ジャーマンアイリスと、これ雑草? 花と英語

暦の上ではまだ春ですが、もう春というより初夏。

この調子では、今年の夏は猛暑になりそう。

「花と英語」六回目は、ジャーマンアイリス。

背丈も高く、可憐な花を咲かせるので目立ちます。

逆に、地面にひっそりと咲く花もあります。

雑草扱いされることが多い、地味な花。

地味な花こそ、よく見ると味わい、あり。

そこで、今回は見目麗しきジャーマンアイリスと、地味な花(雑草?)、のこと。

まずは、可憐なジャーマンアイリス。

ジャーマンアイリス

ジャーマンアイリスもいろいろな色の花を咲かせます。

我が家にはジャーマンアイリスが百本以上植えてあり、何種類くらいあるのだろう?と思っていたら、種類はあまり豊富ではありませんでした。

まずは、よくある単色のジャーマンアイリス。

単色のジャーマンアイリス
ジャーマンアイリス ジャーマンアイリス
ジャーマンアイリス ジャーマンアイリス

続いて色が混じったジャーマンアイリス。

混色のジャーマンアイリス
ジャーマンアイリス ジャーマンアイリス
ジャーマンアイリス ジャーマンアイリス

アヤメ(菖蒲)

ジャーマンが付かない普通のアイリスもあります。

いわゆる、アヤメ。
我が家では五種類咲きました。

アヤメ(菖蒲)
アヤメ アヤメ
アヤメ アヤメ

最後に咲いたのが紫のアヤメ。
ジャーマンアイリスなみに巨大な花をつけました。

アヤメ

アイリス(アヤメ)は英語で iris [ アイリス ]。

では iris とはジャーマンアイリスとアヤメの、どちらなのでしょう?

iris の語源と、謎

英単語 iris の語源はギリシャ語で、虹(iris イリス)。

前回 iris に触れたとき、

なぜ虹?

調べても、わかりませんでした。

と書きました。→花咲く前のアイリス。

英語語源辞典やOED(Oxford English Dictionary オックスフォード英語辞典)にも、古代ギリシャ語の iris に由来する、としか書いてなかったので。

ところで、我が家に変わったジャーマンアイリスが咲きました。

ジャーマンアイリス

雨に打たれる虹色のジャーマンアイリス。

もしかして、こういう、いろんな色の混じった花びらのジャーマンアイリスから虹を連想したのかな?と、ふと思いました。

が、冷静に考えれば、混色のものは品種改良の産物。

じゃあ、なぜ虹なんだろう…と再び悩む。

虹の色。

花と英語 デイジー・マーガレットとキク科の花でも紹介した鈴木孝夫(著)「日本語と外国語」にこんなことが書いてありました。

日本人にとって虹の色は、以前から七と決まっている。虹と言えば七色、七色と言えば虹というほど、この二つの結びつきは固い。

そして、H・A・グリースンという構造言語学者の本に言及し、

そこにはショナ(Shona)語では三色、バサ(Bassa)語の場合には何とわずか二色、そして英語では purple, blue, green, yellow, orange, red の六色だという記述がある。

ショナ語?バサ語?

何語?

それはともかく、たしかに虹が何色なのかは決められないでしょう。

光の屈折ですから見る度ごとに違うでしょうし。

アイリスの話に戻ると、古代にアイリスがありました。

何種類あったかはわかりません。
白・紫・黄色などの単純な色だけだったかもしれません。

仮に三色しかなくても、たくさん咲いているアイリスを見て、古代ギリシャ人が「虹のようだ」、と思ってもおかしくありません。

まあ、あくまで自分の推測ですが。

虹というと七色とはいわないまでも、「たくさんの色」という偏見があったので、アイリスの語源が虹と知ると、どうしても「たくさんの色」、に関係するのではないか、と思っていました。

ちなみに、「日本語と外国語」によるとアメリカでは虹の色は六色だったり七色だったりするようです。

びっくりしたのはイギリスでの話。

私を驚かせたことは、このように数多くの英国人に直接虹の色のことを尋ねてみると、日本とは全く違う反応を示すということであった。八や九だと言う人があるかと思うと、全く考えたこともないと答える人もいる。中には無限ではないかと、正解(?)を言う人もある。たしか学校で習ったが忘れたとか、六だったか七だったかはっきりしないと困る人、本当に一人一人がバラバラなのである。

虹のとらえ方、ほんとに虹色のようです。

さらに余談ですが、ギリシャ神話に Iris(イリス)という虹の女神がいます。

神々の伝令者。

空に大きく弧を描く虹。

まさに虹の架け橋。

虹が神々の伝令者と考えられたのも不思議ではありません。

で、アイリス、どっち?

