2007年1月18日
おすすめ英文法書、比べ
日々参考にしている英文法書を3つレビューしたいと思います。
見比べてみるために、英語学習者にとっての難問、仮定法の記述を引用します。
最初に、「表現のための実践ロイヤル英文法」から。
旺文社:綿貫陽,マーク・ピーターセン(共著)
| 価格 | 1,890円 |
| レベル | 初級・中級~ |
| ここが○ | 説明が親切。ピーターセンの Helpful Hint も面白い |
まずは、さっそく仮定法過去の記述。
表現のための実践ロイヤル英文法の仮定法過去の記述
(2)仮定法過去
If there were no water, the trees would not be green.
(もし水がなければ,木は緑ではないだろう)If you won the lottery, would you quit your job?
(もし宝くじが当ったら,仕事を辞めますか)●第1の例文は現在の事実に反する仮定であるが,第2の例文は,あまり起こりそうのもない未来のことについて仮定していることに注意。
ちなみにですが、宝くじに当ったら、自分は仕事辞めます。
続いてマーク・ピーターセンさんの Helpful Hint の話。
仮定法と直説法の違いについてです。
Helpful Hint 54 仮定法と直説法の使い分け
仮定法と直説法の使い分けは,微妙なときもある。たとえば,「彼女も来てくれればうれしい」ということを表現するのに,仮定法で"I would be happy if she came too."と言っても,直説法で"I will be happy if she comes too."と言っても,かまわない。いずれも「彼女が来てくれるかどうかわからないが」という前提がある。ただ,比べてみると,前者の仮定法のほうが,その「来てくれるかどうかわからないが」という意識が幾分か強く感じられる。そこで,ぜひ彼女も来てほしい気持ちを示すのは控える,という場合なら,無意識のうちにネイティブは仮定法を選ぶ可能性が高い。というのも,直説法だと,「彼女が実際来てくれるのを期待している」という印象が微妙に強くなるのだ。その程度の違いでしかない。
マーク・ピーターセンさん得意のネイティブによるニュアンス講座。
このコラム(128個あり)を読むだけでも勉強になります。
まさに、英文法書版、「日本人の英語」です。
この文法書は「表現のための」となっているだけあって、例文に時事的な英文が多いです。
たとえば、「現在時制」の例文で、野球中継を例文にしているのもあります。
Johnson swings. A hard line drive down the left field line ! Ferraro runs over to get the ball as Johnson rounds first and goes toward second !
(ジョンソン打ちました。レフト線への痛烈なライナー。フェラーロが懸命に球を追っています。ジョンソンは1塁を回って2塁へ)
さらに、この本の特徴は、例文に文化的背景などの解説がついてるところ。
2001年9月11日の同時多発テロを使った例文には、September 11 より 9/11 や 9-11(nine-eleven) という言葉が連日のように報道で使われたので、アメリカ方言学会はこの語を正式に2001年の新語と決めた、などの説明があり、さらに、9-11 と似ている米国の緊急電話番後の 911 は、níne-òne-óne と発音する、などと説明が付いています。
「もしクレオパトラの鼻が・・・」という有名な言葉にも説明が付いており、クレオパトラ、シーザー(カエサル)、アントニー(アントニウス)らが活躍した共和制末期のローマ帝国の話が(簡単ながら)説明されています。
中にはかなりトリビアな説明があったり。
If a person were to jump off the edge of the Grand Canyon, how long would it take to get to the bottom ?
(もし人がグランドキャニオンの縁から飛び降りたとすると、谷底まで落ちるのにどのくらいかかるか)
という仮定法 were to の例文の説明がスゴイ。
◆ある学者の試算によると,グランドキャニオンが真空状態だとすれば,同渓谷の深さを5,000フィート,すなわち1,500メートルとして、17秒かかることになるが,実際には空気抵抗があるので,これよりは遅くなるという。
このような説明が英文法書に載るなんてことは、空前絶後でしょう。
付属に「英文手紙・Eメールの書き方」や、「英作文のための暗記用例文300」という別冊も付属してあり、「実践」というのもかなり意識した作りになっています。
いろいろな意味で、ほんと、読んで面白い英文法書です。
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表現のための実践ロイヤル英文法
綿貫陽・マークピーターセン(著) |
次は、「英文法詳解」。
学研:杉山忠一(著)
| 価格 | 1.890円 |
| レベル | 中級~ |
| ここが○ | 口語にも重点を置いており、現実の英語に則している |
本の帯に薬袋善郎さんの推薦文があったので買いました。
薬袋さん推薦なだけあって、とても細かいことまで載っています。
各文法項目のあと、その文法項目の補足があり、その補足に対する《注意》があり、さらに研究が続き、最後に参考が続く、という念の入れようです。
それに、こういうことが書いてあるのが気に入りました。
(1)Angry, the man left the room.
