言葉」。
見ればわかりますが、free からの派生語です。
free の原点をたどると・・・
英語語源辞典で free を調べると、昔、といっても、遥か遥か遠い昔は dear, favourd という意味で、さらにたどれば、※pre- で、to love という意味だったそうです。
◇「愛する,いとしい」→「自由な」の意味変化はゲルマン語とケルト語に共通して見られる.ゲルマン語に置ける用法はケルト語の影響か.
free の大元、※pre- を語源として持つ英単語に、friend があります。
余談ですが、p から f への発音の変化はよくあることです。
liberty の語源は・・・
行き着く先は、ラテン語の liber [リーベル]。
意味は、[ラテン → 英語辞典]で調べると、ズバリ、free。
なんだか、元に戻った感じ。
でもラテン語の liber にも「拘束されていない、尊いもの」というニュアンスがあるようです。
libertas auro potior.
自由は黄金より貴し.
―ギリシア・ラテン引用句辞典
自由すぎる結末・・・
なんだか久しぶりの記事なので、支離滅裂でした。
最後に「自由」について思ったことを、自作英文で。
Too much liberties are akin to bondage.


コメント
from Junpei642
普通に英語を話しているときは
「自由」と言いたいときはfreedomを使いますよね。
libertyはかたい言葉だと感じるし、
なんか開放された、勝ち取った自由という感覚をいつも感じます。
でも本などの読み物から、あらためて同じ意味を持つ言葉を比べることはいいですね。
それが学習だと思います。
私はNativeと話しているときに、たとえば
difficultとconundrumがどう違うかという話をしたりしますが、この言葉ってGreenspanが使って一躍有名になったんですね。この前NHKで見て初めて知りました。
友達がconundrumという言葉を使ったときは、私もめちゃくちゃ感情的になっていろいろ文句を言ったら、
Don't presume to tell me what to do!ときれられたんだっけ。
その仲直りのついでにconumdrumの意味を二人で話したんだ。
というのは、私の知らない言葉を使われて、それを辞書で調べたとき、どこまで言葉が深い意味を持っているのか見当つかないことがあるんです。ニュアンスが伝わらないっていうのかな?
つくづく言葉が違うって大変だと思いました。
なんか勉強だけでは追いつかないことがいっぱいあります。
2009年7月 1日 16:27
from まさんた
こんにちは、Junpei642 さん。
conundrum ですか。
Word Power Made Easy にも載っていない難単語ですね。
そんな単語が今有名になっているとは知りませんでした。
でも conundrum という単語は知っていました。
といっても、
----------------------------------------
a confusing and difficult problem
―「longman」
----------------------------------------
という意味ではなく、
----------------------------------------
a trick question asked for fun
----------------------------------------
「洒落なぞ、とんち」という意味で。
数年前に古本屋で買った、中村保男(著)『楽しむ英語』という本に conundrum が出てたので。
Q : Why is an onion like a piano?
その答え。
A : Because it smell odious. ※原文のママ
→ Because it's melodious.
conundrum の語源なども調べましたが、略。
外国語のニュアンスというか、裏に込められた意味は理解しがたいことが多いですね。
海外に住む Junpei さんですら、そうなのですから、自分の場合、辞書と、当てにならない感性のみで理解しなければならないから大変です。
英語の勉強は、日本で出来ることだけをやればいいや、とあきらめていますが。
2009年7月 1日 19:31