話がそれました。再び花のアイリス。

語源のことは自分なりに納得。

では英単語 iris はジャーマンアイリス?それともアヤメ?

英英辞典に iris の絵が載っていました。

微妙・・・

そこで、遅まきながら花図鑑を見る。

ジャーマンアイリス、別名、

ベアーデッド・アイリス、ドイツアヤメ

と書いてありました。

ベアーデッド・アイリス

Bear dead ?

熊さんと関係あり?

と、辞書を引く。

関係ないもよう。

はて・・・

ふと bear の隣を見たら、

beard [ ビア(ー)ド ] あごひげ

を発見。

bearded [ ビア(ー)デド ] 、「あごひげのある」という意味の形容詞もあり。

さらに下をみると、

~ iris 〔植〕 花被にひげ状の部分のあるアイリス.
-「ジーニアス英和大辞典」

ジャーマンアイリスの英語名、ついに判明。

Bearded iris

が、研究社の「新英和大辞典」に、

German iris n. 【植物】ジャーマンアイリス,ドイツアヤメ《Iris germanica およびその改良種の総称》.
-研究社「新英和大辞典」

ジャーマンアイリスを「ドイツアヤメ」とも呼ぶのは知っていましたが、German iris というのは日本人が英語にした、いわゆる和製英語だろうと思って調べていませんでした。

灯台下暗し。

よって、ジャーマンアイリスの英語名は、

Bearded iris

German iris

とわかりました。

どちらがメジャーな呼び方なのかまでは不明。

なんとなく Bearded iris の方が一般的なような気がしますが。

ちなみに、「新英和大辞典」にあったようにジャーマンアイリスの学名は、Iris germanica イーリス ゲルマニカ。

ドイツ産のアイリス、という意味ですが、花図鑑によると原産地は南アフリカで、ドイツではないらしい。

品種改良がドイツで盛んだったので、そういう学名がつけられたもよう。

おっきい花、ちっちゃな花。

ジャーマンアイリスは花も大きくカラフルなので目立ちます。

が、最近は小さな花のほうが気になる存在。
ひっそり感がまたいい感じ。

そこで、人目を引くジャーマンアイリスの艶やかさに隠れて、こっそりと地面に咲いている、ちょっと雑草扱いされている花たちを Pick Up !

忘れな草(勿忘草)

勿忘草

"Remenber me ?" Piccolo whispered.

忘れな草。英語で forget-me-not [ フォトミノト ]。

OED に「フランダースの犬」で有名な作家ウィーダ(Ouida)の「Moths」という作品からの引用文がありました。

He laid on her knee some forget-me-nots.
-「OED」

この小説は読んでいないので以下は想像。

草原に座っている恋人二人。

ただじっと二人で草原を見つめている。

理由があって、離れ離れにならなくてはならない二人。

どう話しかけたらいいのか悩む彼。

そこで、忘れな草の花を何輪か・・・・

この英文、訳すとすれば、「そっと彼女のひざの上に…」と、「そっと」の一語を入れたい感じ。

以上、妄想終了。

ところで forget-me-not、語源はなんでしょうか?

調べたところ、諸説フンプン。

だから語源に慎重な OED には由来は載っていません。

忘れな草はヨーロッパ原産のようですが、日本でも野生化しており、我が家にも生えていました。

LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English/ロングマン現代英英辞典)で forget-me-not を調べると、

a small plant with pale blue flowers
ー「ロングマン現代英英辞典」

淡い blue。

勿忘草

我が家でも淡い青の忘れな草の方が多く自生しています。

ちなみに、忘れ草、というのもあります。

万葉集の有名な歌。

忘れ草 我が紐に付く 香具山の 古(ふ)りにし里を 忘れむがため
-大伴旅人

忘れ草を紐に結びつける。どうしても忘れることができない、香具山のある懐かしい都を忘れられるように。

忘れ草は「薮萱草 (ヤブカンゾウ)」という草。

我が家には咲いていないので写真を載せることはできませんが、花図鑑で見る限り、とっても綺麗で立派な花です。

カタバミ

以前、オキザリス(oxalis)という花を紹介しました。→オキザリス

オキザリスにそっくりの、ちょっと小ぶりな花がありました。

カタバミ

何という花なのか、母に聞く。

息子問うて曰く、この花は何といふ名なるや?

