2008年8月24日
英会話で大切なこと
英会話の本は何冊か買いましたが、いつも挫折。
すぐあきてしまって。
スラングや口語といった「カッコイイ」表現を覚えても使う気なんてないですし。
英会話にはもっと大切なことがあるような、ばくぜんとしたものが気持ちの中にありました。
そして、もう何年も前の話になりますが、たまたま本屋で、脇山怜(著)『英語表現のトレーニング』という新書を見つけ、読んでみて、「英会話で大切なこと」に気づきました。
英語の politeness
英語を話すときは、ハッキリと自分の意見を言ったほうがいい、という神話?があります。
I'm busy. Stop beating around the bush.
忙しいんだ。何が言いたいか、はっきりしてくれ。
というわけです。
が、英米人がいつも忙しいとは限りません。
ですが、「ズバッと派」の方たちは、持って回った言い方はするな、とおっしゃります。
時と場合によってはそうでしょうが、日常ではそういう言い方だと、マズイことになることもあります。
やはり、英語でもなるべく感じのよい表現、丁寧な表現を使うべき。
フォーマルとインフォーマルの使い分けは,なかなか微妙で難しいですが,日本人としては,妙になれなれしい表現やゼスチャーで「英語ぶりっ子」するより,トツトツとはしていても,きちんとした表現で話したほうが感じがいいし,リスクが少なくてすむのではないでしょうか。
-『英語表現のトレーニング』
対人関係をよくする5つの原則
そこで、今回は、『英語表現のトレーニング』をもとに、相手に嫌な印象を与えない英会話の原則をまとめてみました。
相手の名前を呼ぶ politeness
洋画や洋書を読んでいると、会話中、うるさいくらいに名前を呼び合う場面に出会います。
次の英文は、Johon Grisham の『The Firm』の一場面。
主人公のミッチェル・マクディーア(Mitchell McDeere)がラマー・クイン(Lamar Quin)と面接するときの会話。
"Mitchell MacDeere?" he asked with a huge smile and a hand thrust forward.
"Yes." They shook hands violently.
"Nice to meet you, Mitchell. I'm Lamar Quin."
"My pleasure. Please call me Mitch" He stepped inside and quickly surveyed the spaciou room.
"Sure, Mitch"「ミッチェル・マクディーア君?」 ラマーは満面の笑みをつくり、左手を差し出した。
「はい」
二人はオーバー過ぎるほどの握手をかわす。
「来てくれて嬉しいよ、ミッチェル。僕はラマー・クインだ」
「こちらこそ光栄です。ミッチと呼んでください」 ミッチは室内に入ると広々とした部屋をさっと見渡した。
「そう呼ぶことにするよ、ミッチ」
挨拶、そして自己紹介するとき、相手の名前を呼んでいます。
"Nice to meet you, Mitchell. I'm Lamar Quin."
そして、親しみのしるしとして、ミッチェルは「ミッチと呼んでください」と愛称で呼んでくれるよう求めています。
"My pleasure. Please call me Mitch"
それに対するラマーの答えにも、最後に愛称をつけています。
"Sure, Mitch"
このように、相手の名前を会話に入れるのは、親しみと同時に、敬意がこめられている、ということらしい。
敬意、というのはちょっと意外。
それは、相手との心理的距離感を縮めることが大切、という英米文化の価値観からきてるようです。
よそよそしいと、心理的距離感は遠のくばかり。
相手は「あの人は俺(私)のことを嫌いなんだ」と思うかもしれません。
だから「親しみを感じていますよ、敬意をもっていますよ」という意味で名前を会話に入れる。
ちなみに、Mitchell MacDeere の first name(日本語では"下の名前")は、Mitchell。
family name(日本の"苗字")は MacDeere。
pet name (愛称)は、Mitch。
子供や学生なら MacDeere や Mitch でいいでしょうが、大人の場合、最初は Mr.MacDeere と呼ぶのが無難でしょう。
そのうち、親しくなるにつれ、自然に呼び方が変わっていくでしょう。
いつまでたっても Mr.... と呼び合う間柄だったら...。
きっと、どこかに何か、問題があるのかもしれません。
対人関係をよくする英会話の原則その1
会話中、相手の名前を入れる。
頼みごとをする場合の pliteness
親しき仲にも礼儀あり。
いつも一緒に遊んでいる友達など、よっぽど親しいならともかく、ものごとを頼む場合、命令形は使わないのが英語の politeness。
丁寧度の度合いを、「窓を開けて」というチンプな例文で。
Open the window.
