2007年3月11日
「川田流英語のツボ」川田拓矢(著)
川田拓矢(著)
とにかくスゴイ参考書。
たとえば次のようなことが平気で書いてある。
男に性欲があるかぎり、<それ>は価値でありつづけるだろう。かく言う私も、高校時代、学校をサボって、しかも奨学金をはたいてセッセと青線(赤線廃止後は青線と呼ばれた)に通ったくちである。3度に2度は不能に陥り、たいていの女はそれを喜んだものだが、マリさんという中年の優しい女性がいて、さいごまでシッカリ面倒を見てくれた。当時は売春婦のからだに触ることは厳禁で、そんなことでもしようものなら、隣の部屋に控えている恐いお兄さんに早速連絡されてその場でひどい目にあったものである。マリさんはちがった。そうして帰りぎわにはいつも、「ちゃんと手を洗ってお帰りなさいね」と、言ってくれた。
受験参考書、ですよ、コレ。
こっち方面の話題はそのほかにもたくさん。
「教える」のまとめ
(3)学問や人生を教える時 ― teach
Teach me tonight.
(今夜、教えてね)......恋の技法も、人生の一部であることは疑いをいれない。
次の例文は、驚き・意外・不審・遺憾、の should、にて。
It is strange that she should have married such an old man.
(彼女があんな老人と結婚したなんて不思議だ)
これに、
彼女というのは、もちろん、吉永小百合のことである。この項、コメントなし。
というコメントがついてます。
川田さんは、いわゆる、サユリスト?
そして野球への愛。
命令の should の例文。
He ordered the child (should) wear a plaster cast trainging a major leaguer.
(彼はその子に大リーグ養成ギブスをするよう命令した)
著者にはお子さんはいらっしゃらないようですが、男の子がいたら野球選手にしたかったそうです。
女の子がいたら、「勉強がイヤにできる髪を赤く染めた非行少女にしたかった」そうです。
次は、「強調語」にて。
When the hell can Kiyohara get a home-run king ?
(いったいいつになったら清原はホームラン王を取れるんだ)
この参考書は1993年の4月に出ました。
以来14年、川田さんの願いは叶わず。
そして、残念ながら今後も叶いそうにはありません。
というか、今の清原は、タイトルうんぬん、など超越していますからね。
清原が打席に立つ、Kiyohara at bat、その姿だけで、十分満足。
昨年のクルーンから放った、逆転サヨナラ満塁ホームラン(a come-from-behind game-ending grand slam でいいのか?)。
泣けました。
今年こそ、せめて100試合くらいは出場して欲しい。
がんばれ!番長!
神様、仏様、稲尾様。
そのほかにも野球ネタの例文があります。
「帰結節しかない仮定法」という項目。
(3)自分で if 節を作り出す
It would be difficult to imagine a nicer sort of baseball games than those of the Japan Series in 1958 (if you tried to imagine).
(1958年 [昭和33年] の日本シリーズほど素晴らしい野球の試合を 〔いくら考えてみろったって〕 考えることは難しいだろう)
という例文のあとの川田さんのコメント。
言わずと知れた、巨人対西鉄 ― 西鉄3連敗のあとの4連勝、<神さま仏さま稲尾さま>と鉄腕稲尾和久がもてはやされたシリーズのことである「生まれていないから知らない」とは言わせない。・・・(略)
と続く。
確かにこの日本シリーズの稲尾はスゴイ。
5試合に先発し、4試合完投ですから。
まさに鉄腕。
昭和36年には78試合に登板し、42勝14敗、完投数25。
シーズン42勝はスタルヒンと並ぶ日本記録。
42勝...
今後、破られることなど絶対ありえないシーズン記録。
まさに、神。
稲尾和久、愛称「サイちゃん」。
選手生活14年。
通算276勝137敗。
平成5年、野球殿堂入り。
一人になって泣きたい。
もう一つ、日本人として忘れてはならないのは、昭和34年の日本シリーズ。巨人対南海における南海のエース、杉浦の活躍。
第一戦からの四連投、四連勝。
第一戦、先発。
第二戦、五回からリリーフ。
第三戦、先発して十回完投。
第四戦、先発して完封。
四連投、四連勝。
まさに鬼神のような活躍。
というか、監督(鶴岡一人)が、鬼。
酷使しすぎ。
試合後の杉浦の台詞、
一人になって泣きたい。
あまりにも名言すぎて、読む度にこっちも泣けてきます。
こんな名言を自分ごときが英訳するとは不遜の極みですが、あえて。
I want to sob quietly, being alone.
ん...いまいち...
杉浦忠、選手生活13年。
通算187勝106敗。
平成7年、殿堂入り。
野球、それは名言の宝庫。
野球選手には他にもたくさん名言があるのでいくつかピックアップ。
雨、のち権藤。
昭和36年といえばもうひとつ、名言、というか・・・
なんていったらわかりません。
権藤、権藤、雨、権藤、雨、雨、権藤、雨、権藤。
権藤博投手のこと。
しかも、この年はルーキー。
69試合に登板し、35勝19敗、完投数32。
スゴすぎ...。
来る日も来る日も権藤が投げた。
まさに、権藤、権藤、雨、権藤、雨、雨、権藤、雨、権藤。
誰が考えたんでしょう?
