2007年8月10日
probably などの「確信度」を表す副詞
probably や maybe など、「たぶん,おそらく」を意味する英語の副詞について。
自分はこういう副詞を、英語を習いたて(高校時代を含む)の頃は全部まとめて「たぶん」と処理していた記憶があります、たぶん。
そこで、今回は「確信」の度合いを表す副詞についてまとめてみます。
| possibly | maybe | perhaps | likely | probably |
主に、この五つの単語を。
ポ・マ・ペ・リ・プロ?
以前紹介した、川田拓矢(著)「川田流英語のツボ」にこんなことが書いてあります。
ポ・マ・ペ・リ・プロ
これは何かというと、possibly, maybe, perhaps, likely, probably の確信度の違い。
| ポ:possibly | (0%に近い) |
| マ:maybe | ↑ |
| ペ:perhaps | 確信の度合い |
| リ:likely | ↓ |
| プロ:probably | (100%に近い) |
※「川田流英語のツボ」79ページより
自分はなんとなく可能性の高い順に覚えたので、順番を変形させてもらいます。ついでに、呪文?「ポ・マ・ペ・リ・プロ」もはずしちゃいます。
こんな感じ。
| probably | (100%に近い) |
| likely | ↑ |
| perhaps | 確信の度合い |
| maybe | ↓ |
| possibly | (0%に近い) |
たった五つの単語なので、じっくりと見ていけば呪文を唱えなくても覚えられると思います。
が、何はともあれ、ひとつずつ、検討。
probably
さっそく probably から。
常用している「ジーニアス英和辞典」の probably の訳文は、
たぶん,十中八九,おそらく
ちょっと幅広い。
しかし、次の解説があります。
起こる確率が8-9 割ぐらいと思われる場合に用いられる.
おお、かなりの確信度。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English/ロングマン英英辞典)の最新版はかなり玉虫色の定義なので、第二版の定義を見ると、
almost(but not quite)certainly
「十中八九」に近い感じ。
そして次の例文が載っていました。
John probably told his father all about that matter, he usualy tells him everything.
たいてい、何でもお父さんに話をするジョン君。
そんなジョン君だから、あのこと(that matter)も全部お父さんにきっと話すだろう。
あのことっていったい・・・
それはともかく、この文脈では probably を使うのが自然。
かりに、確信度の低い possibly を使うと前後の流れがおかしなことになってしまいます。
ここで、probably の(一応の)訳語は、「十中八九」に決定!
たぶん。
likely
続いて likely。
LDOCE の定義はズバリ、
probably
そして、most / very likely と修飾語を伴うと書いてあります。
「ジーニアス英和辞典」でも、
◆《米》では単独で用いるが、《英》では very, most, quite, more を前に置くのが普通
と解説があります。
どうやら likely も probably と同じくらい確信度が高いようなので、
likely は probably よりちょっとだけ可能性が低い。
しかし、very や most が付くと、probably と同じ。
な感じか。
perhaps と maybe
perhaps になると問題発生。
川田さんの「ポ・マ・ペ・リ・プロ」を可能性の高い順に並べてみると、
| probably | (100%に近い) |
| likely | ↑ |
| perhaps | 確信の度合い |
| maybe | ↓ |
| possibly | (0%に近い) |
likely は probably と同じくらいの確信度、と考えると、
probably(likely), perhaps, maybe, possibly
ということになります。
しかし、「ジーニアス英和辞典」の perhaps の説明に、
話し手の確信度は probably, maybe, perhaps, possibly の順に低くなる.
perhaps と maybe の確信度が逆転。
どっちが正解?
でも、「ジーニアス」では、
《米》では maybe が普通.
と解説があるので、同じくらい、と考えてよさそうです。
ちなみに、確信度合いは、
起こる確率が5割以下と考えられる場合に用いる。
-「ジーニアス英和辞典」
だそうです。
maybe について、「表現のための実践ロイヤル英文法」にマーク・ピーターセンさんのわかりやすい解説がありました。
Helpful Hint 20 maybe と 「たぶん」
副詞の maybe は<可能性を表す助動詞 may + be動詞>なので,意味もそのとおり,「~の可能性がある」ということにすぎない。それでも,なぜか,「maybe = たぶん」と暗記している日本人の英語学習者が多いようである。
続いて、
たとえば,来年あたり富士山が爆発する可能性はまったくないわけでもないので,“Maybe Mt. Fuji will erupt next year.”(富士山は来年爆発するかもしれない)と言えるが,この英文は「富士山はたぶん来年爆発するだろう」などのような意味には決してならないのである。
なるほど。
maybe は単に、「可能性はある」という意味か。
もう一度、なるほど。
よって、perhaps と maybe の確信度は、
可能性はあるよ。
くらいか。
possibly
「ジーニアス英和辞典」によると possibly の確信度は、
「起こる確率が1-3割」の場合に用いる
となっています。
やはり possibly の「確信度」は低いのか?
