名詞を後ろから説明する語句、とは?

名詞を後ろから説明する語句、とは?

日本語と英語の構造の違いはたくさんあります。

その中でも、特に大きな違いは、

英語は前の名詞を、それがどのような名詞なのか、後ろから説明する

ということ。

「英語の読み方」、第2回目は、そのことについて。

名詞(前置詞)

名詞を後ろから説明する語句、といっても、簡単なことです。

名詞(前置詞)を例に。

He is the eldest son of Mr. Steavenson.

彼はスティーヴンソン氏の長男だ.

これは『ヴィスタ英和辞典』の例文です。

どれが名詞で、どれが後ろから説明する語句なのか、というと。

He is the eldest son of Mr. Steavenson.

彼はスティーヴンソン氏の長男だ.

もうひとつ、例文を同じく『ヴィスタ英和辞典』より引用。

Look at the picture ・・・

もし、ここで英文が終わったら、気持ち悪いこと、この上なし。

当然、どの絵?

と疑問がわきます。

この、the picture を、どんな絵なのか、後ろから説明している語句はどのようなものでしょう?

Look at the picture on the wall.

かべにかけてあるをごらんなさい.

中学で習う、簡単なことですが、英文を頭から読み下していくことの基本中の基本です。

後ろから説明する語句は、形容詞と同じ働き

a heavy man of fifty-eight
体格のいい58歳の男

この語句の中心になるのは man という名詞。

heavy 「体格のよい」は、形容詞

of fifty-eight 「58歳の」も、同じく形容詞(句)

両方とも、中心となる man が、どのような男なのか?、を説明する語。

違いは、heavy が名詞のに置かれているのに対し、of fifty-eight は名詞の後ろに置かれている点。

そういう意味では、働きとしては、全く同じです。

この語句の全文。

He was a heavy man of fifty-eight, with a thick chest and ponderous belly.

【語句】
¶chest/チェスト(名詞)胸,胸部。
¶ponderous/ンダラス(形容詞)大きく重い。
¶belly/リ(名詞)腹,おなか。

【訳】
彼は体格のいい58歳の男で、胸板は厚く、腹はボテッとしていた。
J.Grisham 「The Firm」

この英文では of fifty-eight のあとさらに、with a thick chest and ponderous belly という説明語が続き、長くなっています。

with a thick chest and ponderous belly という前置詞句を、様態を表す副詞句と考えることもできますが、of fifty-eight と同じく、man を後ろから説明している語句と考えるほうがいいと思います。

名詞を後ろから説明する語句は、7種類

名詞を、どんな名詞なのか?、後ろから説明する語句は、7種類あります。

前置詞句
~ing いわゆる現在分詞
~ed いわゆる過去分詞(p.p.)
to do いわゆる to 不定詞の形容詞的用法
関係代名詞(which, that, who, whom, whose)
関係副詞(when, where, why, that)
同格の名詞,名詞節 that why where など
形容詞

一番多いのが、前置詞句。

ですが、この、

名詞 → どんな? →こんな...

という英文の流れがよくわかるよう、次は同格の名詞節で考えてみます。

人びとは確信し、希望を抱いたが...

ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)の「The Second World War」(第二次大戦回顧録)は次の言葉で始まります。

After the end of the World War of 1914 there was a deep conviction and almost universal hope ...

hope のあとにも文が続きますが、あえて省略しました。理由はのちほど。

After the end of the World War of 1914

1914年に始まった世界大戦(※第一次世界対戦)が終結したあと、

これは、英文の基本と、複雑になる理由で書いた、文頭に置かれた副詞(句)。

英文は文頭に副詞が置かれることが多いですから、After を見た瞬間、「あっ、文頭の副詞だな」と思い、主文がどこから始まるのか、注意しながら読むのが大切です。

そして、主文、

there was a deep conviction and almost universal hope ...

conviction と hope の名詞について少し。

両語とも、前に形容詞がついています。

a deep conviction 心からの確信

almost universal hope ほとんど誰もが抱いていた希望

この deep や universal は、どのような conviction か、hope かを、前から説明しています。

前に形容詞が置かれるのは、日本語と同じですので、単語の意味を知っていれば、すんなりと理解できます。

ちなみに、almost は、後ろの universal を「どのくらい universal なのか?」説明している副詞。

ここまでの英文を。

After the end of the World War of 1914 there was a deep conviction and almost universal hope ...

1914年に始まった世界大戦が終結したあと、心からの確信と、ほとんど誰もがみな希望を持っていた ...

どんな確信?どんな希望?

After the end of the World War of 1914 there was a deep conviction and almost universal hope that peace would reign in the world.
※reign [ レイン ] (動詞)支配する,君臨する;行き渡る,広がる。

平和が世界を支配するだろう、と。

that 以下は、いわゆる「同格の that 節」。

注意するのは、この「同格の that 節」は前の名詞、hope だけでなく、conviction とも同格の that 節でもあること。

and で並列された二つの名詞

conviction も同格の that 節をとることができる、という語法的なこともありますが、それよりも重要なのは、

that peace would reign in the world

を conviction の同格のthat 節だと解釈しないと、

a deep conviction

が、どんな「心からの確信」なのか、中身がなくなってしまうこと。

気をつけて読み進めないと、hope だけの「同格の that 節」だと思ってしまいます。

ですから、a deep conviction という言葉を見たとき、

どんな心からの確信なんだろう?