ホント、声に出して読みたい日本語。
正しい?読み方は、
権藤、権藤、雨、権藤、でいったん区切り、
雨、雨、権藤、雨、権藤。
権藤、権藤、雨、権藤 / 雨、雨、権藤、雨、権藤。
ゴロ良すぎ。
またもや、失礼ならが英訳。
When it rains, the game is rained out. whenever it doesn't, Gondo goes to the mound.
さすがに、
Gondo, Gondo, rainy day, Gondo, two rainy days in succession, Gondo, rainy day, Gondo.
では意味不明でしょう。途中からゴロが悪くなるし。
まあ、「権藤、権藤、... 」も知らない人が聞いたら意味不明なんですけどね...。
秋の月夜。
月に向かって打て。
昭和43年、東映の飯島打撃コーチが大杉勝男に言った言葉。
この年、大杉は34本のアーチを放ち、後に2度のホームラン王を取ることになる。
飯島打撃コーチは穏やかな人で、実際は「大杉君、あの月に向かって打ちなさい」と言ったそうです。
でも短い言葉のほうが名言っぽく聞こえます。
月に向かって打て。
再び無礼ながら、英訳してみます。
Slug at the moon.
ん...どうでしょう?
大杉勝男、選手生活19年。
通算2228安打、486本塁打、1507打点。
平成4年、死去。
平成9年、殿堂入り。
ユニフォームに包まれて。
巨人の背番号4は永久欠番。
黒沢俊夫が付けていました。
黒沢は他の巨人の永久欠番、沢村・川上・金田・長嶋・王などと比べると、それほど素晴らしい成績は残していません。
昭和22年、腸チフスにかかり、シーズン中に死去。
ユニフォームを着たまま葬って欲しい
という言葉に、選手たちや球団代表が感激し、黒沢の背番号4を永久欠番としました。
英訳すれば、
I want to be buried in uniform.
黒沢俊夫、選手生活8年。
通算459安打、7本塁打、80盗塁。
ホームスチールの名人であった。
ベンチが...
野球名言を挙げるとキリがないので、あと一つだけ。
江本孟紀(たけのり)の名言?
ベンチがアホやから野球ができん。
ベンチとは要するに監督のこと。
英訳してみると、
I could't play baseball under the stupid manager.
または、
The stupid manager knows nothing about baseball.
ぬぅ...
英訳は苦手。
江本孟紀、愛称「エモやん」。
選手生活11年。
通算113勝126敗。
殿堂入りは、おそらくなし。
一方、江本さんにアホ、と言われた中西太監督は、選手時代、「怪童」といわれた名打者。
首位打者2回、ホームラン王5回、打点王3回、という素晴らしさ。
平成11年、中西太、野球殿堂入り。
閑話休題。
「川田流英語のツボ」からスッカリ話がそれてしまいました。
自分にとって、トイレとは次の二冊を読む時間。
「プロ野球データブック」(宇佐美徹也)
「プロ野球を創った名選手・異色選手400人」(新宮正春)
いつも読んでいるので、つい野球談話に熱中してしまいました。
「英語のツボ」に話を戻します。
「年齢に関する様々な表現」に、こんな例文がありました。
A forty-year-old butcher's wife is proposing to swim the Channel this year.
(40歳になる肉屋の女房が、今年イギリス海峡を泳いで渡ることを計画している)He may be strong and handsome, but has the intelligence of a child of two.
(彼は確かにたくましくハンサムだが、2歳児の知能しか持っていない)
一言。なんか、スゴイ。
何かが、スゴイ。
本当は、ホントにスゴイ参考書なんです。
変な例文ばかり取り上げて着ましたが、大半はちゃんとした例文です。
文法の説明も素晴らしい。
自分は参考書マニアなのでたくさんの参考書を持っています。
ですが、「英語のツボ」ほど、英文法をわかりやすく説明してある参考書は寡聞にして知りません。
そして、なんといっても、精読のスゴさ。
この本は、「まえがき」「あとがき」含めて160ページ。
一方、扱う英文は、1ページから2ページの長さの英文、たった3題。
余談が多いとはいえ、まさに、一語・一語、丁寧に読む、の見本です。
そして実践的。
「畳(冗)語」というものがあります。
たとえば、
She is shy and bashful.
要するに、同じ意味の言葉を二つ続けること。
「英語のツボ」の解説。
この文において、shy と bashful は同意である。あえて訳せば「彼女は内気で内気だ」となる。処理にかかってみよう。
(1)片一方だけ訳す ― 「彼女は内気だ」
(2)せっかく重ねたのだから訳し分ける
― 「彼女は内気で引っこみ思案だ」
☆ 翻訳家がよく使う手である。(3)重ねているということは強調したいのだから強調して訳す
― 「彼女はとても内気だ」
英文を読む上で大いに役立つ説明です。
畳(冗)語は英文を読んでいるとよく出てきますから。
たとえば、
"Tell me about yourself."
