S V O (to be) C に、どっぷり混乱中

We believe (that) she is honest.
= We believe her to be honest.
= We believe her honest.
私たちは彼女は正直だと信じている.

こういう書き換え問題、やったことあると思います。

まあ、会話でもっぱら使われるのは that なしの「We believe she is honest.」だと思いますけど。

じゃあ、to be だったら?
to be もなかったら?

という話を。

こんなことや、あんなことが書いてあったり

『ラーナーズプログレッシブ英和辞典』の解説。

I believe him (to be) cruel.
《形式》 彼は残酷だと思う( to be )を省くとさらに堅い表現になる.
I believe (that) he is cruel. のほうが 《略式》

たんなる、格式ばった言い方か、口語的か、の違い?

でもこんなことも書いてあったり。

I find this chair to be comfortable.
(この椅子はすわり心地がいいと承知している)[必ずしも腰掛けなくてもよい]

I find this chair comfortable.
(この椅子は(実際に腰掛けてみると)すわり心地がいい)
安藤貞雄『現代英文法講義』

意味の違い、なぜなんでしょうかね。

その前に、中島文雄『英語の構造』にのっていることを。

(7) I understand that he is willing to help.
(8) I understand him to be willing to help.

(7)は that-節で述べられていることがらを承知しているのに対し、(8)は「私の了解では」彼は喜んで助けてくれそうだというほどの意味で、多少意味の焦点がちがう。
(8)の方は、ことがらよりも了解作用の方に重点がおかれている。

つまり、(7)は、自分で聞いたり、人から聞いたり、とにかく、「彼は喜んで助けてくれると思っている」。

(8)は、「私が知る限りでは、彼は喜んで助けてくれる」。

ということ?

でも、『現代英文法講義』では、

I thought that John was innocent.
= I thought John to be innocent.
(ジョンは,無実であると思った)

と、意味の違いについてはふれておらず、「 = 」 だと。

まあ、焦点がちがっても、意味は同じ、ってことでしょうか。

さらにさらに。

上の英文から to be を省略してできる文、

I thought John innocent.

これは学校では第五文型だと教わります。

しかし、『現代英文法講義』では、第三文型だとしています。

以下の引用に出てくる「小節(small clause)」とは、述語動詞のない節のこと。
上の英文では、[John innocent] の部分。

...学校文法では SVOC 型とされるのが普通であるが、厳密には " 小節 " 全体が目的語であるから、文型は SVO 型である.

つまり、[John innocent] は、Johon is innocent と同じ意味だということ。

そこで、上にあげた英文。

I find this chair comfortable.
(この椅子は(実際に腰掛けてみると)すわり心地がいい)

これは、

I find [this chair comfortable].

[この椅子はすわり心地がいい]という小節を find、ということなのでしょうかね。

では、

I find this chair to be comfortable.
(この椅子はすわり心地がいいと承知している)[必ずしも腰掛けなくてもよい]

これは?

そこで、中島文雄『英語の構造』より。

(9) I found that the cage was empty.
(10) I found the cage to be empty.
(11) I found the cage empty.

(9)は籠(かご)の鳥を見に行ったら「籠がからであること」を発見したような場合、(11)は「籠を見たら」からだったというような直接の知覚を表すような場合、(10)はその中間態でどちらの意味にもとれると解釈されよう。

よくわかるような、わからないような...。

自分なりに解釈すると、

I found that the cage was empty.

は、客観的な叙述。

I found the cage empty.

は、裏に意味があり(鳥が逃げた! など)、それに対して感情や意見がある、感じ。

I find this chair comfortable.
(この椅子は(実際に腰掛けてみると)すわり心地がいい)

も同じですね。

I found the cage to be empty.

は、どっちの意味にもとれる。

I find this chair to be comfortable.
(この椅子はすわり心地がいいと承知している)[必ずしも腰掛けなくてもよい]

と同じですね。

結局、よくわからない?

と書いてきましたが、結局、学者の間でも意見がわかれているようです。

長いですが、『教師のためのロイヤル英文法』より引用。

Patterns や Frank、Close、CGEL は英語の文法書のこと。

prove, consider の類の動詞は、〈 S+V+O+C 〉 の構文をとるが、この型を一般に to be の省略だとしたり、意味を考慮せずに例文を作ることには問題がある。

基本的には、〈 S+V+O+to be +C 〉 型は、受動態以外では実際にはそれほど用いられず、〈 S+V+O+that 節 〉型のほうが口語的であるという事実がある。

次に、一般的にこの型で、to be は自由に挿入・省略できるか、あるいは意味は変わらないかというと、文法書や辞書にもバラツキがある。

Patterns などでも初版(p.23)と2版(pp.76-7)では記述が違っている。(たとえば report では、同一例文でも初版は省略を認め、2版は認めていない) Frank は、特に注はつけずに、We found her to be a very dull person. の to be を省略すれば a very dull person は目的補語になると言っている。

find の場合は、さらに We found her asleep. などと区別する必要があるといった問題もある。

また、know や guess などのように、to be を省略しないほうがふつうなものもある。

Close は、acknowledge, believe, discover, fell, imagine, judge, report, suppose なども to be は省略できないとしている。

また、意味については、たとえば CGEL (p.1197)は I imagined myself severly ill. という文では、話者は「自分が重症だと想像してみた」のであるが、I imagined myself to be severly ill. だと、話者は「重病だと思い込んでいた」、つまり「心気(きやみ)症患者」だと言っている。

