2007年1月 6日
英文法と品詞分解
薬袋善郎さんの参考書は好きで、ほとんど集めてます。
先日、「英語ベーシック教本―ゼロからわかる」を買いました。
薬袋さんの本が好きだと言っておいてなんですが、読み通した本は半分くらい。
大抵、パラパラ読みで、目にとまったところを読む、という感じ。
あまりの精読ぶりに、少しヘキエキしてしまうことがあります。
ご承知のとおり、薬袋さんの英文解釈法は、徹底した品詞分解。
薬袋さんは、「英文の解剖」といっています。
英文に出てくる全ての単語を品詞分解し、その働き、何を修飾するのか、を明らかにするのが「英文の解剖」の方法。
「英語ベーシック教本」のレビューはきっちりと読んだあとにして、今回は「品詞分解」することは良いのか?悪いのか?についての話。
なぜ英文を品詞分解するのか?
品詞分解は受験英語の弊害としてヤリ玉にあげられることが多いです。
薬袋善郎さんも批判を意識しており、「英語ベーシック教本」でも書いています。
ところで「英文を切り刻んで解剖などすると、英文の味わいや美しさが失われてしまう」という批判をよく耳にします。
-「英語ベーシック教本」
この批判について薬袋さんは、
英文を切り刻んで解剖しているときは、英文の味わいや美しさは念頭にありません。
-「英語ベーシック教本」
と割り切っています。
それは当然で、美しい英文を味わえる人は「えっと・・・これは主語、この動詞は・・・第3文型・・・」などと考えながらは読まないでしょう。
というか、品詞分解を無意識にしている状態に達したら、次の課題が「英文を味わう」ことになるはずです。
もちろん、「英文を味わう」という高級?な読書だけではなく、ミステリーのような娯楽洋書を、ストーリーだけ追って読むことも、英文法を学んだあとの大きな目標の一つになります。
自分は今、その目標のために英文を正確に読むことができるよう、せっせと辞書を引き、文法書をひっかきまわしている途中です。
英文法の不思議さ。
渡部昇一さんは「英文法を知ってますか」の中で英文法の不思議さについて語っています。
私が「文法」の神秘的な力を体験したのは高校三年の時、つまり昭和二十三年(一九四八年)の頃である。その時の高校の英語の教科書は非常識であり、第一課がフランシス・ベーコンの『エッセイズ』からの一つであり、第二課がジョン・ロック(Jhon Lock, 1632-1704)の『人間悟性論』の一部という工合であった。
-「英文法を知ってますか」
高校生にベーコンを読ませるとは恐ろしい時代もありました。
しかし他に教科書はない。佐藤先生はベーコンの「学問について」という三ページぐらいのものを、まるまる一学期かけて教えて下さったのである。
-「英文法を知ってますか」
たった三ページの英文に一学期をまるまる費やすとは、今では考えられません。
言い換えれば、それだけ徹底した精読だったのでしょう。
ところが十七歳の半ば頃に、ベーコンの英語を文脈をたどりながら、厳密に読んでゆくと、つまり文法のルールに従って読んでゆくと、はっきりした意味が眼前に立ち上ることを体験した時、それは不思議だった。一種の神秘的な感じがしたのである。
-「英文法を知ってますか」
高校生でも英文法を学べば、どれだけ時間をかけようとベーコンの文章を読めた、というのは英文法の威力です。
英文法ノイローゼ。
しかし、あまりにも正確に読もうとするあまり、渡部さんは文法ノイローゼになってしまったと書いています。
しかし、そこから生じた弊害が深刻なものになった。どんな英文を見ても、すみずみまで文法的に説明し尽さないと気が済まないという癖である。
-「英文法を知ってますか」
他の本でもこう書いています。
私は英語がわかった気になるのがこわくて、原書を読むときは、辞書や文法書を見ている時間の方が、本それ自体を読んでいる時間の何倍にもなった。およそ愚劣な読書法であったと思う。しかし結局はそれに耐え抜いたので、英語を正確に読む点では、特に専門書に関しては、欧米の学者にも、あまり劣るところはないと思うにいたった。しかしそれはだいぶ後の話である。
-「知的生活の方法」
自分も原書より辞書や文法書を見ている時間のほうが何倍も長いですが、それは「英語がわかった気になるのがこわくて」ではなく、「英語がわからなくて」です。悲しいかな。
辞書と文法書の日々。
洋書を楽しめるようになる方法はたくさんあると思います。
今はやさしい英文から徐々に難しいものに進んでいく方法が流行です。
その方法も、もちろん効果があると思います。実際、自分もやさしい英文を読んだり、音読したりすることもあります。
でも、やっぱり難渋しながらでも、普通のペーパーバックを読むほうが自分には合っているような気がします。
なにはともあれ、将来、英文を正確に読めるようになっている、ことを信じて、辞書と文法書を引く日々は続く。

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