恋愛の英語

恋愛の英語が熱い、らしい。

根拠は全くないが。

が、(根拠はないが)「恋愛の英語」はかなり熱い(らしい)ので、自分も同じ bus に乗ってみる。

でもまあ、実践的な「恋愛の英語」は自分の守備範囲にあらず。
そういう英会話は、その手のブログ・サイトにお任せ。

ということで、古典や純文学の「恋愛の英語」でも。

I don't know how to kiss or I would kiss you.

私、キスってどうするのか知らないの。あなたにキスしたいのに。

ヘミングウェイ(Hemingway)「誰が為に鐘は鳴る(For Whom the Bell Tolls)」より。

に続く、

Where do the noses go?

ねえ、鼻はどうしたらいいの?

などなど。

こういった味のある「恋愛の英語」、いくつか思い浮かびます。

で、思い浮かんだ台詞を探して、原書を何冊かめくってみる。

が、探し物を探していると見つからないのは、世の定め。

面倒なので、あきらめました。

というわけで、小粋な「文学の恋愛の英語」は、その手のブログ・サイトにお任せ。

日本に特有な恋愛の例文

ところで、英語圏ではほとんど知られていないのに、日本では「ことわざ」認定されている「恋愛の英語」があります。

Pity is akin to love.

十数年くらい前の英和辞典には必ず載っていました。

(ことわざ)あわれみと恋愛は紙一重.
-「ライトハウス英和辞典」

あわれみは恋愛に近い(ことわざ).
-「ニューアンカー英和辞典」

ところで。

Pity is akin to love.

この英文は17世紀から18世紀に活躍したイギリスの劇作家、サザーン(Thomas Southerne)の一節。

ですが、このサザーン、それほど有名ではなく、英文学史にはまず出てきません。

ですから、普通の英英辞典はおろか、あの世界最大の英語辞典、OED(Oxford English Dictionary)にさえ、"Pity is akin to love."は掲載されていません。

なぜこれほど日本の英和辞典ではこれほど普及してのでしょうか。

実はこれ、夏目漱石の『三四郎』に出てくる英文だからです。

広田先生、三四郎、与次郎、美禰子の座談中、サザーンの一節に広田先生が言及する。

「その脚本のなかに有名な句がある。Pity is akin to love という句だが...」

と広田先生。

「日本にもありそうな句ですな」

と三四郎。

では一つ訳して見たら好かろう

ということになり、与次郎が考えつく。

「少し無理ですがね、こういうなどうでしょう。可哀想だた惚れたって事よ」

この訳文に、すかさず広田先生が、

「いかん、いかん、下衆の極(きょく)だ」

と苦い顔をする。

斎藤秀三郎の「恋愛の英語」

漱石の小説に登場した、ということも大きいでしょうが、その語呂の良さ、含蓄の深さ?のため、この英文はそれ以後、日本の英和辞典にレギュラー出演することとなりました。

最初に登場したのは、斎藤秀三郎の『熟語本位 英和中辭典』かも。

Pity is akin to love. 憐愍は戀愛に近し。

この辞典はこのブログで何度も紹介していますが、今回はこの辞典と同じく斎藤秀三郎の「和英大辭典」の中から、「恋愛の英語」を。

斎藤英和の中にこんな例文があります。

He married her with his eyes open.

訳文はこう。

(疵物などと)知りつゝ(貰つた)。

この訳文に対し、翻訳家の柳瀬尚紀さんはこういっています。

「疵物」はむろん、おそらく「貰った」も使用をはばかれる時代に、これはそぐわないように見える。しかし、これがどれほど英語を言い当てているかは、少なくとも翻訳の現場にいる者としていまも舌を巻く。

「疵物」といえばこんな例文も。

You have ruined my daughter.
お陰で娘は疵物になりました。

どことなく、訳文が面白い。

嫁選びの英語

There is no accounting for tastes.
妙な嫁さんを貰ったものだ。

この英文は「蓼(たで)食う虫も好き好き」ということわざで習いました。

状況によってはこうも訳せるのですね。

余談ですが、今ではこの「ことわざ」を使う欧米人はいないでしょう。

「蓼食う虫も好き好き」という言葉が今では使われないように。

もう一つ、嫁選びの英語、を。

Choose neither a woman nor linen by candlelight.
嫁と反物は昼間選べ。

コメントは差し控えさせていただきます。

浮気な英語

次の例文は日本語がすごい。

He is an old sinner.
頭禿げても浮気は止まぬ。

「老いてなお、盛んなり」より百倍強烈。

自分で考えた訳文。

年金はワシにとっては愛人手当て。

ん...下衆の極。

恋の英語

これまでちょっと問題ありな例文ばかりだったので(自分で pick up したのですが...)、最後に味のある「恋愛の英語」を。

One can not get over love.
越すに越されぬ恋の道。

A fence between makes love more keen.
せかれて募る恋の情。

情緒感じる日本語です。

One will return to one's first love.
本木に勝るうら木無し。

うら木(末木)とは、木の幹に対し、「こずえ」。

first love というのは「初恋」ではなく、「連れ合い、夫婦」でしょう。

この英文、

One will return to one's first love.

日本にもありそうな句のような...。

ん...。

下劣の極な訳になりそうなので、やめた。

コメント

from niko

まさんたさん、久しぶりの記事、またまた楽しく読まさせていただきました!
個人的には「嫁と反物は昼間選べ」にぐっと来ました。合コンでは薄暗い店をチョイスする友達を知っています(笑)。まあ、見た目で選んでは恋愛は続かないものです。女は心。あ、いかんいかん、下衆の極だわ。

from まさんた

niko さん、こんにちは。
薄暗いと5割増し、ですからね、いろんな意味で。

そういえば、「夜目遠目傘の中」という諺が昔からありました。

Lamplight, distance or an umbrella makes every woman look beautiful.(斎藤秀三郎訳)

女は心、英語ではどういうのでしょう?

"Heart comes first," every woman says.
But when you hear a good-looking woman say so, your honesty will be under a trial.

いかん、いかん。
下衆の極な英訳ですね・・・

※コメントは管理者の承認後に表示されます。

※必須 (お名前がないと、スパム判定するようになっております)
(※通常、不要です)

この記事に言及する

trackbackURL:

この記事に言及してくださる方は、下のタグにて。
タイトル文字は、ご自由に変えてください。

カテゴリー " 英語 " の最新記事

▲ページトップへ戻る