2006年12月 4日
海賊の英語 - パイレーツ・オブ・カリビアン
もうすぐ「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」のDVDが発売されます。
待ちに待ちました。
第一作目の「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」はもう何度観たかわかりません。
五十回は観たかも。
何をするにもパイレーツのDVDを流しっぱなし。
本を読んでる時にも、ブログを書く時にも。
何度観てもあきないのは、自分の中に海賊の血が流れているからなのでしょう。
たぶん。
海賊の、歌。
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の魅力など、いろいろな方々にレビューされ尽くされているでしょうから、自分はパイレーツに出てくる台詞について書きたいと思います。
まずは映画の出だし、エリザベスが歌う海賊の歌。
字幕は当然、戸田奈津子さん。
Drink up, me hearties, yo ho
We kidnap and ravage and don't give a hoot
Drink up, me hearties, yo ho
Yo ho yo ho
A prirate's life for me
We extort, we pilfer,
we filch and sack
Drink up人をさらって 物を奪う
そんなこたァ 朝飯前
さあ 仲間たち
酒を飲み干そう
ヨーホー ヨーホー!
それが気ままな
海賊暮らし
脅して かっぱらって
盗んで かすめ取る
ここまで歌ったところでギブスさんに邪魔されます。
そんな歌は縁起が悪いと。
続きが聞きたいのに・・・
元歌があるのでしょうか?
ディズニーのアトラクションのテーマソングなのでしょうか?
それはともかく一行目からみてみると、
Drink up, me hearties, yo ho
¶hearty/ハ-ティ(名詞)船乗り仲間。
この句は二度出てきます。
ギブスさんに止められなければ三度目を言い終わったことでしょう。
ちなみに最初にエリザベスが歌うところでは字幕が出ません。
二度目に歌ったところの字幕をみると、
さあ 仲間たち
酒を飲み干そう
Drink up の up は「すっかり、全部」の意味。
(参照)
eat up the cake
ケーキをすっかり食べるwrite up a story
話を書き上げる
-「カレッジクラウン英和辞典」
その次の me hearties の me に迷いました。
my のナマリだとは見当がつきましたが、何事も確証が大事。
いろいろ調べてみましたが、最初にOED(Oxford English Dictionary オックスフォード英語辞典)を引いたので難儀しました。
やはりOEDは読むのがたいへんです・・・
結果として my の方言、ナマリだとわかりましたが、ジーニアス大辞典には、
me/mi/《視覚方言》【代】【形】【間】=my.
-「ジーニアス英和大辞典」
と、簡単に載っていました。
my がナマった me は、義眼の海賊、ラゲッティの台詞にも出てきます。
木製の目が飛び出てしまった場面で叫ぶ、
Me eye!
字幕では「目玉が・・・」となっていました。
海賊の、呼び名。
me hearties に戻りますが、研究社の英和大辞典の hearty の用例に、
[通常 pl.;水夫への呼掛けに用いて] 屈強[元気]な男:My hearties! おいみんな,皆の衆.
-研究社「新英和大辞典」
とあるので、my hearties というのは有名な船乗り言葉のようです。
海賊の血が流れる自分が知らないとはうかつでした。
ちなみに語源辞典で調べたら、hearty が水夫への呼びかけの意味で文献に初めて出たのは 1839年となっていました。
パイレーツ・オブ・カリビアンの時代設定は確か15世紀。
まあ、あくまで初めて文献に出たのが 1839年ということです。
海賊の、暮らし。
次の句、
We kidnap and ravage and don't give a hoot
人をさらって 物を奪う
そんなこたァ 朝飯前
kidnap(キドナプ)「誘拐する」は有名。
ravage(ラヴェヂ)は「物を奪う」ですが、町ごと破壊するぐらいの強い意味。
Longman (Longman Dictionary of Contemporary English/ロングマン現代英英辞典)では、
to damage something very badly
と定義しています。
hoot という単語は「ブーブーやじる」という意味で使われることが多いです。
熟語として、否定語をともない not give a hoot で「ちっとも気にしない」。
ジーニアス英和辞典に、
He doesn't give a hoot whether I am happy or not.
彼は私が幸せかどうかちっとも気にしない.
という、切実な例文が載っていました。
一方、海賊暮らしはそんな悩みとは無縁です。
A prirate's life for me
それが気ままな
海賊暮らし
この for は「~に向いた、うってつけの」という意味でしょうか?
