昔の英作文の参考書

何年か前まで、「日本の英作文の問題集の解答は、おかしな英文が多い」などと言われていました。

確かに make it a rule to … などといった、最近ではあまり見かけない(聞かない)表現を使っていた記憶があります。

今の英作文の問題集はどうなのでしょう?

最近のことはわからないので、今回は むか~し むか~しの英作文の参考書のはなし。

半世紀以上前の英作文の参考書。

山田和男(著)「英作文研究」という参考書があります。

初版は1952年。実に半世紀以上も前。
1979年に改訂版が出てますが。

この参考書について、木村哲也さんの「英語らしさに迫る」に、

ひととおりの英文が綴れるようになった段階で挑戦すると得るところ大であろう.

と書いてあったので、数年前に買いました。
(まだ自分は“ひととおりの英文も綴れない”のはおいといて)

「英作文研究」の詳しいことはまたの機会に。

今回は「英作文研究」の練習問題について。

原文→訳文→復元

もちろん、「英作文研究」の練習問題のほとんどは、ちゃんとした(というと変だが)ものですが、たまに???という問題があります。

たとえば、

見知らぬ男が来て一万円貸してくれと言った.

一万円は高すぎ。

見知らぬ男にいきなり「一万円貸してくれ」と言われたらどう対応すればいいのでしょうか?

い、一万円ですか…

が模範解答?

ちなみにこの英作文の解答は、

A stranger came and asked me for a loan of ten thousand yen.

でした。

対処の仕方は書いてありませんでした(当然だが)。

それはともかく、この問題は著者の山田さんが作ったのでしょうか?

が、次の問題は…。

彼は土着民の妻四人と,自分では数え切れない多くの子供をもっている.

これはおそらく、こういう英文が何かの原書にあったのでしょう。

つまり、原書の英文を日本語に訳し、それを原文へと復元させる、という英作文。

原書に元ネタがなかったら、こういう日本語を英作文の問題にしようとは思いつかないはず。

次の問題。

彼はその菓子を半分に切って,小さい方を弟に与えた.

これもなかなか考えさせられる練習問題です。

なにかこう…文章として。

日本人の考えからすると、

大きい方を弟に与えた.

の方が倫理に適うかと。
もちろん、参考書の練習問題としては、ですが。

彼はその菓子を半分に切って,小さい方を弟に与えた.

冷静に考えると、この練習問題は現実味がありすぎ。

このあと弟が、「お兄ちゃんズルイ!そっちの方が大きい!」と言ったかどうかは、解答に書いてありませんでした(当然だが)。

それはともかく、この問題の解答は、

He halved the cake and gave the smaller half to his brother.

となっています。

「弟」が単に his brother。

やはり、原書からの引用→日本語訳→復元練習、なのでしょう。

さて次。

私はその老婆に道理を説いて迷信を捨てさせようとした.

どんなことがあったのでしょう…。

なんだか引用された言葉についてのようになってしまいそう。

妄想はヤメときます。

この練習問題の解答は、

I tried to reason the old woman out of her superstitions.

out of her superstitions のところはなかなか思い浮かびません。

ほんと、英語らしさ、です。

半世紀以上前から。

もう一度言っておきますが、今回の記事はおかしな練習問題を拾っただけで、「英作文研究」のほとんどの練習問題はちゃんとしたものです、念のため。

で、この参考書を読み返してみて改めて思ったこと。

とかく批判されがちな英作文ですが、昔から立派な参考書があったのだな、と。

たとえば、

それくらいですんだなら運がよかったとしなければならない.

は、

You might have done worse.

など。

日本語と英語の違いに注目し、発想の転換を教える参考書です。

今ではこういう参考書はたくさんあるでしょう。
「英語らしさに迫る」もそうです。

しかし。

こういう参考書が昔からあったのに…。

英語の「公式」を暗記させ、それの応用をやらせる英作文の問題集ばかりが流通したのは日本人の英語学習にとって…

と、自分がいうのもなんなんで。

古い参考書なので「英作文研究」はさすがにお勧めはしません。

ですが、この本に載っている英作文のための洋書の読み方はとても参考になります。

そこらへんはまたの機会に。

それにしても…。

あの老婆はどんな迷信を信じていたのでしょう…。

そもそも人は何を基準に「迷信」の烙印を押すのでしょうか…。

「サンタクロース」がいる、と子供が信じているのは「迷信」とは言わないし…。

ま、いいや。

追記

前回の記事で、パソコンが壊れ、ミステリーの洋書から集めた英文が消えてしまった、と書きました。

今年の初め頃にバックアップしておいたフロッピーを見てみました。

Word で段落数を数えたら、約3千5百くらい残っていました。

よかった。

でもよく考えたら、その英文たちを全く活用していないのだが…。

ま、いいや。

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comments

from niko

今回の記事の日本語の問題文はかなりおもしろかったです!私も大昔、学生だったころに、そういう「日本語としてどうなの!?」みたいな問題文にかなり出会ったような気が…。それにしても、半世紀以上も前なのに「一万円」とは。高すぎ。主婦の私は貸しません。けちでごめんなさい。
フロッピーに英文が生き残っていたんですね!これから、英文たちどこかで活躍することを待ち望んでおります…。

from まさんた

niko さん、こんにちは。
持っているのは1979年の改訂版です。
初版ではいくらになっていたのでしょう?
初版でも「壱萬円貸してくれ」だったら、当時この参考書を読んだ人はさぞビックリしたことでしょう。

今の高校生に「見知らぬ男が来て一億円貸してくれと言った.」という英作文の問題を出してみたい。
だれか学校の先生、試してくれないかな。
反応や、いかに。

半世紀前だったら一万円もあればパソコン何百台も買えそう。パソコンあったら、の話ですが。
どうもエコ18号がまた体調不良で…。

ところで一万円、70年代でも高いです。
というか、今だって一万円は高いが。見知らぬ男に貸すには。

でも、歯が痛いのが治るのなら、今ならどなたにでも一万円貸します。

あした歯医者さん行くかな…

歯医者か…歯医者か…歯医者か…
歯医者か…歯医者か…
歯医者か…

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