2007年3月29日 Posted by まさんた
identity, identify ミステリーの英単語
今回は、洋書のミステリーに頻出の、「(死体・犯人の)身元」に関する英単語です。
ページ内目次
identity
identity は日本語化しています。
「自分らしさ,本当の自分」などといった意味の、アイデンティティー。
ですが、洋書のミステリーでは「身元,正体」という意味で使われることが多いです。
★洋書のミステリーに出る英単語
identity [ アイデンティティ ]
【名詞】
身元,誰であるか,正体。
さっそく、identity が使われている英文。
He'd established a man's identity once with nothing more than a single tooth.
【語句】
¶establish/イスタブリシ(動詞)(隠された)事実を見つけ出す(=find out facts)。
¶nothing more than ... (熟語)...だけ(=only)。【訳】
彼はかつて、たった一本の歯だけで ある男の身元を突き止めたことがあった。
-Jeffery Deaver 「The Coffin Dancer」
Longman (Longman Dictionary of Contemporary English/ロングマン現代英英辞典)で identity を調べると、最初に「身元,誰であるか」と定義しています。
identity 1 [C,U] someone's identity is their name or who they are
誰かの identity とは、その人が誰なのか、または、どんな人間なのか.
ー「ロングマン現代英英辞典」
例文として、
The identity of the killer is still unknown.
その殺人犯が誰なのか、依然として判明していない。
ー「ロングマン現代英英辞典」
という、実にミステリーちっくな英文が載っていました。
identify
次は、identity の動詞、identify。
★洋書のミステリーに出る英単語
identify [ アイデンティファイ ]
【動詞】
(死体・犯人が)誰であるかを特定する,身元確認する。
次の英文では、identify と identity 「身元・正体」の両方が使われています。
Officers assigned to this unit believe several transient-type individuals are engaged in the street level sale of "black ice." Five suspects have been identified through investigation but no arrests have followed. The street sales network is believed to be directed by an individual whose identity is not known to officers at this time.
【語句】
¶officer/オフィサ(名詞)捜査官。
¶assign ...to ~ (熟語)...を~に割り当てる,任命する。
¶transient/トゥランスィエント(形容詞)ゆきずりの。
¶street level 街頭レベルの → 末端の。
¶black ice (名詞)ブラックアイス(※麻薬の名)。
¶suspect/サスペクト(名詞)容疑者,疑わしい人間。
¶investigation/インヴェスティゲイション(名詞)(綿密な)捜査。
¶arrest/アレスト(名詞)逮捕。【訳】
この班に従事する捜査官たちは、"ブラックアイス"を末端で売りさばいているのは組織とは直接関係のない男たちであろうと信じていた。捜査の結果、疑わしい五人の男の身元は特定されたが、逮捕までは至らなかった。ストリートの密売ネットワークはある人物が指揮していると思われるが、その人物が誰なのかは現時点では捜査官たちはわかっていない。
-Michael Connelly 「The Black Ice」
長い英文なので、最初から。
Officers
捜査官たち
どんな?
assigned to this unit
この班に振り分けられた
assigned to this unit は、どんな Officers なのかを後ろから説明する句。
Officers assigned to this unit
この班に従事する捜査官たちはbelieve
信じている
何を?
several transient-type individuals
ゆきずりで(麻薬を売りさばいている)男たちの幾人かは
この部分は少し難しいです。
常習的な麻薬の売人ではなく、お金に困ってなどの理由で、売人をやってみた男たち、つまり、組織には属していない売人、ということ。
そういう男たちを捜査官たちは、
are engaged in the street level sale of "black ice."
"ブラックアイス"を末端で売りさばいている。
ここまでの英文と訳をもう一度。
Officers assigned to this unit believe several transient-type individuals are engaged in the street level sale of "black ice."
【訳】
この班に従事する捜査官たちは、"ブラックアイス"を末端で売りさばいているのは組織とは直接関係のない男たちであろうと信じていた。
次の英文。
Five suspects have been identified
五人の容疑者の身元が特定された。through investigation
捜査を通じてbut no arrests have followed.