さらに、阿部一(著)「基本英単語の意味とイメージ」にはこういう図がありました。

やはり possibly の確信度は「1割~3割」が妥当な線か?
が、がが、「カレッジライトハウス英和辞典」を見てみたら「確信度世界」を揺るがす記述を目にしました。
同書の likely の項に「可能性ランキング」が載っています。
たくさんの単語があるのですが、今回扱っている五つの単語だけを「確信度」が高い順に表にしてみます。ついでに、逆「ポ・マ・ペ・リ・プロ」も載せてみます。
| 順位 | カレッジライトハウス | 逆「ポマペリプロ」 |
| 1 | probably | probably |
| 2 | likely | likely |
| 3 | maybe | perhaps |
| 4 | possibly | maybe |
| 5 | perhaps | possibly |
万年最下位だった possibly が大躍進、というか小躍進。
しかも、この表の作成者は、Dwight L. Bolinger さんという、もうお亡くなりになられましたが、元ハーバード大学名誉教授。
ハーバードの名誉教授といったら、どのくらい偉いのかさえ、わからないほど偉い人。少なくても自分よりは何万倍もエライ人。
はたして possibly はどのくらいの「確信度」なのでしょうか?
さらに、LDOCE の possibly の定義は、「確信度世界」の根本を揺るがす定義でした。
= pehaps, maybe
ん・・・
こうなったら、こうしましょう!
maybe = perhaps = possibly
probably = likely
で、図にしてみると、

あとは、
その場の雰囲気で!!
日本語でも、あいまい
このように確信度を表す副詞が学者によってまちまちなのも、「人間の気持ち」の問題だからかもしれません。
日本語の「たぶん」も、そうとう幅広いです。
Aさん : 源太郎くん、あした来ると思う?
Bくん : さあ、どうかな。たぶん来るんじゃない?
このBくんの「たぶん」は確信度はあまり高くないと感じられます。
Aさん : 小百合ちゃん、あした来ると思う?
Bくん : うん、たぶん来るよ。
この場合のBくんの「たぶん」はかなり確信度は高そう。
あるいは、Bくん、小百合ちゃんに恋心を抱いており、「希望的観測」によって思わず「確信度」が高そうな発言をしたのかも。
逆にBくん、源太郎くんに対してはあまり良い感情を抱いておらず、源太郎くんは必ず来ると思っていても、「来るよ」と言うには抵抗があり、突き放した表現をしたのかも。
果たしてこの三人の関係は・・・
は、ともかく、使われた単語だけでは「確信度」ははっきりしません。
あくまで、文脈で察しなければならない、ということでしょうか。
まあ、英語(洋書)にかぎらず、日本語の小説を読んでいるときでも、誰もが無意識にやっていることなんですけどね。
さらに助動詞が加わると…
こういう、確信度の副詞は助動詞とセットになることが多いです。
そうなると、さらに複雑になります。
先ほど図を引用した「基本英単語の意味とイメージ」に、
It will rain tomorrow.
という例文が載っています。
will は(場面によっては)かなり「確信度」が高い助動詞。
詳しくは「助動詞 will について」を参照・・・って書いてないや。
will は中学・高校時代に思っていたのとはかなり違う意味の助動詞なので、そのうちとりあげたいと思います、たぶん。
話を戻し、先ほどの例文に probably を加えた文。
It will probably rain tomorrow.
これだと、
確信度が若干落ちてきます。
それは、100%ではない副詞 probably を加えたから。
でも、雨が降る可能性は大だ、と考えていることにはかわりません。
しかし、
Probably it might rain tomorrow.
だと、
論理上、何となく落ち着かない文に
なります。
それは probably という「確信度」の強い副詞と、might という「確信度」の弱い助動詞の組み合わせだからです。
日本語でいうと、
十中八九、雨がひょっとすると降るかもしれない。
という感じか。
詳しくは「過去形の助動詞について」を参照・・・って書いてないか。
見た目が過去形の助動詞は案外、難物なので、そのうち書きたいと思います、たぶん。
実例でみる「確信度」と「感情」
ミステリーの洋書にこんな英文がありました。
ストーリーがばれてしまうので、出典は書きません。
そして、登場人物の名前も変えました。
ご了承ください。
"Mr.Incredible's burns are fatal, " the doctor said. "I can help him with the pain, and I intend to do it. He breathed flames and his throat and lungs are damaged. He may not regain consciousness. In his condition, that would be a blessing. In the event that he does regain consciousness, the city police have asked me to take the airway out of his throat so that he might possibly answer questions. I've agreed to try that―briefly."