(参考)
books for children
子供向きの本
-「カレッジクラウン英和辞典」
最後の句は「盗み方」の羅列。
We extort, we pilfer,
we filch and sack脅して かっぱらって
盗んで かすめ取る
extort(エクストート)は脅したりして取り上げる。
pilfer(ピルファ)は「ちょろまかする、かっぱらう」。
filch(フィルチ)を POD (Pocket Oxford Dictionary of Current English ポケットオックスフォード英語辞典)で引くと定義は pilfer。
同義語です。
sack(サク)を辞書で調べると、動詞で二つ出てきます。
ひとつは「占領した都市を略奪する」。
字幕の「かすめ取る」とは違いすぎます。
で、もうひとつの動詞のほうを調べると OED に、
to 'pocket'
-「OED」
とあります。
ポケットに入れる、こっそりいただく、くらいの感じ。
We extort, we pilfer,
we filch and sack
extort 以外はセコい盗み方の繰り返し。そのぶん、ゴロがいいです。
もう一度この歌を引用すると、
Drink up, me hearties, yo ho
We kidnap and ravage and don't give a hoot
Drink up, me hearties, yo ho
Yo ho yo ho
A prirate's life for me
We extort, we pilfer,
we filch and sack
Drink up人をさらって 物を奪う
そんなこたァ 朝飯前
さあ 仲間たち
酒を飲み干そう
ヨーホー ヨーホー!
それが気ままな
海賊暮らし
脅して かっぱらって
盗んで かすめ取る
この歌をうたって血が騒いだら、海賊の血が流れているはずです。
海賊の、台詞。
海賊の歌のあとは海賊の台詞。
ジャック・スパロウが初めて口を開く場面。
まず、ジャックが港で船の停泊料と、名前を求められます。
It's a shilling to tie up
your boat at the dock.
And I shall need to know your name.船の停泊料を1シリング頂こう
名前は?
質問に対し、こう答えるジャック。
What do you say
to three shillings,
and we forget the name?3シリングやるから―
名前は聞くな
海賊、名を語らず。
we forget the name で「名前は聞くな」。
おまえとオレは(俺の)名前を忘れる、が直訳ですが、Don't ask my name などと言うよりキマってます。
海賊の、発音。
ちなみにジャックは name を「ナイム」と発音します。
ジャックだけではなく、パイレーツに登場する人物は a を「アイ」と発音することが多いです。
たとえば、
| invitation | インヴィタイション (インヴィテイション/招待) |
| sail | サイル (セイル/航海) |
| blade | ブライド (ブレイド/剣) |
| shame | シャイム (シェイム/恥) |
| say | サイ (セイ/言う) |
| place | プライス (プレイス/立場・地位) |
など。
海賊の、もう少し。
ところで almost という単語ですが、訳語といえば「ほとんど」がすぐ頭に浮かびますが、実際は否定語に近いニュアンスの時が多い感じがします。
ジーニアス英和辞典の例文、
She was almost late for school.
彼女はもう少しで遅刻するところだった.
-「ジーニアス英和辞典」
では幸運なことに彼女は遅刻しなかったので、almost を取った文、
She was late for school.
とは意味がまったく違ってしまいます。
遅刻した、しなかったの差は小さなことですが、
She almost drowned.
彼女は危うく溺(でき)死するところだった.
-「ジーニアス英和辞典」
では almost があるとないとでは命に関わる重大事です。
彼女、助かって本当によかった。
パイレーツの中に、この「もう少しで~するところだった」の意味の almost が使われている台詞があります。
ミスター腹式呼吸、ノリントン提督にジャックはいったん捕まってしまうが、なんとか脱出に成功した場面の台詞。
Gentleman, milady,
you will always remember this
as the day that you almost caught Captain Jack Sparrow.では諸君!
今日を忘れるな
"ジャック・スパロウ船長を捕まえ損ねた日"だ
もうひとつ、今度はノリントン提督がジャックを捕まえ、ご自慢のナイスボイスで言う台詞。
I trust you will remenber this is the day
Captain Jack Sparrow almost escaped.この日を覚えておこう
"ジャック・スパロウ船長が
逃げそこなった日"
ジャックに言われた台詞をもじって言い返すとはノリントンも執念深い。
その執念は第二弾で、見事に発揮されています。
ジャック・スパロウの少年時代を描いた洋書もあるようです。
【翻訳本】
以上、海賊の英語、でした。

![パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち [DVD]](http://images-jp.amazon.com/images/P/B000ICM7S8.09.TZZZZZZZ.jpg)

コメント
from まるまろ
A pirates life for meの
和訳さがしてたどりつきました。
すごく楽しく読ませていただきました。
ありがとうございます!
2007年5月30日 22:25
from まさんた
まるまろさん、こんにちは。
パイレーツのあの歌、とっても耳に残りますよね。
一時期、気がつくと口ずさんでいました。
公開された3、DVD になったら、また海賊の英語をとりあげてみたいと思います。
2007年5月31日 19:28