しかし、逮捕には至らなかった。
次の英文。
The street sales network is believed
ストリートの密売ネットワークは...と信じられている
どのように信じられている?
to be directed by an individual
とある一人の男に仕切られている
どんな男?
whose identity is not known to officers at this time.
その男の身元(=誰なのか)は、まだ捜査官たちにはわかっていない。
whose identity の先行詞は、an individual です。
identification
★洋書のミステリーに出る英単語
identification [ アイデンティフィケイション ]
【名詞】
1.身分証明となるもの。
2.(死体・犯人が)誰であるかを特定すること(特定する物),身元確認すること(物)。
1の「身分証明となるもの」は、どの辞書にも、
"Do you have any identification?"
「何か身分証明となるものをお持ちですか?」
というような例文が載っています。
日本なら「免許証か何かありますか?」というところでしょうか。
次の英文の identification は、「(死体が)誰であるかを特定すること(物),身元確認すること(物)」。
The only identification key was a tattoo on the upper left chest. It was a monocolor outline of what appeared to be a ghost.
【語句】
¶monocolor → mono- 「単...」+color 「色」。
¶outline/アウトゥライン(名詞)輪郭,線画。【訳】
(死体の)身元確認のカギとなる唯一のものは、左胸の上部にあるタトゥーだけだった。それは単色の線彫りで、ゴーストのように見えた。
-Michael Connelly 「The Black Ice」
この identification は key を修飾する、形容詞のような働きをしています。
ID
大文字の ID という単語は、今までにあげた英単語の、略。
つまり、ID = identify, identity, identification。
★洋書のミステリーに出る英単語
ID [ アイディ ]
【動詞】
(死体・犯人が)誰であるかを特定する」(=identify)。
【名詞】
1.身元,誰であるか(=identity)。
2.(死体・犯人が)誰であるかを特定すること(物),身元確認すること(物) (=identification)。
まずは動詞の例。
If he were HIV positive that might help them ID him through doctors or clinics.
【語句】
¶HIV positive (名詞)HIV陽性の人,HIVキャリア。
¶that might help ... の that は If he were HIV positive を受けています。
¶help ... do (第五文型)...が~するのを助ける。◆ID が動詞。【訳】
もしこの男がHIVキャリアだったら、病院や診療所を通して男の身元を突き止める助けとなるかもしれない。
-Jeffery Deaver 「The Coffin Dancer」
この英文はas if と仮定法のことで取り上げたことがあります。
繰り返しになりますが、もう一度。
仮定法の2つの意味。
If he were... ですから、この英文は、あきらかに仮定法。
ですが、この段階では 男が HIVキャリアかどうかは判明していません。
仮定と考え、「実際はそうではないが、そうだと仮定すると」だと意味がおかしくなります。
仮定法には2つの意味があります。
1.実際は違うが、仮定の話。
2.可能性が低い、または、不確かなこと。
If he were HIV positive ... は、2の「可能性は低いが、(または)不確かだが~」。
ですから、それを意識して訳せば、
If he were HIV positive that might help them ID him through doctors or clinics.
【訳】
調べてみないとわからないが、もしこの男がHIVキャリアだったら、病院や診療所を通して身元を突き止められるかもしれない。
次は ID の名詞の例。
可算名詞として扱われており複数となっています。
If you want to keep a corpse anonymous for a few hours you shove his IDs down his throat. It doesn't get spotted till the autopsy.
【語句】
¶corpse/コープス(名詞)死体。
¶anonymous/アナニマス(形容詞)名のわからない,人物不明の。
¶shove/シャヴ(動詞)突っ込む。
¶spot/スパト(動詞)突き止める。
¶autopsy/オートプスィ(名詞)検死。【訳】
数時間、死体を身元不明にしようとするなら、そいつの身元が分かってしまうような物をそいつの咽に突っ込むんだ。検死までは発見されない。
-Jeffery Deaver 「The Coffin Dancer」
次も ID が名詞として使われている英文。
identify 「身元を明らかにする」も使われています。
"Look, you want to talk, give me an ID. Otherwise I hang up."