長いので一行目から順に。
"Mr.Incredible's burns are fatal, " the doctor said.
【語句】burn (名詞)やけど。
【訳】
「Mr. インクレディブルさんは致命的な火傷をおっています」 医者は言った。
burn が複数形ですから、全身火傷、なのかもしれません。
"I can help him with the pain, and I intend to do it.
【訳】
「痛みを和らげてあげることくらいはできるかもしれません。もちろん、やってみるつもりですが。
can がイタリックになっています。
しかも、"I can ease the pain" ではなく、help を使っています。
患者の状態からすると、そうすることくらいしか、できません、というお医者さんの気持ちが表れている表現です。
He breathed flames and his throat and lungs are damaged.
【訳】
炎を吸い込んでしまって咽喉と肺がやられています。
医者の客観的な描写。
ちなみに、flame 「炎」はなぜか複数形になることが多いです。
あの、メラメラとした感じが複数形を思わせるのか?
lungs と複数形になっているので、両方の肺がダメージを負ったのがわかります。
He may not regain consciousness.
【訳】
意識は戻らないかもしれません。
ここで助動詞 may が出てきます。
医者は男が意識を回復するとは思っていないでしょう。
最初に「致命的な火傷」といっているのですから。
「意識が戻る可能性はゼロ(に近い)」と思っていても、はっきりと、「もう意識は戻らない」と言うのがはばかられたので、may not を使ったのかもしれません。
In his condition, that would be a blessing.
こんな状態では彼にとっても、そのほうがいいのかもしれません。
この would は「仮定法」ですが、仮定法というより、ぼかした表現、と考えたほうがいいと思います。
このお医者さんは、that is a blessing (for Mr. Incredible) だと思っているはずです。
ですが、さすがにそうはっきりとは言えないので、ぼかす would を入れたのだと感じます。
表現を和らげる would については・・・まだ書いてないや。
In the event that he does regain consciousness, the city police have asked me to take the airway out of his throat so that he might possibly answer questions.
【語句】airway (名詞)気道を確保し、酸素を送り込むための器具,マスク,チューブ。
【訳】
市警が私にいうには、意識を取り戻すようなことがあったら、咽喉からチューブを取り外してくれ、と。ひょっとしたら質問に答えられるかもしれない、というんです。
In the event that he does regain consciousness という表現、はたして市警がこの表現を使ったのか、頼まれた医者の考えが混じった表現なのか、それはわかりません。
しかし、when (If) he … ではなく、in the event that … という大げさな表現に、he does regain consciousness と「強調」の意味が込められた助動詞まで使っています。
そうとうな、ありえないけれども、という表現。
そして、so that he might possibly answer questions.
「確信度」の低い might と possibly の組み合わせ。
これも市警が言ったのか、医者の感情が入り込んだ表現なのか。
なんとなく、後者の感じがします。
最後の文、
I've agreed to try that―briefly."
【訳】
やってはみます、と答えました。ただし、ほんの短い時間だけ、とつけ加えましたが。
do that ではなく、try that。
そして、―briefly とのつけ加え。
この英文は実にオブラートに包まれた表現がたくさん出てくる面白い英文、と思って引用した記憶があります。
たしかに、このお医者さんの気持ちがよく出ている英文です。
こういうのを感じながら洋書を読むのも面白いです。
というか、誰でもそうして読んでいるんですけどね・・・
感情を読み取る = その小説の世界に入る
古典や純文学では当たり前のことですが、ミステリーでも同じです。
自分は以前、古典や純文学ばかり読んでいましたが、ミステリーを読むようになって、「文学としての価値」はミステリーも古典も同じ、という気がしてきました。
日本のミステリー(エンターテイメント小説)も読むようになりましたが、ほんと、そう思います。
とくに、日本では最近の純文学の小説は、はっきり言って、つまらない(ものが多い。←断言しない典型的なつけ加え)。
逆に、ミステリーは熱い。
そのうち、日本でも外国でも、大学で「ミステリー学科」が設立されるんじゃないかと(思う、たぶん)。
ということで、ひさしぶりの英語ネタでした。

comments
from CHACHAY
perhapsのほうが自信ない時に使われているような気がします@欧州
2008年4月17日 20:30
from まさんた
そうですか。perhaps のほうが自信なさげですか。
ご意見を参考に、また調べ直してみます@あじあ
2008年4月17日 21:56