2007年6月14日
Breakheart Hill
by Thomas H. Cook
「ホームズ」などの古典は別として、現代ミステリーはだいたい、一回読むと、再読することはまずありません。
でも今回紹介する Thomas H. Cook の 「Breakheart Hill」。
なんだかまた読み直してみたくなり、再読後、やっぱり切ない気持ちになりました。
切なすぎるミステリー
舞台は1960 年代の南部アメリカ。
その Choctaw という田舎町の高校に Kelli Troy (ケリー・トロイ)が転校してくる。
Kelli のような女性をどう表現すればいいのか。
性別も、タイプも全く違いますが、あえていえば・・・西郷隆盛?
慕うにせよ、嫌うにせよ、出会った人の人生を大きく変えてしまう。
魅力をつらつらと文章にしても意味がない、そういう魅力。
一方、主人公 & 語り手は Ben Wade (ベン・ウェイド)。
I felt ugly and unworthy and inconceivably repulsive, a grotesque little frog that no kiss could ever transform into a prince.
【訳】
自分の醜さ。自分という人間の無意味さ。自分でも、吐き気が出る。お姫様にキスをされても決して王子様にはなれない醜い蛙。
繊細で知性があり、理想は持ちつつも、その理想を実現できないのは自分でもよくわかっている。
わかっているからこそ、思い悩む。
思い悩むがゆえ、さらに思い悩む。
主人公の設定としてはありがちですが、Ben への共感、そして Kelli のなんともいえない魅力。
作者の狙い通り、読んでいて話に引き込まれました。
事件後と30年前のタイムトリップ。
事件から三十年後、Ben は Choctaw で医者になり、尊敬を得る。
その意味では夢は叶ったが、30年前に起こった恐ろしい事件に今でもとりつかれている。
話の序盤から、事件の全貌は明らかにされる。
しかし、事件の真相は不明のまま、進行する。
真相が判明するまで、話の舞台は高校時代、そして Ben が成熟した30年後の世界を行ったり来たり。
心が凍りつきました。
題名の 「Breakheart Hill」とは、Choctaw にある小高い丘の名前。
Kelli がその由来を調べ、Ben に語りますが、それも実に切ない話。
切ない話が積もり積もって、ある場面で、突然、全てが氷解します。
そうだったのか・・・
あるいは、話の途中で'ソノコト'に気づく読者もいるかもしれません。
自分もウスウスですが、感じていました。
でも・・・
天国のはじっこ(the ledge of heaven)に踏みとどまれるか、それとも、楽園から落っこちる(tumble out of paradise)か。
本当に、切なく、悲しく、恐ろしい小説。
今のところ、自分の中では、このミスNo.1。
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Breakheart Hill
by Thomas H. Cook |
翻訳本:夏草の記憶
訳:芹沢恵
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以上、「Breakheart Hill」を読んだ感想でした。


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