2006年11月 4日
吸い殻は、どこだ!?
今日の洋書も「The Black Ice」。
読んでいたら次の文がありました。
主人公のボッシュが、とあるアル中の男の部屋にいる場面。
Amidst the glasses on the night table was an ashtray overloaded with butts.
【語句】
¶amidst/アミドゥスト(前置詞)...の真ん中に,...の中に。
¶night table (名詞)(寝台の)サイドテーブル。
¶ashtray/アシトゥレイ(名詞)灰皿。
¶overload/オウヴァロウド(動詞)めいっぱい詰め込む。
¶butt/バト(名詞)吸い殻。
-M.Connelly 「The Black Ice」
自分はこの文をこう考えました。直訳すると、
ナイトテーブルの上にあるたくさんのグラスに混じって、タバコの吸い殻がギュウギュウ詰まった灰皿があった。
この小説の翻訳本を持っているので、見てみると、
ナイトテーブルの中央におかれているコップは、吸い殻であふれかえっている灰皿と化している。(古沢嘉道・訳)
翻訳ではコップ(グラス)が灰皿の代わりになっていると解釈しています。
そう解釈できるのでしょうか?
Amidst the glasses on the night table was an ashtray overloaded with butts.
この文は倒置形です。
『英文解釈教室』に次の解説があります。
引用すると、
C+be+S の C の位置に前置詞ではじまる句がくる M+be+S の構文は早い時期から教科書に出るが、ここから発展する形にはかなり複雑なものが含まれるので注意が必要である。
3.Among the greatest works in European literature is the oldest of them all, the Iliad.
cf.The oldest of...is among...
【訳】ヨーロッパ文学の最大の作品のひとつとして,それらの中で最古の作品,イリアッドがある.
『英文解釈教室』らしく解説は難しいですが、《主語+be+前置詞句》の前置詞句を倒置すると、《前置詞句+be+主語》 になる、ということ。
よって、
Amidst the glasses on the night table was an ashtray overloaded with butts.
を変形すると、
〔変形文〕
An ashtray overloaded with butts was amidst the glasses on the night table.
となるはずです。(※ただし、この変形文は文法的にはおかしな文です。このことはまたの機会に)
overloaded...butts は、名詞 ashtray を後ろから説明する過去分詞。括弧でくくると、
An ashtray (overloaded with butts)
(吸い殻がギュウギュウ詰まった)灰皿
この句が主語。
動詞は、存在の was(あった)。
どこにあったかを説明する副詞句が、
amidst the glasses on the night table
ナイトテーブルの上にあるたくさんのグラスの間に
もう一度、引用文と翻訳者の訳をのせると、
Amidst the glasses on the night table was an ashtray overloaded with butts.
ナイトテーブルの中央におかれているコップは、吸い殻であふれかえっている灰皿と化している。(古沢嘉道・訳)
吸い殻であふれかえっている灰皿、が an ashtray overloaded with butts なのは確か。
ナイトテーブルの中央におかれているコップ、が問題。
Amidst the glasses on the night table
という句を、
ナイトテーブルの中央におかれているコップ
と解するのは無理があるような気がします。
amidst という少し文学ちっくな単語の意味は among (...の間に)とほぼ同じ。
翻訳者の訳文中の「中央」という言葉はおそらく amidst でしょうが、amidst は前置詞であり、glasses がその目的語。
前置詞句 on the night table は 名詞 glasses を後ろから説明している形容詞句。
Amidst the glasses (on the night table)
コップ(グラス)が置かれているのはナイトテーブルの上であり、翻訳者のいう「中央におかれている」とは解釈できません。
ちなみに、翻訳者は glasses と複数なのに、単数で訳していますが、複数なのには意味があるのではないのでしょうか?
正確な数まではわかりませんが、複数ですから何個かのグラスがあり、そのなかに混じって吸い殻が詰まった灰皿がある、と解釈するのが普通なのでしょうか?
もう一度、原文をのせてみます。
Amidst the glasses on the night table was an ashtray overloaded with butts.
ちなみに、翻訳者の訳文、
ナイトテーブルの中央におかれているコップは、吸い殻であふれかえっている灰皿と化している。
を逆に英訳すれば、
The glass in the center of the night table was used as an ashtray, overloaded with butts.
くらいでしょうか?
日、暮れて、道、遠し・・・
ミステリーを読みながら例文収集していますが、前置詞+be+S の形のいい例だな、と思って自分のプチ・データベースに収めました。
この洋書「The Black Echo」は翻訳も持っているので確かめたところ、自分とは違う解釈だったので考えてみました。
それとも翻訳者の方の訳が正しいのでしょうか?
どう解釈したら翻訳者の訳文になるのか、いくら考えても自分にはわかりませんでした。
と、長々と書いてきたので、今日の洋書読書はたった一行で終わってしまいました。
このペースじゃあ、読了までの道は、計測不能・・・


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