(2)The man, angry, left the room.
この2つの文の違いが書いてありますが、自分なりに要約すると、(1)の場合、分詞構文と考える。
意味は、「怒って(怒ったので)、その男は部屋を出て行った。
(2)の angry は、怒っただけでなく、男の態度にも怒りが表れている、と解釈する。
訳せば、「その男は、怒りをあらわにしながら部屋を出て行った」。
微妙なニュアンスですが、こういう記述があるのは英文法書ではめずらいしいです。
それでは仮定法過去の記述。
英文法詳解の仮定法過去の記述
(1)If he were honest, he would not do such a thing.
もし彼が正直者なら,そんなことはしないだろう。補足 仮定法過去は現在の事実の反対の想像であるから,(1)でいえば,この文を述べる人は,内心かなりの程度まで「彼は正直ではない」と思っているが,「もしかりに正直とすれば」という気持ちなのである。これに対し,類似の内容を直説法でいうこともできる。
If he is honest, he will not do such a thing.
正直なら,彼はそういうことはしないだろう。日本語訳の上では必ずしも明確な区別はつきにくいが,後者では「彼は正直ではない」という考えが裏にかくれていないので,単純な仮定を立て,「正直ならしないだろう(しかし,不正直ならするだろう)」といった気持ちである。
仮定法過去と、直説法(普通の if 節 )の違いもわかりやすいです。
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英文法詳解
杉山忠一(著) |
次は、英文法解説。
金子書房:江川泰一郎(著)
| 価格 | 1,785円 |
| レベル | 中級~ |
| レベル | 初級~ |
| ここが○ | これぞ日本人の手による伝統的英文法書 |
初版はなんと1953年。
半世紀が過ぎました。
現在は1991年の改訂三版。
こんなに息が長い理由は、有名な翻訳者の行方昭夫さんと、同じく翻訳者の安西徹雄さんの言葉で。
最後になったが,英文を読む際に必要な文法の知識は,これまた受験参考書に頼ればよいし,どの参考書も役立つと思う.しいて一冊挙げるとすれば,江川泰一郎『英文法解説』である.この本は1953年に発行されて以来,二度の改訂を経て,現在のものは1991年の改訂三版である.このように40年以上も多数の読者に愛用されてきたものであるだけに,およそ文法に関するいかなる疑問にも明快な答を与えてくれるすぐれた一冊である.私自身翻訳などに関して,およそ文法に関しては,この一冊で不足だったことは一度もない.
-行方昭夫「英文快読術」
江川さんのこの本は,非常にいい本だと思う.私自身,大学時代に読んで大変参考になった.よく読まれた文法書であって,私が大学時代に読んだ旧版も,昭和28年に初版,30年ですでに11刷を重ねていた.39年に改訂新版が出て,54年までに実に53刷に達している.学校文法の粋(ママ)を一歩踏み越えて,かなり突っ込んだ記述も見られるし,日本語との比較などにも注意がはらわれている.
-安西徹雄「英文翻訳術」
「英文法解説」の特徴・良さは、行方さんと安西さんの言葉で余すことなく語られています。
英文法解説の仮定法過去の記述
(1)単なる条件と仮定の条件
a)What will you do if this building catches fire ?
b)What would you do if this building caught fire ?
(もしこの建物が火事になったら,あなたはどうしますか)表面的な意味は両者とも同じである。ただ,a)は火事の可能性が5分5分の程度にはあると見た上での条件設定であるのに対し,b)は「火事の可能性はまずないと思うが,もしあったらどするのか」という仮定の気持ちを含めての発言である。
とっても簡潔でわかりやすい説明です。
たまに解説が少し高度なこともありますが、とても安心感のある文法書です。
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英文法解説
江川泰一郎(著) |
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