"Well, I had a run-in with Mrs.Holper today. She wanted to return a dress with a huge big whiskey stain on the seat."【語句】
¶run-in (名詞)口論,けんか。
¶stain/ステイン(名詞)染み。
¶the seat (名詞)(ズボンなどの)お尻の部分。【訳】
「君の話が聞きたいな」
「あのね、今日ホルパーさんとけんかしちゃった。彼女ったらお尻のところにすっごくおっきなウィスキーの染みをつけたままドレスを返そうとするんだもの」
-T.Harris「Red Dragon」
huge と big は似たような意味。
強調して訳してみました。
数年ぶりに。
「英語のツボ」を買ったのはもう何年も前。
いつの間にか紛失してました。
で、先日購入。
再購入した理由は、as if と仮定法のことにて次のことを書いたから。
自分は学校文法の信望者 (& その弊害をもろ受けている人間)。
実際の英文を読んでいると、学校文法では「非文」とされる英文がたくさん出てきます。
特に、関係代名詞の「制限用法」・「非制限用法(継続用法)」の区別がおかしい英文はよく出てきます。
最初は???と思って悩んだこともありましたが、最近はサラッと無視。
それが英語伸び悩みの原因か?
とにかく、日本人から見て文法的にはおかしくても、ネイティブが書いたものなのだから、意味がわかるなら、そういう言い方もある、で済ますのも一つの方法。
自分だって、おかしな日本語をいっぱい使っていると思いますから。
自分で書いたのに、「どこかで聞いたような意見だな...」と思いました。
どこで見たんだろう?
...... ツボだ!
しかり。
「英語のツボ」に書いてありました。
制限用法、継続用法には、十中八九何の差もない。(略)カンマのあるなしで意味が変わってしまう例文は好事家が何年もかかって収集したひどく珍しいものであって、まったく気にする必要はない。
ツボ 22
《 泣き寝入りの原則 》辞書や参考書を全面信頼して、カチカチの人間になるな。現実に生きている、柔軟で広い言葉の海を漂え。natives が使った以上はその用法を正しいとみなしてあきらめよ。
よって、
自分は学校文法の信望者 (& その弊害をもろ受けている人間)。
...略...
とにかく、日本人から見て文法的にはおかしくても、ネイティブが書いたものなのだから、意味がわかるなら、そういう言い方もある、で済ますのも一つの方法。©「英語のツボ」
ということ。
続編を、ぜひ。
「英語のツボ」のあとがきに、こうあります。
いずれ機会があれば(この本の売れ行き次第では、ということを私は意味している)2冊目、3冊目の参考書を書くことになるかもしれないと心準備をしている(以下略)。
売れ行きは...苦戦中?
著者の川田さんはいま作家としても活動しているようです。
そっちに忙しいのか、参考書を書く心準備をしている最中なのか、売り上げ苦戦だから、か。
何はともあれ、ぜひ続編を。
When the hell can Kiyohara get a home-run king ?
(いったいいつになったら清原はホームラン王を取れるんだ)
と熱く語った著者。
今の清原に対する気持ちを例文にしてもらいたい。
語らぬ川田さんに代わり、自分でちょこっと。
Everyone suspects Kiyohara wouldn't stay in the games this season too.
今年も清原はシーズン途中で離脱するんじゃないかと誰もがうすうす感じている。
清原、今年は(も)キャンプで故障で離脱。
三振したっていい。
全打席三振でもかまわない。
とにかく、球場であのスキンヘッドを見せてくれ。
もう一度、がんばれ!番長!
何事にも、好奇心。
最後に、川田さんの、非常にコメントし難いが、熱い思いを。
《英語学習に王道なし。ひたすら好奇心を持って努力すべし》
好奇心のない努力は時間の消費が目標となり、何の工夫もない空しいものとなる。好奇心は全て、創造の根源となる。例えば、懐中時計を持って布団にもぐりこみ、好きな女のそのブブンを研究するというのも立派な好奇心なのだ。好奇心さえあれば、人生のいかなる目標も自分を励まし、生かしめる力となるのである。
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川田流英語のツボ
川田拓矢(著) |


comments
from @あせいin東京2007
誰にもまねの出来ない個性豊かな活動をされていること・・・尊敬する人生の先輩の一人です。。。2007-3-15(19:55)@あせいin東京。
2007年3月15日 20:02
from まさんた
そうですね。川田さんに接すると人生が変わりそうですね。
参考書を読んだだけでも、そう感じます。
僕の尊敬する人生の先輩は、タイガーマスク。
そしてなぜか、現在、英語のブログを書いてます。
2007年3月15日 22:48