Bosch identified himself.【訳】
「おい、話をしたいなら、名前を言え。じゃないと電話を切るぞ」
ボッシュは名をつげた。
-Michael Connelly 「The Black Ice」
identity の語源
identity, identify, identification の語源は、ラテン語の、
idem
同じ(もの)
identity 「(死体の)身元」も根底は、「同じ」です。
たとえば身元不明の死体が発見されたとします。
死体を A とする。
行方不明になっている人がたくさんいる。
Bさん。
Cさん。
Dさん・・・
その中で、誰が死体 A と同じ人物であるか。
だから、「身元」という意味になります。
絶対矛盾的自己同一・・・
「本当の自分、個性」という意味でのアイデンティティーも根底は、「同じ」。
自分にはいろいろな自己がある。
いったいどれが本当の自己なのか、めざす自分は何なのか。
それを一致させる(同じものにする)のが、アイデンティティーの確立。
そういえば西田幾多郎という哲学者がアイデンティティーの確立を、
絶対矛盾的自己同一
と言いました。
ん・・・よくわかりませんが、漢字がいっぱい。
本当の姿?仮の姿?
映画「Mr. インクレディブル」の冒頭に次のやりとりがあります。
インタビュアー:
"Do you have a secret identity?"Mr.インクレディブル:
"Every super hero has a secret identity."
日本語吹き替え版を聞いたところ、インタビュアーの、
"Do you have a secret identity?"
という台詞が、
「世を忍ぶ仮の姿ってありますか?」
となっていました。
本当の自分は、どっちだ!?
Mr.インクレディブルのスーパーヒーローの姿を、ヒーロー。
普通の人間の生活を送っている姿を、日常とします。
吹き替え版によると、
ヒーロー = 本当の姿
日常 = 世を忍ぶ仮の姿(=secret identity)
ということになります。
リスニングの一環として、洋画や DVD は字幕なし、生の英語のままで聞いていますが、その時は、
"Do you have a secret identity?"
という台詞を、
誰にも言えない、本当の自分がありますか?
と考えていました。
つまり、
ヒーロー = Mr.インクレディブルとしての姿。
日常 = 本当の自分(=secret identity)
と考えていました。
吹き替え版では secret identity が、
世を忍ぶ仮の姿
吹き替え版では、ヒーローとしての姿 = 本当の自分。
自分の考えでは、普通の人間としての生活 = 本当の自分。
吹き替え版を聞いたときは、「なるほど!そっちか!」と思いましたが、よくよく考えると、Mr.インクレディブルの secret identity ってどっちなんだろう...
ん・・・
ん・・・
ん・・・
ま、どっちでもいいか。
人間、(スーパーヒーローも含めて)、よくわからんが、
絶対矛盾的自己同一
ですから!
ID-proof
本当の自分を探す、のではなく、わざとわからなくする(殺した死体の身元のことですが...)のが、ID-proof。
★洋書のミステリーに出る英単語
ID-proof
【動詞】
(死体の)身元をわからなくする。
proof は「証拠,証明」という意味で使われることが多いです。
証明するためには色々と、ためさなくてはなりません。
だから proof には「試験,試練」という意味もあり、「ためした結果 OK だ」ということで「...に耐えられる,防ぐ」という意味も出てきます。
たとえば、
| waterproof | 防水の |
| fireproof | 耐火の |
| bulletproof, ball-proof | 防弾の |
など。
ID-proof も、「IDされることを防ぐ」から「身元をわからなくする」。
First thing you do when you're ID-proofing a corpse, get rid of the jewelry.
【語句】
¶get rid of ... (熟語)...を取り除く,処分する。【訳】
死体の身元をわからなくしようとするなら、最初に宝石を始末するんだ。
-Jeffery Deaver 「The Coffin Dancer」
言いにくいのは、言いやすく。
最後にまたまた identity のこと。
といっても、発音のこと。
identity は[アイデンティティ] というよりも、
アイデニティ
と発音されることの方が多い気がします。
unfortunately 「不運にも,不幸にも」を [アンフォーチュネトリ] が [アンフォーチュナリ] と発音されるように。
ネイティブでも、発音しにくいのでしょうか。
以上、ミステリーの英単語・identity, identify, identification, ID, ID-proof でした。


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