は命令口調。
もう少し、丁寧にすると、
Will you open the window?
Can you open the window?
しかし、これは多少、命令的な響きあり。
please をつければ少し和らぎます。
Will you open the window, please?
Can you open the window, please?
ただし、これもまた、多少、命令的な響きあり。
その原因は、please。
please というと、「~してください」と教わりますが、それは時と場合によって。
摩訶不思議な言葉、please については後述。
それでは英語の丁寧語、とは?
仮定法を使う、こと。
Would you open the window?
Could you open the window?
Would you mind opening the window?
仮定法を使うことによって、もしさしつかえなければ、というニュアンスがでます。
この、
Would you ...?
Could you ...?
が、英語の politeness の基本。
Would you ...? は便利な言葉。お誘いなどにも使えます。
ケーキはいかが?
なら、
Would you like a cake?
動物園に行きませんか?
なら、
Would you like to go to the zoo?
もう少し丁寧な誘い方にするなら、Would you を Wouldn't you に。
Wouldn't you like to go to the zoo?
ジーニアス英和辞典に、こう説明があります。
勧誘の場合 wouldn't はより説得力があり,しかも,しつこさの感じのないすすめ方
余談ですが、いきなり、
Let's go to the zoo.
は少し、ぶしつけ。
Let's は、「(はい、決まり)~しよう」というニュアンス。
いきなり Let's では、相手の意思を無視した感じになってしまいます。
子供が「ねえ、動物園つれてって!」というのと同じ。
まずは、
Would you like to go to the zoo?
Wouldn't you like to go to the zoo?
と、相手の意向を聞いた後、相手が、
Yeah, I'd like to.
となったら、
Let's go!
つまり、Let's は意見の一致を前提として使える言葉。
ですから、「暇だなあ、何しようか?」と聞かれた場合には、
Let's take a walk.
それじゃあ、散歩にでも行こうか。
は大丈夫。
はっきりとした意見の一致、とまではいえないとしても、「何かしたい」という意見の一致があるから。
もちろん、「散歩なんかヤダ」と相手が思えば、
No, let's not.
という返事が返ってくる可能性もありますが。
それはともかく、なにか頼みごとをする場合、Would you ...? Could you ...? を口癖にしておけば、まず、大丈夫。
かなり丁寧な頼み方に、
I'd appreciate it (very much) if you could ....
というのもあります。これも、覚えておいて損はないでしょう。
対人関係をよくする英会話の原則その2
頼みごとをする場合、Would you ...? Could you ...? を使う。
ことわる場合の politeness
お誘いがあったのに、行けない、どう断わるか?
No を使うのは、politeness に反します。
まずは、誘ってくれたことに感謝して、そのあと、理由を言う。
Thank you for ..., but ....
I'd really like to, but ....
I wish I could ..., but ....
『英語表現のトレーニング』より、その例を。
Thank you for asking us, but I am sorry we won't be able to make it. We are visiting some friends in Evanston.
せっかくですが伺えそうにありません。エバンストンの友人を訪ねることになっていますので。
Oh, we'd really like to, but unfortunately we have anther engagement.
伺えるといいのですが,あいにくほかの予定がありまして......。
そして最後に、
Let's get together some other time.
や、
Why don't we get together some other time?
と付け加える。
Let's ... も why don't ... も強い表現ですが、それだからこそ、かえって、「次の機会には、ぜひ」という意味合いになります。
対人関係をよくする英会話の原則その3
誘いを断わる場合、まず誘ってくれたことに感謝して、そのあと、理由をいう。
相手に反論する politeness
議論、というほどではないにしても、会話中、相手と意見が合わないことはよくあります。
「あなたの意見には賛成できない」というときに使ってはいけない表現。
You are wrong.
You are mistaken.
など。
あまりにも直接的です。
自分が間違っていた、という場合なら、wrong や mistaken は使えます。
I'm wrong.
I'm mistaken.
ただし、I'm wrong. は「非は100%自分にある」という意味ですから、場合によっては損害賠償を起こされることもあります。
まあ、普通に生活し、普通の人たちと接している限り、そんなことはないですが。ビジネス関係で wrong を使うのは避けるべきでしょう。
さて、相手の気持ちを害さずに反論するには?
