「英語らしさに迫る」木村哲也(著) 英語、っぽさ。

副題に「日本語の発想・英語の視点」とあるように日本人が間違えやすい英語表現について書かれています。

しかし、いわゆる「ここがおかしい日本人英語」のたぐいではなく、あることを表現する場合の日本語と英語の発想の違いについて説かれています。

この本を読んだのはもう何年も前ですが、いまだに感化され続けており、英語らしい表現に出会うと「あっ、英語らしいなぁ」と読み返してみたり、例文を集めたりしています。

彼ハ、トテモ早イ走者ダ。

第1章『名詞が英語表現の中心』では、日本語だと「S は...する」というところを英語では、「S do ...」ではなく、

S is ...

の方が自然だ、ということについて書いてあります。

たとえば、「彼は走るのが速い」は、

△ He can run very fast.
○ He is a very fast runner.

後者の方が英語らしい表現だと書いてあります。

同じように、「彼は射撃がとてもうまい」は、

△ He can shoot very well.
○ He is a very good shot.

自分がミステリーを読んでいて拾った文にも、

The detective held automatic pistols in both his hands and was an excellent shot.

【訳】その刑事は両手で自動拳銃を操っていながら、すばらしい銃の使い手だった。
Jeffery Deaver 「The Coffin Dancer」

というのがあります。

この本の 「私は眠りが浅い」の解答例、

I am a light sleeper.

や、「そういう可能性はあるのですか?」の解答例、

Is that a possibility?

など、なかなか思いつきません。

possibility という単語はミステリーを読んでいるとよく見かけますが、逆に自分で使うのは難しい言葉です。

"A possibility"

【訳】「ありうるね」
M.Connelly 「The Black Echo」

Sleep was not a possibility.

【訳】とうてい眠れそうにない。
M.Connelly 「The Black Ice」

そのほか、日本語では副詞にするところを英語では動詞+形容詞+名詞で表現したほうが自然な文も解説しています。

たとえば、「彼女は小声で笑った」は She laughed ... ではなく、

She gave a little laugh.

自分がミステリーで拾った文。

He forced a small smile.

【訳】彼は無理にちょっと笑った。
Thomas H. Cook 「The Chatham School Affair」

ワレワレハ、キョウ、静カナ海ヲ持ツ。

第2章『他動詞の構文が好まれる』では逆に日本語だと「S は...だ」というのを英語では「S do ...」といったほうが英語らしい表現を説明しています。

「私は英語の先生です」は、

△ I'm an English teacher.
○ I teach English.

確かに I teach English. のほうが力強く簡潔です。

「今日は海が穏やかだ」も、The sea is ... ではなく、

We have a calm sea today.

第三章『人間が主語になる』では、日本語だと「物が...だ」というのを英語では「人が...だ」としたほうが自然だという章。

「納豆はおいしくない」というのを Natto is not delicious. よりも、

I don't like natto.

第4章は『人間以外も主語になる』では第三章とは反対に、物を主語にする表現、いわゆる無生物主語について。

「アスピリンを飲めば頭痛はなおるよ」は If you take an aspirin ... よりも、

An aspirin will relieve your headache.

たしかに If you ... よりも簡潔です。

英語らしい表現の力強さ。

そのほか、第5章『否定の内容を肯定で』、第6章『具体動詞で表現できる』、第7章『話者の視点で一貫する』、第8章『分析低表現から比較表現まで』と続きます。

どの章を読んも目からウロコ。
自分はたいていの人と同様、最初は受験英語の中で育ちましたが、この本を読んで英語の『生き生きとした、力強い』世界に触れた気がしました。

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