母曰く、カタバミっていう、

母の説明によると、カタバミもオキザリスと同じ仲間だが、自然に増えて増えて刈るのがたいへんなので、草認定、らしい。

ちなみに、カタバミ、アカカタバミというのもあります。

アカカタバミ
アカカタバミ

花は同じく黄色ですが、葉っぱが少し紫がかっています。

さらに、ムラサキカタバミ、というのもあります。花の色が、紫。

ムラサキカタバミ
ムラサキカタバミ

うちの母はムラサキカタバミは草認定しておらず、いろんな場所に植えています。たしかに綺麗な紫色。

カタバミ・アカカタバミ・ムラサキカタバミ。

舌、噛みそう・・・

ちなみに、カタバミ族は、葉っぱがまるでクローバー。

クローバー clover

ということでクローバー、道端にある典型的な雑草。

三つ葉のクローバー

子供の頃、学校の帰り道、四つ葉のクローバーを探しました。

何度か見つけたと思いますが、見つけたあと、どうしたんだろ?

本にはさんで…などした記憶は、なし。

帰り道、捨てた?

四つ葉のクローバー
四つ葉のクローバー

英語では、
four leaf clover
four-leafed clover
four-leaved clover というらしい。

調べるまでは、four leaves clover だと思っていました。

五つ葉のクローバー
五つ葉のクローバー

合成ではありません(ピッコロ談)。

実は花屋に、四つ葉率が激高の clover が売られていました。

五つ葉もけっこう混じっており、探せば六つ葉のもあるかもしれません。

ポピー poppy

ポピー、とっても可愛らしい名前ですが、我が家では雑草扱い。

どこからともなく種が飛んできて、大繁殖。

その生命力や、ものすごいし。抜いても抜いてもイタチゴッコ。

花は可愛いんですけどね。

ポピー
ポピー

poppy の語源はラテン語の papaver(パパーウェル)。
papaver の意味は、そのまんま poppy。

和名、ヒナゲシ(雛罌粟)、またはグビジンソウ(虞美人草)。

可愛い名、優雅な名、色々あれど、我が家じゃ雑草。

ところで poppy、花が咲くまでが面白い。

ポピーが咲くまで
ポピーのつぼみ ポピーの花、顔を出す
ポピーの花、さらに顔を出す ポピーの花、咲く寸前

ポピーのつぼみ、まるでピッコロの触覚?みたい。

そこからじょじょに殻?がむけ、やっと開花。

どうせなら殻が落ちる寸前を写真に撮ろう、と poppy を監視。

が、電話が鳴り家の中へ。

迷惑なセールス電話に腹を立てながら戻る。

殻、すでになし・・・

風に吹かれて、ポピー。

ポピーは近所中に生えています。

種が風に吹かれて…と、風の噂で、というか母から聞いてはいましたが、何事も自分の目で確かめてみる。

ポピーの種

ちぃっちゃ!

しかも何百も。

これじゃあ風に吹かれて飛んでいくわけだ、と納得。

ちなみに野生化したポピー、オレンジ色しかありません。

そこで、

全日本 poppy カラフル化計画

を企画し、種を購入。

全日本 poppy カラフル化計画会長ピッコロ大魔王

カリフォルニアポピーというらしい。

蒔いたのはもちろん、例のプランター。二ヶ月待ったが我慢の限界。

我が家に咲くカリフォルニアポピー、そよ風に吹かれて日本を席巻。

世界をめぐりめぐって、生まれ故郷のカリフォルニアに里帰り。

という壮大な企画。

そして種を蒔いて約一週間後、発芽!

ポピー発芽

順調な滑り出し。

ここ数日、天気が良かったからか、蒔き方が上手だったからか、謎。

もしも太陽がなかったら?

いわずもがな、ですが、太陽はえらい。

「英語と花」を始めて以来、太陽のスゴさを実感する日々。

花を咲かせ、植物を育てる。

ほんと、太陽は命の星です。

で、ステン・F・オデンワルド(著)「宇宙300の大疑問」という本で太陽のことを調べる。

この本は質問、回答、という形式で書かれています。

太陽が日没とともに消滅してしまったらどうなりますか?

