2006年11月24日
parole ミステリーの英単語
最近、仮釈放中に再犯を犯したりする事件がたまにあります。
仮釈放、仮出所の是非はともかく、ミステリーの洋書を読んでいるとよく出て来る言葉です。
★洋書のミステリーに出る英単語
parole [ パロウル ]
【名詞・動詞】
仮出所(させる),仮釈放(させる),仮釈放許可書。
それでは、parole の引用文。
He was at least seven years away from parole.
【訳】
彼は仮出所まで少なくても七年は待たねばならなかった。
-Jhon Grisham 「The Firm」
仮出所から( from parole )
七年離れている( seven years away )
という表現は英語らしい表現だと思います。
away を使った表現、
The nearest neighbor was a half-mile away.
【訳】
一番近い隣家でも半マイル離れていた。
-T.Harris「Red Dragon」
の応用なのでしょう。
parole をLDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English/ロングマン現代英英辞典)で引くと、 名詞で、
permission for someone to leave prison, on the condition that they promise to behave well
慎んだ行動をとるという条件で、出所を許可すること
ー「ロングマン現代英英辞典」
動詞で、
to allow someone to leave prison on the condition that they promise to behave well
慎んだ行動をとると約束することを条件に、出所を許可する
ー「ロングマン現代英英辞典」
以下、parole の余談。
parole を辞書で調べると、
1.仮出所,仮釈放
2.(逃亡しないという)捕虜宣誓
3.パロール,運用言語
と、三つくらい意味が載っています。
一番目の意味、仮出所と、三番目の意味、パロール,運用言語は、一つの単語の意味としては、あまりにも似つかわしくない意味です。
なぜ parole にその二つの意味が同居しているのでしょうか?
哲学の本を読んだことがある人はパロールという言葉になじみがあると思います。
哲学には疎いが、自分なりに説明すると、
パロールとはフランス語で「言葉・発言・約束」という意味で、哲学用語としては「パロール」とそのまま使われます。
訳を見ると「個人の運用言語」とあります。
まあ、個人個人が言葉を使うこと、という感じでしょうか。
パロールはよくラング(langue=英語のlanguage)との関係で語られます。
ラングは「抽象的言語体系」と、まさに抽象的に訳されていますが、簡単にいうと、共同体の中でお互いに話が通じ合うための言葉の規範・慣用です。
基本的にパロール(書き言葉・話し言葉)はラング(言葉の規範)にしばられます。
言葉の意味や文法が個人個人で違っていては相手の言っていることが理解できませんから。
しかし、”ら抜き言葉” のようにパロール(個人個人の言葉の使い方)はラング(規範)を離れ、それが次第に規範に影響を与えることがあります。
だから英語に限らず日本語も他の言語も、時代とともに変化していくのです。
と、よくわかってないことを、知っているかのように書いてみました。
なぜこんなことを書いたかというと、昔、パロールとラングについて書かれた本を読んだ時、
もしや英語の parole 「仮出所」と関係あるんじゃないか?
ラング(言語規範)という牢獄を離れ、自由になるパロール(個人個人が使う言葉)・・・
言葉の仮出所・・・つながりあるかも?
と、思ったからです。
そこで、parole を英語語源辞典で調べた結果、予想は大ハズレ。
下衆の勘ぐりの大邪推でした。
英語、parole の再輸入。
とはいえ、綴りが同じだけあって「仮釈放」と「パロール(個人の運用言語)」にはつながりがあります。
まずは、仏語「ことば」が英語の「仮釈放」に変化した過程。
仏語 parole 「言葉・誓い」 →17世紀初頭・英語「宣誓」→「捕虜の解放宣誓」→「仮出所,仮釈放」
「捕虜の解放宣言」とは、捕虜が解放される際に「戦線に戻らない、逃亡しない」などと誓うことです。
かなり「仮釈放」に近い意味です。
それでは、仏語「ことば」から「パロール」への過程。
仏語 parole 「言葉・誓い」 → 1935年・英語「パロール」
哲学用語として、フランス語から再輸入したようです。
「仮保釈,仮出所」と「パロール(個人の運用言語)」の意味がなぜ同居しているのか納得しました。
ちなみに、仏語では parole は昔からずっと「話す言葉」というのが基本にあって、そのまま哲学用語でも使われています。
お酒は家で。
最後に、良い子にしているという約束を破るのが parole violation (宣誓釈放違反)。
Being in a place with a liquor license was a parole violation.
【語句】
¶liquor license (名詞)酒類販売許可書(を持つ店)。【訳】
アルコールを出す店に入ることは宣誓釈放違反である。
-T.Harris「Red Dragon

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