ね。

" 踏み込んではいけない世界" の臭いがプンプンするでしょう。

そして続く文。

結局は、って話。

要するに、教師の側としては、この型の文については用例を勝手に作らず、to be の省略を含めて、辞書に当たって、その意味と共に実例を確認する配慮が必要である。
初段階では第5文型として示す必要はあまりないと言ってもよい。

江川泰一郎『英文法解説』にも明快な解説がのっています。

この構文は使用頻度が低く、使われる場合は能動態よりむしろ受動態のほうが多い。
ということは、We thought him ( to be ) a nice man. よりは We thought ( that ) he was a nice man. のほうがずっと普通であるが、He was thought to be a nice man. は極端に頻度が低くはないということである。

なお、この構文における to be の省略についてであるが、これについては一定の指針はなく、口調その他の関係で to be が出没するとしか言えない。
ただ、上にあげた動詞(※ think, guess, feel, know, report, believe)の中では know だけが to be の省略は不可と考えてよいであろう。

ようするに、

こんな構文にかまうな!

ましてブログの記事なんかにすんな!

ってことですかね。

コメント

from Junpei642

今日のはややこしい。
そういえばこんな言い方習ったなあと思い出したような感じです。
おしゃべりではこんな言い方しませんよね。
thatを使うか飛ばすかで直接的な言い方が一般的だと思います。
でも英語って書くときは変身しますからね。
普段しゃべっている言葉ではなく、かっこよく見せる英文ってあると思うので、きちんと認識しておくことは大切だし、それこそが向上心ですよ。

英語を教えている娘がSVOとSVCの違いを知らず、この前レクチャーしました。
彼女はESLでgrammarを学んだのでNativeよりGrammarがわかるけど、SVOなんて習っていないと言ってました。

from ArtSalt

はじめまして。

>I find this chair to be comfortable.
>この椅子はすわり心地がいいと承知している

「to + 動詞の原形」には「一般論」「客観性」を感じます。

I love to listen to music.
"I love listening to music" よりも静的な感じ。

To be, or not to be, that is the question.
"Being, or not being, that is the question" ではピンと来ない。

You have to leave here. (ここを離れるべき客観的条件をあなたはhaveする)
You must leave here. (ここを離れるべきだと私は思う)

from まさんた

Junpei642 さん、こんにちは。

認識動詞(cognition verb)とか、瞬時相(momentaneous aspect)など、イカツイ文法用語がドバドバ出てくる分厚い文法書。
そういうのと「にらめっこ」するのもいい勉強になります。

なんとなく知っていることでも、「なぜ?」と考えると、「はて?」となることが多いですし。

これからも、知ってもあまり役に立たないことを書いてみようかと。
まあ、このブログに多少の需要があるのは、こういう非実用なことを書いてるからでしょうし。

SVO と SVC の違いを教えないとは日本では考えられないですね。
それでも娘さんはちゃんと英語を教えていらっしゃるのですから、英語の学び方、教え方は千差万別、多種多様ですね。

from まさんた

ArtSalt さん、はじめまして。

to 不定詞をとるか、動名詞をとるか、これも複雑ですね。
like は両方とれるのに、dislike は動名詞、だとか。
love to ~ と love ~ing でも、would がつくと would love to ~ じゃないとダメだとか。

To be, or not to be, ・・・と Being, or not being, ・・・

Being だと「今現在」を問題にしている感じになっちゃいますね。
ここはやっぱり「これから」を感じさせる to 不定詞ではないと。

「今は英語の勉強をしたくない」なら、I don't like to study English now. で、I don't like studying English now. はダメなのと同じですかね。

from 市立東 英語科 1年 京ちゃん

ECM構文難しいですね。私もまだ勉強の身なので只今混乱中です。ただ「牽引」の考え方が最近つかめてきまして、そこからのアプローチも面白いかと思い検証を重ねております。公立高校入試期間は学校が休みなので時間は存分にあります。がんばります。

from まさんた

京ちゃんさん、はじめまして。
高校一年生??
今は EMC とか学校で習うんですか?
英語科だから?
それとも独学?

どちらにせよ、すごいですね。
そのまま勉強を続け、そのうちブログでも作ってください。
教わりにいきます。

from 市立東 英語科 1年 京ちゃん

中学校の時に通っていた塾の先生が文法マニアで「現代英文法講義」が愛読書の人でした。口癖は「文法理解を通じて人生を学ぼう」でした。情報構造とか高校入試の作文でも使えてためになりました。その先生にこのサイトを薦められてカキコに至りました。その他スーのチャンネルとかも閲覧しています。その先生の影響で「現代英文法講義」買って独学で勉強しています。たまに塾に顔出して教えてもらったり。学校ではやってません。懸垂分詞とか独立分詞構文を拡大投射原理で説明する先生に高校では出会っていません。英語科来たのに少し残念です。

from まさんた

こんにちは、スーパー京ちゃん。

そういうわけでしたか。
「現代英文法講義」、「なぜ?」に答えてくれる数少ない英文法書ですからね。
どのページを開いても勉強になるし。
自分も、研究社の「新英和大辞典」とともに、座右の書にしています。

英語に限らず、どんな言語でも、数百年、数千年かけて出来上がったものですから、ある意味、その国の一番の財産。
学ぶものとして、言語以上にぜいたくなものはないでしょう。

京ちゃんが通っていた塾、自分も通いたいぐらいです。

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