という質問がありました。
回答が長いので簡単に要約します。

太陽が消滅したら、地球は八・三分後にそのことに気づく。そして、太陽の重力場がなくなり、地球は太陽が消滅した瞬間に進んでいた方向にまっすぐ進んでいく。

そして、

太陽の光を見ることもなく、永遠に夜となる。(略)数千年もすれば、地球の天文学者は、残された星座や明るい星たちのズレに慣れてしまうだろう。

永遠に夜でも人間は生きていけるのでしょうか?謎。

この本によると、太陽はどんどん明るさを増しているそうです。

いずれ地球の海水は蒸発し始め、十億年後には地球に生命が存続するのは不可能になってしますそうです。

十億年後とはいえ…

それまでに違う星に移住すればいいんだ!と思ったら、宇宙にも寿命があるらしい。

早くて600億年後、遅くても数兆年後。

オデンワルドさんいわく、

生命は滅びる運命なのだ。

切ない…

元気ハツラツです。

気を取り直して、明るい話題を。

「花と英語」にちょこっとだけ登場したイチゴ。→ピッコロの左の苗

立派な実をつけました。

苺

食べてみたら、実に美味。

自分で育てたものの味は別格。

スーパーで売っているイチゴなんて、ヘビイチゴに思えるくらいおいしかったです。

我が家は農家ではありませんが、家庭菜園をやっており、畑にヘビイチゴがありました。

ヘビイチゴ

ヘビイチゴ(野イチゴ)、英語で wild strawberry

毒はないらしいので、科学実験の一環として食べてみようかと思いましたが、一応、大人としての良識、遠慮しときました。

ところでイチゴ、英語で strawberry

berry はわかるとして、なぜ straw 「わら,麦わら」?

英語語源辞典によると、

その名称は一説にその実を保護するためにわらを敷く古い習慣にちなむという.あるいは匍匐枝が麦わらに似ているためとする説もある.

そういえばイチゴ畑には、わらが敷いてありますね。

イチゴが土枯れしないためでしょうか。

自分のイチゴは、ただ唐辛子の種を蒔いたプランターに植えただけ。

土枯れもせず、虫に食べられもせず、立派な実をつけました。

唐辛子パワーか、植え方が上手だったからか、謎。

ちなんでばかりですが、ちなみに、びっくりしたのは、

イチゴはバラ科

ということ。

桜も、バラ科、イチゴもバラ科、リンゴもバラ科、バラも当然バラ科。

なんかもう、バラ科はなんでもありな世界。

オタマジャクシが仮にバラ科であっても、もう驚きません。

ニワゼキショウ blue-eyed grass

ニワゼキショウ

最近のお気に入り。

とっても小さい花です。写真の左に見えるのが種。

ニワゼキショウ(ニワセキショウ)(庭石菖)。

英語で blue-eyed grass

花の大きさは全く違いますが、ジャーマンアイリスと同じくアヤメ科の花です。アヤメ科も種類が多いですね。

仮にカブトムシがアヤメ科でも…

ところで、このニワゼキショウ、色が変異することが多く、青から白まで、たくさんあるようです。

我が家には紫のほかに白、淡い青色のニワゼキショウがありました。

白いニワゼキショウ 淡い青色のニワゼキショウ

ニワゼキショウの写真を撮っていると、父が隣に。

そのときはこの花の名前を知らなかったので、聞いてみる。

この花、なんていう花?

父、曰く、

簡単に引っこ抜けるぞ。

という、全く次元の違う答えが返ってきました。

父は完全にニワゼキショウを雑草扱い。

父も母と同様、花や樹木が趣味なのですが、大きな花以外、父は雑草扱い率、激高。

やっとこ探し当てた、かのデイジー(daisy)の原種

父曰く、

そんなの、ハルジオンと同じ。

ハルジオン、蔑称で、「貧乏草」などと呼ばれている花。

ハルジオン

たしかにそっくりだけど・・・

ちなみに、父がハルジオンと言ったか、「○○草」と言ったかは内緒にしときます。

きらびやかな花、足元に咲く花。

今回の「花と英語」ではジャーマンアイリスのような、きらびやかな花、忘れな草のような目立たない花をとりあげました。

散歩していると、どうしてもジャーマンアイリスのような大きく派手な花に目がいきがちです。

でもたまに足元も見てください。

案外、可愛い小さな花を見つけることがあるかもしれません。

あるいは四つ葉のクローバーを発見するかも。

そして、忘れな草を見つけたら、やさしく見つめてあげてください。

勿忘草

"How cute …. You are lovely like … like me."

というわけで、次回の「花と英語」は、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」編。

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