まずは、「あなたの言うことにも一理あると思いますが...」と和らげ、but I think ... で反論。
You may be right. But I think ....
I see your point. But I think ....
あるいは、「自分はそれほど詳しいわけではないのですが...」との前置きのあと、自分の意見を言う。
I'm not well-informed about ..., but I think ....
This is only my personal opinion, but I think ....
あるいは、In my opinion,... を使ってもいいでしょう。
対人関係をよくする英会話の原則その4
反論する場合、相手の言うこともみとめ、でも自分はこう思う、と反論する。
または、詳しくは知りませんが、と前置きし、自分はこう思う、と反論する。
please には、要注意
please については、少しふれましたが、そのとき、こう書きました。
please というと、「~してください」と教わりますが、それは時と場合によって。
摩訶不思議な言葉、please については後述。
その摩訶不思議な please は、新津信治・里中哲彦『たたかう英文法』の中で明快に説明されています。
長いですが、引用します。
新津:身をもって経験した失敗談はないの?
里中:だいぶ前のことですが、please で失敗しましたね。人にものを頼むとき、たとえば子供が親に向かって、ぶっきらぼうに Pass me the salt. (塩取って) って言うと、親は What's the magic word? (何て言うんだったかな?) って言うでしょう。そうすると、子供は Please. って言い足すじゃありませんか。私は何でも please をつければいいと思いましてね、あるとき、話をしている相手の言ったことが聞き取れなかったので、Once more, please. って言ったんです。そうしたら、その相手の人が「ちょっとねえ」という顔つきをしたんです。聞けば、それは「もう一回言ってごらんなさい」に近く、きわめて失礼な言い方になるって言うんです。教師が一段上から生徒に言っているように聞こえるって。
新津:そういうときは、Pardon? とか Excuse me? あるいは Sorry? を尻上がりに言っておけば無難やろね。ちょっと乱暴な言い方やけど、親しい仲ならば、What did you say? (なんだって?) と言ってもおかしくない。
里中:初対面の人であったら、やはり Could you repeat what you just said? (もう一度、おっしゃっていただけませんか) というべきでしょうね。
新津:please について言うと、「名詞+please」は、そうすべき義務がある人に対して使う、こう覚えればいいと思うんや。たとえば、レストランのウェイターなんかに Water, please. (お水、ください) とか、Could you have some water, please? (すみませんが、お水を頂けませんでしょうか?) とか、Waiter, check please. (お勘定お願い) ってやるでしょ。あれは、客の注文に応じる義務があるからなんやね。
里中:あ、その指摘はおもしろいですね。たとえば会社で、上司が部下にコピーを頼むようなとき、Three copies of this, please. (これ、3部コピーね) なんて言ったら、「何だって」という顔をされる。たとえ部下であっても、そこは毎日のように顔を合わせる人間同士、付き合いというものがある。だから、Will you make three copies of this, please? (これ、3部コピーしてほしいんだけど) と言う。「名詞+please」は、レストランやガソリンスタンドなどで使われる表現で、名前も知らないようなウェイターに職務上の義務を指示するような場合に使うんですね。こう理解していていいんですね。
please の謎、解決。
何気に混ざっている Could you ...? Will you ...? にも注意して、この引用文を3回ぐらい読めば、英語の politeness とは?についてよくわかるでしょう。
対人関係をよくする英会話の原則その5
please にはご用心。
英会話、最後にモノを言うのは...
英語の丁寧な表現はまだまだありますが、全部は書き切れないので、5つにまとめてみました。
でも最後にモノを言うのは、人柄。
当たり前なことですが、一番忘れやすいのは、当たり前なこと。
英会話で一番大切なこと、は"人柄"です。
ところで。
『英語のソーシャルスキル』という本があります。
本当はこの本をもとに、「英会話で大切なこと」を書きたかったのですが、探せど探せど見つからず。
見つからないときは、何があっても見つかりませんね...。
探すの、あきらめました。五分で。
巷にあふれている凡百の「英会話本」を100万冊読むよりも、『英語のソーシャルスキル』を一回、ななめ読みしたほうが、よっぽど英語での会話が円滑になるでしょう。
まあ、しつこいようですが、英会話で一番大切なことは、やっぱり人柄なんですけどね。


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