と疑問をもちながら、読んでいくことが大切になります。

余談ですが、

peace would reign in the world

という表現。

この peace reigns (平和が支配する)という言葉は、「武力による支配(※戦争)」が終わり平和になった、というときによく使われます。

訳すときは、「世界は平和になるだろう」でもいいと思います。

これで世界は平和になるだろう・・・

人びとは何度この言葉を聞き、また何度この言葉が間違いだったことに気づかされてきたことでしょう。

さらに余談ですが。

a deep conviction

と、

almost universal hope

いったい、こう確信し、希望をもっていたのはどこの国民のことなのでしょうか?

in European countries などと、ひと言あればいいのですが。

この英文には「誰が」とはまったく書かれていません。

こういう場合、歴史をふりかえって推測するしか道はなし。

当時、欧米諸国以外は、実際のところ、「国」としてみとめられていませんでした。

よって、欧米諸国の国民や政治家のことなのは間違いありません。

ですが、敗戦国ドイツはもちろん、ドイツとの戦闘にボロ負けして、イギリスやアメリカの助けを借りて...というより、英米がドイツを打ち負かしたので、かろうじて「戦勝国」となったフランスは、「これで平和になった」とは、とうてい思っていなかったでしょう。

イギリス国民、そして(大多数の)イギリスの政治家、そしてアメリカの政治家や国民は「これで平和になる」と思ったかもしれませんけど。

洋書を読むうえで、一番の難題はこういうところにあるような気がします。

単語の意味も、英語の構造もわかった。訳すこともできた。

でも、どこかこう、釈然としない。

英語にかぎらず、日本語の本でも、最後にものをいうのは、幅広い知識かもしれません。

なお、第二次世界大戦がなぜ勃発してしまったのか、については、拙記事ベトナム戦争と第二次世界大戦の起源にて。
※長い、というより、長すぎる記事ですので、お暇なときにでも。

閑話休題。

同格の that 節について

that peace would reign in the world

平和が世界を支配するだろう (世界が平和になるだろう)

同格の that 説は、that 以下が、それ自体で完結した英文になります。

Peace would reign in the world.

世界が平和になるだろう。

このように英文法の授業では教えられます。

それはそれで、とても大切なことです。

ですが、今まで書いてきたように、同格の that 節が、前の名詞を、

どのような名詞なのか?

後ろから説明している、ということも、英語を読む上で重要なこと。

もちろん、英語を読んでいる人は誰でも無意識にそうしていることですが、もっと意識して読んでみると、ほんのちょこっと、理解度が増すかもしれません。ほんの、ちょびっと。

the fact that...

同格の that 節といえば、the fact that ... が有名ですので、英和辞書から、いくつか例文を。

どんな事実なのか?と好奇心をもちながら読んでみてください。

No one can deny the fact / man cannot live without love.

人間は愛なくしては生きられないという事実は誰も否定できない.
-「カレッジライトハウス英和辞典」

しかし。

愛はもろきもの。

Frailty, thy name is love!

We have to accept the fact / that nearly a quarter of marriages end in divorce.

結婚の約4分の1が離婚に終わるという悲しい事実を受け入れなければならない.
「ジーニアス英和辞典」

理由は価値観の違い。

サランラップの切り口がみつからずイライラしたから。

のろのろ運転していた前の車が、信号が黄色に変わったら急にスピード上げて通り抜け、自分は赤信号で止まるはめになったから。

自販機で冷たいコーヒーを買おうと思ったのに間違ってホットのボタンを押してしまったから。

離婚の理由、千差万別。

さて、次の例文。

He tried to deny the fact / that fire burns.

火が燃えるという事実を彼は否定しようとした.
-「ニューアンカー英和辞典」

すごい!この人!

何のため?

誰のため?

まさか・・・

直読直解!されど、直読直解?

前にも書きましたが、名詞を、どんな名詞なのか?、後ろから説明する語句は、7種類あります。

前置詞句
~ing いわゆる現在分詞
~ed いわゆる過去分詞(p.p.)
to do いわゆる to 不定詞の形容詞的用法
関係代名詞(which, that, who, whom, whose)
関係副詞(when, where, why, that)
同格の名詞,名詞節 that why where など
形容詞

同格の名詞節は比較的少ないですが、あえて「名詞を後ろから説明する語句」第一回目にとりあげてみました(※同格の名詞節については、またあとで詳しく考えてみます)。

それは、同格の that 節が一番、

どんな名詞なの?

と思って読み進めることができる(と思った)から。

他の6つも同じように「どんな名詞なの?」と読んでいくことが、いわゆる「直読直解」につながると思います。

直読直解という言葉はあまり好きではないけれど。

わからなかったら戻ればいいさ。

そこらへんは、「英語の読み方・予測と訂正」にて。

ということで、最後にもう一度、今回とりあげたチャーチルの一文を。

After the end of the World War of 1914 / there was a deep conviction / and almost universal hope / that peace would reign in the world.

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